官僚の私が官僚に失望した日ーー江田憲司・前衆院議員が橋本行革の最前線で見た霞が関と永田町の闇とは

2026/06/04

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政治家

選挙ドットコム編集部

5月22日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では、5月に政界引退を表明した前衆院議員の江田憲司氏をゲストにお迎え!通商産業省に官僚として勤めた後、橋本龍太郎総理の政務担当首相秘書官として行財政改革などの構造改革の最前線で省庁や政治家との交渉を支えました。当時のリアルな空気感、そして官僚への失望感などを政治ジャーナリストの今野忍記者が深掘りインタビューします。

MC今野記者:司法試験に受かったら「省庁訪問」をして、自分で就職活動するんですよね。要は資格をとったらすぐに何々省の官僚になるんじゃないんですよね。

江田氏:夏は島でバイトしてて、9月になってやっと大蔵(省)と通産(省)だけ行ったんですよ。だって、就職する気ないから。「もう1年遊びたい」と思っていた。そうしたら、今でも覚えてるけど、大蔵省の担当者が「今頃何しに来たんだ」っていう。「優の数が1桁足りないんじゃないの」と言われるわけ。そしたらね、最後の欄に論文試験に合格かどうか書いてあって僕が丸を付けていたら態度が豹変するわけよ。僕、これ見て大蔵省にいかなかった。こんな奴とね、仕事一緒にしたくない。

MC今野記者:そこから江田さんと財務省は(因縁が)あるんですね。(中略)

江田氏:この話には後日談があってね。僕は橋本政権で政務担当の首相秘書官をやっていて、大蔵改革が一番の至上命題だった。その人が後に事務次官になって、橋本総理の横に僕は座ってるわけですよ、

MC今野記者:安倍晋三さんの今井尚哉さんみたいなね。一緒にするなと思うだろうけど(笑)。総理大臣の政務秘書官は、今で言えば飯田(祐二)さんですけど、距離感が違って。 橋本龍太郎さんと江田さんは常に二人羽織みたいに一緒にいて、誰かが総理に会いに行っても必ず横に江田さんがいました。

江田氏 :橋龍と言えば「威張る・怒る・拗ねる」って言われて付き合いにくかった。僕もビビったよ。最初に通産大臣と秘書官(の関係)でしたが、さすがにあんな大物が通産大臣に来て、そこから総理になられたので「江田君、ついてきてくれ」と言われて政務秘書官になるんだけど、僕なんかもうむちゃくちゃ若造じゃん。だけど、懐に飛び込めばこんなにラクな人はいない。元々礼儀作法がなってない方なんだけど、秘書官的な礼儀作法を一切求めなかった。

MC今野記者:逆に合ったんでしょうね。

江田氏:一応ね、橋本龍太郎といえば「チェリー」のタバコで、僕は秘書官を務めた人から「大臣がタバコにこうやったら、すぐライターで火つけるんだぞ」って言われたから、僕も最初はつけようとした。そうしたら「君、そんな気遣いは不要だ。君は政策のことだけ考えてくれ」と。

MC今野記者:何でこの話をしたかっていうと、秘書官をやってる時に、その大蔵省の面接官と、立場が逆転するわけですよ。

江田氏:それで、大蔵次官と総理のところに「もう大蔵改革、勘弁してください」って言ってくる面々の末席、主計局総務課長としてその人がいるんです。

MC今野記者:そこそこ出世コースですね。

江田氏:そしたら僕を見てさ、やっぱモジモジしてる。

MC今野記者:見つかったらまずいと(笑)。

江田氏 いや、わかってるけどね。だけど、後に事務次官になりましたね。

MC今野記者:大蔵省の名前を変えたのが江田さんなんで、当時恨みを買った面接官の罪が重かったかっていうね(笑)。(中略)大蔵省は大蔵省でいたかったんですよ。だって、大化の改新の頃、律令制度時代からの名前ですもんね。

江田氏:だから反論されたよ。「大蔵」って名前は律令制の時代からある、由緒ある名前なんだってね。調べてみたら「大蔵卿」とね、「文部卿」はあるのよ。私は後で反論したわけよ。「律令国家時代の頃はどういう国家体制だったんだ」とね。「民を民とも思わず、穀物や反物を搾取して住んでいた蔵が大蔵なんだよ」と。

MC今野記者:なるほどね。あれ(中央省庁の再編)は90年代ですよね。だから、今の政治改革の始まりである橋本さんの時代の行革ですよね。

江田氏:そう。1府12省庁の中央省庁の再編が最大のアジェンダでした。その中で「大蔵接待スキャンダル」があって。

MC今野記者:ノーパンしゃぶしゃぶとかですね。

江田氏:それもあったけど、あんなもんはかわいいもので、もっとひどいことがいっぱいあった。それで、東京地検特捜部が大蔵本省をガサ入れしたわけ。結局、トカゲの尻尾切りで、日銀の課長と証券局の総務課長補佐のキャリア官僚だけ捕まったけど、本当はもっと奥深い闇があるわけ。

それでもう、大蔵省と言えば、自民党の政治家も、私がいた通産省を含めた霞が関の官僚足を向けて寝られない。みんな予算でお世話になるから。

MC今野記者:主計官だと、局長で頭下げるぐらいの時代ですよね。

江田氏:しかしそうは言っても、あの過剰接待スキャンダルで「大蔵改革なくして行革なし」と言われたわけね。トップアジェンダだったわけよ。だから結局、私が全部やらないと、この政権のアジェンダの成果が出せないということで、しゃしゃり出てやったのがもう大批判ですよ。

MC今野記者:「大蔵省の敵」と言われてね。

江田氏:大蔵省も含めて、自民党の大蔵族から、ブラックジャーナリズムからクソみそになりましたよ。

MC今野記者:政務秘書官は特別職だから、一旦通産省を辞めて官邸に行くんですよね。総理に仕えて、橋本さんが退陣したら当然秘書官は辞めて、普通はそのまま出身省庁に戻るんだけど、江田さんは戻らなかったんですよね。

江田氏:行革の過程で、私の母屋の通産省を始め霞が関官僚の行革反対、組織防衛の姿を見るでしょう。総理の横で、何々省の次官・官房長が来てはね、「これはできません、あれはできません」って姿を散々見ている。

私もなぜ役所入ったかって言うと、今でもそうだと思うけど霞が関の官僚は20代は「少しでも国のため、国民のため」と、青雲の志を持って入ってくるんですよ。だけどね、管理職以上の局長や次官になるとどうしても、その省の組織防衛、昔で言うと、特殊法人を作ってそこの専務理事や理事長のポストで、そこに補助金出して給料確保して天下り先とかね。そういう風に、組織の利益のために働いたものがどんどん偉くなる。それを一番の極致で見せられたのが、この行革、中央省庁の再編でした。私ははっきり言って失望したわけです。少なくとも、国民のためにと思ってやってきたけど、「これが俺の未来の姿だ。私もあの、次官や局長になったら、こういう姿を見せざるを得ないのか」と思ったら、もう何の疑問もなく、誰にも相談せず。 それであの、首相秘書官っていうのは総理大臣が任命権者なんで、もう通産(省)は関係ないから、橋本総理の退陣の日に辞表を出した。何の迷いもなかったです。一方で、自民党の嫌なところ、金権・利権政治を散々見せられてきたから。

江田氏:橋本さんがあまり付き合いが良くないからね。若造だったけど、政務秘書官といえば総理に代わって、自民党と飲んだり食べたりするのも役目なんです、だから本当、自民党の裏の裏まで、自民党の良いところも悪いところも、特に利権・金権体質、しがらみの体質みたいなものを全部まざまざと見せられたんですよ。

MC今野記者:自民党の良いところってどこですか?あるんですか?

江田氏:良いところはね、よく言えば懐が深いっていうかね。悪く言えば融通無碍。だけどそれがこうやって政権を維持してる源。

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