2026/7/9
衆院選挙制度の見直し法案の議論を棚上げすることで国会が衆参ともに正常化すると報じられています。私はここで合意すべきとは思われません。高市総理の目論見は、皇室典範の早期成立です。しかし今の政府案では将来に禍根を残します。十分な議論を経て国会の総意とされた案に戻すべきです。
1)第34次地方制度調査会の議論
先日、地方自治法の歩みについて書きました。その最後に触れた第34次地方制度調査会では、今後の地方自治の姿を大きく左右する議論が進められています。
調査会の出発点となっている問題意識は明確です。人口減少や少子高齢化が進み、自治体職員も不足する中で、これまでと同じように市町村がすべての行政サービスを担い続けることは難しくなりつつあるという認識です。加えて、デジタル技術やAIの進展を踏まえ、行政の仕組みそのものを見直す必要があるとしています。
そのため調査会では、国・都道府県・市町村の役割分担を改めて見直すことが議論されています。具体的には、市町村単独で担ってきた事務を広域で共同処理することや、都道府県が市町村を補完・支援する役割を強めること、さらにAIやデジタル技術を積極的に活用して行政を効率化することなどが検討されています。消防、水道、介護、道路管理などの分野では、広域連携や共同処理をさらに進める方向も示されています。
また、大都市制度についても議論が進められています。現在の指定都市制度に代わる「特別市」の制度化や、都道府県の区域を超えた広域行政のあり方なども検討課題となっています。
(以上は、地方制度調査会の配布資料をもとに私なりに整理したものです。今後、答申が取りまとめられる過程で議論が深まり、内容が変わる可能性もあります。)
もちろん、人口減少や人材不足への対応は避けて通れない課題です。しかし、行政の効率化だけを追い求めれば、地方自治の本質が損なわれるおそれがあります。私は、平成の大合併の後、役場や学校、公共施設が地域から姿を消し、地域コミュニティの維持が難しくなっていく姿を数多く見てきました。効率化には一定の成果があったと評価される一方で、それだけでは測ることのできない地域の力が失われたことも事実です。
自治とは、住民に最も身近な自治体が地域の実情を踏まえ、自ら考え、自ら判断し、自ら行動し、その結果に責任を負う仕組みです。効率性は重要ですが、それだけで自治の価値を測ることはできません。
私は、広域連携やデジタル化は積極的に進めるべきだと考えています。しかし、それらはあくまでも自治体が主体的に選択するものであるべきです。人口減少を理由に国が一律の制度を押し進めれば、地方分権改革で築かれてきた「国と地方は対等・協力」という原則が形骸化するだけでなく、自治そのものの足腰が弱まり、結果として日本の民主主義の基盤を揺るがすことにもなりかねません。
大切なのは、自治体や地域の自主性を最大限に尊重することです。国が大きな方向性を示すことは必要ですが、それをどのように実現するかは、それぞれの地域の実情に応じて自治体自らが選択すべきです。また、国が想定していない取り組みであっても、地域が主体的に挑戦しようとするものであれば、国は制度や財政の両面から積極的に後押しすべきです。
日本国憲法と地方自治法が掲げる「地方自治の本旨」とは、住民が地域の課題を自ら考え、自らの責任で未来を切り拓いていくことです。人口減少社会だからこそ、この原点を忘れてはならない。私は、そのことを改めて強く感じています。
さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。
【26年7月9日 その6891『逢坂誠二の徒然日記』8588回】
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