2026/7/31
熊本地震では、昨夜の時点で34人の方が亡くなられたことが確認されています。
お亡くなりになられた皆さまに、心から哀悼の意を表しますとともに、ご遺族の皆さまに深くお悔やみを申し上げます。また、負傷された方々の一日も早いご回復と、被災されたすべての皆さまの安全を心よりお祈りいたします。
発災から72時間は、人命救助にとって極めて重要な時間です。昼夜を問わず懸命の救助活動を続けておられる自治体、消防、警察、自衛隊、海上保安庁、DMATをはじめとする関係者の皆さまに、深く敬意を表します。
一人でも多くの命が救われることを、心から願っています。
1)今後の地方銀行
7月30日付の北海道新聞に、稚内信用金庫に関する次のような記事が掲載されました。
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稚内信用金庫は、資本増強のため信金中央金庫から200億円の支援を受けると正式発表
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同信金が保有する国債は、金利上昇によって市場価値が下がり、含み損が拡大
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2025年3月末時点で約470億円の国債評価損を計上
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国債は満期まで保有すれば元本が償還されるため、売却しない限り実際の損失は発生しない
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しかし、経営体力を高めるため、信金中央金庫の「経営力強化制度」を活用
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稚内信金の自己資本比率は2026年3月末時点で64.4%と国内トップ級
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含み損の拡大を受けた信金中央金庫の資本支援は、2025年の栃木信用金庫に続き2例目
この記事を受け、いくつかのご質問をいただきましたので、私の見方も含めお答えします。
問1:
稚内信金は破綻するのですか。預金を引き上げるべきですか
答:
現時点で、稚内信金が直ちに破綻する状況ではなく、今回の200億円の支援は経営基盤を強化するためのものです。報道だけを理由に、慌てて預金を引き上げる必要はありません。
今回の支援は、破綻した金融機関を処理するためのものではありません。信金中央金庫が稚内信金の自己資本を厚くし、将来の金利変動などに備えるための資本増強です。預金や振り込み、融資などの通常業務も、これまでどおり継続されるとされています。
問2:
信金中央金庫とはどのような組織ですか。
答
信金中央金庫は、全国の信用金庫が共同で設立・出資している「信用金庫のための中央金融機関」です。
信用金庫の資金運用や経営支援を行うほか、信用金庫への資本支援を通じて、地域金融の安定を支える役割を担っています。
問3:
稚内信金は、国債をたくさん保有しているのですか。
答
報道によれば、稚内信金は2026年3月末時点で約2,400億円の有価証券を保有し、その大半に当たる約2,300億円が国債でした。一方、貸出金は約800億円です。
つまり、預金として集めた資金を地域で十分に貸し出すことができず、多くを国債で運用していたことになります。
問4:
稚内信金は、なぜ国債を保有したのですか。国債ではなく別の方法はなかったのですか。
答
私は、その背景には、長期間続いた超低金利・マイナス金利政策があったと考えています。
地方では人口減少や企業数の減少が進み、お金の借り手が多くありません。貸し出したくても借り手が少ない一方で、信用金庫には預金が集まります。
さらに、超低金利が長く続いたため、貸出が増えたとしても貸出金利が低く、融資だけでは十分な収益を上げることが難しい状況が続きました。そのため、集まった資金を安全に運用する必要があり、多くの地域金融機関は信用力の高い国債を保有してきました。
しかし、ゼロ金利やマイナス金利の下では、短期国債ではほとんど利回りが得られません。その結果、より利回りの高い長期・超長期国債への投資が増え、金利上昇時のリスクも大きくなりました。
そして現在、日銀が金融政策を転換して金利を引き上げ始めたことで、長期国債の価格が大きく下落し、巨額の含み損が発生したのです。
もちろん、国債以外にも、株式、投資信託、REIT(不動産投資信託)、外国債券などの運用手段はあります。しかし、これらは国債以上の価格変動リスクや信用リスクを伴います。地域金融機関としては、安全性を重視した結果、国債運用が中心になった面があります。
私は、長期間続いた異次元の金融緩和・マイナス金利政策の下で、地域金融機関が長期国債運用に依存する構造が生まれ、その後の金利正常化によって大きな含み損が発生したことが、本質的な背景にあると考えています。
問5:
今回のようなことは、他の信用金庫や銀行でも起こりうることなのですか。
答
その可能性はあります。
今回の問題は、稚内信金だけの特殊な事例ではありません。
報道によれば、信用金庫業界全体の保有債券の含み損は2026年3月末時点で3兆円を超えています。また、2025年3月期には全国254の信用金庫の約9割が債券の含み損を抱えていました。
特に、人口減少が進み貸出需要の少ない地域では、預金として集まった資金を国債などの有価証券で運用する割合が高くなる傾向があります。そのため、金利が上昇すると、同様の問題が生じやすくなります。
もっとも、すべての信用金庫や銀行が同じ状況というわけではありません。保有する債券の種類や期間、資産運用の方法、自己資本の厚さ、貸出金の割合などは金融機関ごとに異なり、影響の大きさにも差があります。また、国債は満期まで保有すれば原則として元本が償還されるため、含み損が直ちに経営破綻につながるわけではありません。
今回の事例は、長期間の超低金利政策から金利正常化へ移行する過程で、地域金融機関が抱える構造的な課題が表面化したものだと私は見ています。
こうしたことは、アベノミクスによる長期の金融緩和が続く中で、将来的なリスクとして指摘されてきた問題でもあります。
今後は、金融機関に一層の金利リスク管理が求められることはもちろんですが、それと同時に、地域経済を活性化し、貸出需要そのものを生み出していく政策も極めて重要になると考えています。
今回の問題は、個別金融機関の問題というより、長期金融緩和政策と日本の地域経済の課題が重なって生じた構造的課題であると、私は見ています。
さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。
【26年7月31日 その6913『逢坂誠二の徒然日記』8610回】
#逢坂誠二 #歩く歩く聞く聞く
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