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スマホ農場は世論を操作できる? 【26年7月17日 『逢坂誠二の徒然日記』8596回】

2026/7/17

臨時国会は最終日を迎えましたが、会期は延長される方向です。

しかし、その延長で優先されているのは、立法事実が十分に示されず、表現の自由を萎縮させるおそれも指摘される国旗損壊罪などの法案です。

一方で、物価高対策や暮らしを支えるための政策については、十分な議論が行われているとは言えません。

高市総理の国会運営は、野党との合意形成や丁寧な審議を軽視し、数の力で押し切る姿勢が目立ちます。民主主義は、異なる意見に耳を傾け、十分な議論を尽くした上で結論を導く営みです。

国民生活よりも政治的な優先課題を先に進めるような国会運営には、強い疑問を抱いています。


1)スマホ農場は世論を操作できる?

昨日は、選挙におけるSNS対策の法改正と、「スマホ農場」と呼ばれる仕組みについて書きました。表示回数や「いいね」、再生回数などを人為的に増やすことで、情報の拡散を後押しする可能性があることから、虚偽情報だけではなく、情報流通の仕組みそのものにも目を向ける必要があることを指摘しました。


その後、この問題について海外の研究や議論を読んでみると、さらに興味深い論点が見えてきました。


私たちは、「スマホ農場があれば選挙は簡単に操作されてしまう」と考えがちです。しかし、現時点では、それを裏付ける十分な実証研究はないようです。


例えば、2016年のアメリカ大統領選挙におけるロシアの情報工作について、SNS上の膨大なデータを分析した研究では、ロシアのアカウントが発信した投稿の多くは、もともと同じ政治的立場の人たちに届いており、浮動票を大きく動かした証拠は確認されなかったということです。(ただ10年前のことであることには留意が必要です。)

2024年には世界各地で多くの選挙が行われ、「生成AIが民主主義を揺るがす」との懸念も広がりました。しかし、現時点では、AIによる偽情報やボットが選挙結果を決定的に左右したという明確な証拠は確認されていないという報告もあります。


こうした研究を踏まえれば、「スマホ農場があれば選挙は簡単に操作される」と断定することは、今のところ適切ではない印象を受けます。一方で、これらの研究は「だから問題はない」と言っているわけでもありません。

近年、情報戦や認知戦の研究では、「一次的効果」と「二次的効果」を区別して考えるようになっているとのことです。


一次的効果とは、ボットや偽アカウント、スマホ農場などによって、有権者の投票先が直接変わることです。これについては、現時点では影響は限定的だったとする研究が少なくありません。


しかし、二次的効果は別です。

「SNSの世論はすべて操作されている。」

「選挙は裏で金を払えば簡単に動かせる。」

こうした思い込みが社会全体に広がれば、人々は選挙制度そのものを信頼しなくなります。

選挙で負ければ「裏で操作された」と疑い、世論調査も信用せず、自分と異なる意見を持つ人を「工作員」や「偽アカウント」だと決めつけるようになれば、民主主義は深刻なダメージを受けます。

つまり、「選挙が操作された」と信じ込ませること自体が、大きな影響を持つという考え方です。

これは、スマホ農場そのものよりも、むしろ社会の信頼を壊すことを目的とした情報戦と言えるかもしれません。


だからといって、スマホ農場を放置してよいとは思いません。

表示回数や「いいね」を人工的に増やす行為や、大量の偽アカウントによる組織的な活動は、公正な情報流通をゆがめるおそれがあります。プラットフォームのアルゴリズムが、それらを人気のある情報として扱う可能性もあります。

重要なのは、過小評価もしないこと、過大評価もしないことです。


危険を必要以上にあおれば、かえって「民主主義は簡単に操作される」という不信を広げてしまいます。逆に、「影響はない」と軽視すれば、AIやSNSの急速な進歩に対応できません。


私たちに求められるのは、冷静な検証です。

スマホ農場やボットが、実際にどの程度の影響を持っているのか。アルゴリズムはどのように働いているのか。対策は本当に効果があるのか。事実に基づく研究を積み重ね、表現の自由を守りながら、公正な情報空間をどう維持するかを考え続けなければなりません。

SNS時代の民主主義に必要なのは、恐怖でも楽観でもありません。事実に基づいて冷静に議論し、愚直に制度を改善していく姿勢が、当面、何より大切なのではないでしょうか。


さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。

【26年7月17日 その6899『逢坂誠二の徒然日記』8596回】


#逢坂誠二 #歩く歩く聞く聞く

#函館 #スマホ農場 #SNS選挙

 

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