2026/7/26
― イーハトーブから愛知へ。作品の世界をたどる心の旅 ―
「雨ニモマケズ」「銀河鉄道の夜」「注文の多い料理店」「永訣の朝」。
宮沢賢治の作品は、子どもの頃や学生時代に一度は触れたことがある方も多いのではないでしょうか(私は高校の国語科教員だった時「永訣の朝」の授業をしました)。
先日、中日新聞でも宮沢賢治が特集され、花巻市を中心に、賢治ゆかりの地や作品世界を感じられる場所が紹介されていました。
私自身、大学時代は宮沢賢治研究を卒業論文のテーマとし、童話や詩に広がる「色彩の世界」を研究しました。岩手県を訪れると、賢治が見つめた自然や人々の暮らしに触れることができる喜びを感じます。
今回は、中日新聞で紹介された代表的なスポットに加え、私がぜひ訪ねていただきたい場所も交えながら、「宮沢賢治に触れる旅」(岡バージョン)をご紹介します。
① 宮沢賢治記念館(岩手県花巻市)
賢治の生涯や思想、創作活動を知るなら、まず訪れたい場所です。

代表作の原稿や愛用品、映像展示などが充実し、「なぜ賢治が今なお世界中で読み継がれているのか」が自然と理解できます。
② 宮沢賢治童話村(岩手県花巻市)
作品の世界を体験できる施設です。
子どもから大人まで楽しめる展示が多く、「銀河鉄道の夜」や「注文の多い料理店」の幻想的な世界へ入り込んだような気持ちになります。家族旅行にもおすすめです。
③ イギリス海岸(岩手県花巻市)
私が特におすすめしたい場所です。
北上川の河岸に露出する白い泥岩層を見て、賢治は“まるでイギリス・ドーバー海峡の白い海岸のようだ”と感じ、この名前を付けました。
普段は水位の関係で地層が見えないこともありますが、条件がそろうと賢治が見た風景に出会えます。華やかな観光地ではありません。しかし、賢治が自然をどのような感性で見つめていたのかを静かに感じられる場所です。
④ 愛知県にもある「宮沢賢治」
実は、賢治の物語は岩手県だけでは終わりません。
賢治が愛用したチェロは、現在の愛知県大府市にあるスズキバイオリン製造が製作したものとして知られています。
文学と音楽。
賢治の創作活動を支えた楽器が、愛知県と深いつながりを持っていたことは嬉しい限り。鈴木バイオリン製造は工房見学ができます。

⑤ 新美南吉記念館(愛知県半田市)
宮沢賢治がお好きな方には、鈴木バイオリン製造から少し足を延ばして、訪れていただきたい場所です。
「ごんぎつね」の作者・新美南吉は、宮沢賢治と並び、日本を代表する児童文学作家です。どちらも自然を深く愛し、人間だけでなく動物や草花にも命の尊さを見いだしました。
作品の世界観は異なりますが、「人への優しさ」「自然へのまなざし」という点では、多くの共通点があります。賢治と南吉を続けて訪ねる旅は、日本の児童文学の奥深さを改めて感じさせてくれるでしょう。

文学は旅をもっと豊かにしてくれます。旅は景色を見るだけではありません。その土地で生まれた物語を知ることで、見える風景は大きく変わります。
宮沢賢治が歩いた花巻の道、イギリス海岸の静かな川辺、そして愛知県へとつながるチェロの物語。さらに、新美南吉の故郷・半田市まで足を延ばせば、日本の児童文学が育んできた豊かな世界を感じることができます。
この夏は、作品を片手に「宮沢賢治に触れる旅」へ出かけてみませんか。きっと、本を読むだけでは出会えなかった新しい感動が待っているはずです。
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