
2026年8月6日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では、8月5日閣議決定した来年度から2年間の食料品消費減税について、決定に至るまでの裏側を政治ジャーナリストの今野忍記者が解説!自民党の最高意思決定機関での決定には与党として培ってきた「伝統芸」があった!高市早苗総理が「悲願」としながらも、総裁選や衆院選の公約としては前面に押し出せなかった自民党内の力関係とは?MCの選挙芸人・山本期日前氏が驚いた消費減税に対するネット上の反応とは?
MC期日前氏:昨日(8月5日)、国の方で大きな動きがありまして、食料品における消費税減税が閣議決定されました。これについて、何か注目すべきポイントなどはございましたか?(中略)自民党の総務会を欠席された方もいらっしゃいましたが。
今野記者:お腹が痛くなった人がいたよね?「ラスボス」の宮沢洋一さんですね。石破政権での自民党税調会長ですよね。高市さんが更迭して小野寺五典さんにすると。で、宮沢さんが小野寺さんに「お前こんなの引き受けちゃって大変だな」と言い残して去っていくと。
MC期日前氏:そんなことを言い残したの?
今野記者:「俺はもう十分やったから自分から辞めてやるぜ」ぐらいの勢いで辞めていきました。元々は財務省出身です。宏池会で非常に財源をしっかり確保しないとダメだと言って、ガソリンの暫定税率もなかなか認めなかったですよね。

これはそれぞれの考え方や政治スタンスもありますから。財政の緊縮派というか健全派と言いますか、「とにかく財政が大事だから」という中の、本当にラスボスと言われた方ですよね。あとは中谷元さんや谷公一さんが欠席ですかね。中谷さんは海外出張ですね。
自民党の総務会というのは自民党の最高意思決定機関です。私も総務会担当をやったことがありますが、そこでは全会一致が原則です。全会一致になります。なぜならば、反対する人は出席しないか、席を外したりトイレに行ったり、急にお腹が痛くなったりするんです。
MC期日前氏:それが巧みな技なのか。
今野記者:伝統芸ですね。だから分裂しないで、自民党が長く政権与党にいた一つの知恵とも言えるし、悪知恵とも言えますね。
それで(2年間の食料品消費減税が)通ったんですよね。高市総理にしてみれば、元々は去年の5月の税調、まだ石破政権の時に出てきて「食料品の消費減税をするべきだ」と言っていたんですよね。その時から数えて、維新との連立政権に入った時も「検討する」と、割とまだ抑えていたわけです。高市さんは持論と言っていたけれど、総裁選の公約には入れなかったんですよね。麻生(太郎)さんの支持を得るためだよね。レジスターの改修に時間がかかるから、即効性がないから。総裁選の公約からは外したと。
じゃあ、なぜこれが蘇ったのかと言ったら、やっぱり立憲民主党と中道改革連合ですよね。選挙をいざする時に中道改革合が「食料品の消費税率を恒久的に0%にする」「生活者ファースト」と掲げたので、自民党も、高市総理としては持論なわけですが、党としては抑えて総裁選の公約にも入れさせなかったものを、第一野党が「食料品の消費減税だ」とやってきた以上、何も言わないわけにはいかなくなったと。どうするんだ、と。
しかも親分は解散するのに、元々「消費税」と言っていたじゃないかということで、「検討を加速する」というあの謎の文言になったんだよね。最後の抵抗ですね。
MC期日前氏:当時言われていたのが「検討を加速する」だったので、「これ本当はやらないんじゃないか」と、そちらの方向で言われていましたよね。
今野記者:自民党の中に消費税の減税に反対する人がいかに多いかということの証左だよね。いざ解散となって野党第一党が「恒久的に食料品税率をゼロにするぞ」「生活者ファーストだ」と言ってきて争点になり、しかも自分ところの党首・総理が決めた解散で、本人は持論で「国の品格だ」「私の悲願だ」とまで会見で言ったのに、公約は「検討加速」で譲らないという。それでよく分からないことになりましたよね。テレビの討論会では「自民党の公約は検討加速だけど、総理・総裁としての私の公約は年度内だ」と言っていて。「どういうことだよ、どうなっているんだ」となりますよね。
衆院選の前の当時は少数与党で、高市総理・総裁が解散を決めるのは憲法上の規定でできても、自民党の公約を全部自分が支配できなかったから「検討加速」になったけれど。

「やらないんだろう」とはずっと言われていましたよね。国民会議を作って野党と議論してくださいと一度投げたじゃないですか。そこに財務省の人たちも入って、「それなら給付を先にやろう」という話をその中で作っていたんですよね。実際、他の野党もみんな給付の話になったじゃないですか。チームみらい以外の「恒久化」と言っていた人たちもなぜか急に「現金給付」と言い出した。
MC期日前氏:でも選挙の時に給付と言っていたら……。2025年に「給付か減税か」で給付側が大敗北したわけじゃないですか。
今野記者:今回はなぜか中道とかが「給付の方が即効性がある」「2年限定じゃダメだ」と言い出して。でも結局、国民会議の雰囲気を取材していると「給付を前倒しをすることで、消費減税には手を出さない」という話だったのかなと思ったら、高市総理は「減税しないと私は立っていられない」と言って譲らなかったんですよね。これで減税をすることになりました。
じゃあ「なんで1%なの?」という話になるわけです。元々は0%じゃないのかと。
MC期日前氏:そうです。そこが「なんで1%になったんですか?」というところで、色んな議論がありました。よく言われているのは、レジのところで本当にゼロにできるのかという問題です。

今野記者:もうそこに尽きるんじゃないですか。やっぱりレジシステムの改修で、割り算でゼロに……割り算すると0になるからシステムの改修でゼロにするとなると、そもそも想定していないことだから根本的な改修が必要で、1年以上かかりますよねと。
自民党の国民会議のヒアリングで、レジを作っているベンダー会社を何社か呼んできて、NECや東芝など3〜4社呼ばれたのですが、そのうちの1社が言っちゃったわけですよ。みんな「ゼロはダメです」と言って、財務省の人たちも安心ですよ。「ほら見ろ、1年かかるって言わせたぞ」と思ったところで、なぜかその中の1社が、良い意味で空気を読まずに「まあ、1%なら3カ月でできますけどね」と。「今、なんて言った!?」みたいな一瞬空気が凍りついたらしいです。(中略)なぜなら数字をいじるだけなら抜本改修ではないからです。8を5にするのも3にするのも1にするのも同じだからです。(中略)
昨日の閣議決定の前の自民党の臨時役員会の前に、高市総理が珍しく根回しをしました。相手は麻生太郎副総裁と鈴木俊一幹事長という両財務大臣経験者だったわけです。鈴木さんは麻生さんの義理の弟で、一応幹事長だから同席しました。麻生さんは反対だけれど、「総理の決断だったら従いますよ」と。非常に麻生さんらしいですね。
MC期日前氏:総理経験もあって邪魔してはいけない。総理経験者で反対している人となると、石破茂さんは……。
今野記者:あれも一つの姿勢ですね。しかも石破さんは大敗した2025年参院選の前に、少なくとも消費減税を検討はしていて、若干やろうとした気配がなくはないからね。だから当時幹事長だった森山(裕)さんが「私の政治生命をかけて、消費税には指1本触らせない」と先に言ったんじゃない?あれで断念したんですよ。
MC期日前氏:そっか、それがなかったら消費税をやっていたかもしれない。
今野記者:あくまで可能性ですが、全く検討していなかったわけではないです。
MC期日前氏:毎週公開しているYouTube上のポジティブ・ネガティブ分析で、ポジティブの方にまた戻ってきているんです。やっぱり消費税の影響は大きくて、逆に消費税に反対している政党はネガティブが増えたりしています。ネガティブの量が多くなっているのが自民党で、自民党自体に反対派のような人がいて、そういった方の動画が出たりしています。あと国民民主党も一定数ありますね。
今野記者:参政党も反対していますよね。参政党は元々「消費税廃止」なので、今回の食料品限定や2年限定という枠組みに対して否定的なんですよね。
MC期日前氏:そこに関してはそれほど話題になっていませんでした。
今野記者:国民民主党は批判されて、参政党は批判されないというのはなぜなんだろうね。
MC期日前氏:元々「すごい減税を訴えている」というイメージがあったからではないでしょうか。今日編集長とも話しましたが、結局「実質賃金」という言葉がよく分からないんですよね。
今野記者:難しいんだよね、あれは。実質賃金が名目賃金と物価上昇率で考えて「2%以上だったら良い」という話だからね。
MC期日前氏:この理論をいかに簡単に伝えるかというのがめちゃくちゃ難しいじゃないですか。
今野記者:そこはおっしゃる通りですね。(国民民主党は)「手取りを増やそう」という分かりやすい言葉に落とし込めましたけれど、あれだって「103万円の壁で、所得税の控除の壁を下げます」と言っていたら、多分あそこまでブレイクしなかったですよね。
MC期日前氏:だから分かりやすくキャッチフレーズを出して、いざ問われた時に「実はこういう意味なんです」となった時に、逆に乖離が起きる可能性があるというのは今回の件もそうですね。ただ逆に言うと、まず認知を伸ばさないと始まらないというのも確かです。
今野記者:国民民主党の今回の対応は悪くないと思います。「社会保険料還付付き税額控除」、働く世代に対してはものすごい減税になります。食料品の消費減税をやるよりも効果が高いと思いますが、ただ、伝わらないんですよね。漢字が多すぎて「最終的に何がもらえるんですか?」となってしまいますからね。
MC期日前氏:それが経済政策というのは難しいところですよね。
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