2026/6/22
物価高に連動していない公的年金控除をほっとけない。
年金生活者の方から、切実なご意見をいただきました。
「年金の控除は、物価が上がっているのに110万円のまま。控除が上がらないと、健康保険料や介護保険料も上がってしまうのではないか」
これは、とても重要な指摘です。
正確には「公的年金等控除」といいます。年金収入から一定額を差し引いて所得を計算する仕組みで、65歳以上の場合、一定の年金収入までは110万円が控除されます。
問題は、この控除額が物価上昇に連動していないことです。物価が上がっても110万円は110万円のまま。日本の税制は、控除額を物価に合わせて自動で調整する仕組みを持っていません。物価が上がれば同じ年金額でも暮らしは苦しくなるのに、税や保険料の計算上は所得があるものとして扱われてしまいます。
ここで、ひとつ補っておきます。2025年の税制改正で基礎控除が引き上げられ、年金にかかる所得税は一定程度軽くなりました。65歳以上の方が所得税の対象になり始める年金額の目安も、158万円から205万円へと引き上げられています。これ自体は前進です。
ただし、この軽減は「所得税」の話にとどまります。健康保険料や介護保険料の計算では、差し引かれる基礎控除は43万円のまま据え置かれており、減税の恩恵が保険料には回りません。
つまり、税では配慮が進んでも、保険料では取り残されている。ここに問題の核心があります。
控除額が実質的に目減りすれば、住民税、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料の負担に影響します。年金生活者にとっては、単なる税制の話ではありません。医療・介護の保険料まで含めた、生活負担そのものの問題です。
もちろん、高所得の方まで一律に優遇する制度設計には慎重であるべきです。一方で、低・中所得の年金生活者については、物価上昇に応じて控除や保険料算定の基準を見直していく必要があります。
私としては、少なくとも次のような制度改善を検討すべきだと考えます。
・公的年金等控除を、物価上昇に応じて見直す
・国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険料の算定で、低・中所得の年金生活者に追加的な配慮を行う
・住民税非課税や保険料軽減の基準も、物価上昇を踏まえて点検する
年金額そのものだけでなく、税・医療保険料・介護保険料を合わせた「手取り」と「生活実感」で制度を見直すべきです。
物価高の中で、年金生活者の暮らしをどう守るか。これは、社会保障と税制を一体で考えるべき、重要な課題です。
前衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

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