衆院選と参院選の違いとは?簡単解説【衆院選】
2025/10/06
4月14日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では、衆院選での歴史的圧勝を経て開催された自民党大会を振り返ります。2月の衆院選での大勝からスタートした高市政権ですが、実はその内側で「政治的エネルギー(HP)」を激しく消耗しているとの指摘も。憲法改正、皇室典範、そして緊迫するエネルギー情勢。高市政権の現在地を、MCの産経新聞編集長の水内茂幸記者と朝日新聞の元政治部長(現・DEEPPOLITICS編集長兼編集担当補佐役)の林尚行記者が読み解きます。
MC水内記者: 収録日の昨日(4月12日)、自民党大会がありました。年に1回ある大会で、どちらかというと「お祭り」のような華やかなものだと思うんですけれども、昨日僕も色々と見させていただきました。今年の2月の衆院選で圧勝したということもあって、どこに行っても「高市カラー」という感じでですね。高市さんのフィギュアみたいなものを売っていたり、圧倒的に「高市色」ばっかりだと思ったんですけれども。まずは林さん、党大会はどんな印象がありましたか?
林記者: そうですね。やはり、高市総理のもとで「316(議席)」という歴史的な大勝、大勝利をした直後の党大会ということで、やはり高市さんが何を打ち出すのかというのが最大の焦点でしたよね。結果的に言うと、高市さんは「色々なんでもやりたいんだな」と。ある意味では高市さんらしいなと思いましたが、「あれもやりたい、これもやりたい、これもやりたい」ということを、わーっと前面に出す、まさに「高市さんの党大会」だったという風に思いました。
MC水内記者: そうですよね。高市総理の演説がずっとあったんですけど、やはり「公約実現」、これが一番の国民との大切な約束であって、政権公約の政策を一つずつ実現していくことが大事だということを、ずっと話されていた。
林記者:まさに「約束」ということですよね。水内さんは逆にどう思われました?
MC水内記者:いや、逆に言うとですね、産経新聞の立場からしてもですね、いよいよこうやって圧勝したからには、正直言うと自民党ってずっと「やるやる詐欺」だと思ってたんですよ。一番象徴的なのは憲法改正だと思うんですけれども。党是に掲げていると言いながら、70年ぐらいずっとやっていないわけじゃないですか。直近の政権でも、安倍(晋三)さんでも菅(義偉)さんでも、岸田(文雄)さんでもそうでしたよね。「任期中にやる」と言いながら、結局うやむやのまま来ていたと。
ここで高市さんが、昨日の(党大会の)話の中では「来年の党大会」、つまり3月とか4月ぐらいだと思うんですけれども、来年の党大会では、発議できる環境が整ったと言えるぐらいまでやりたいと。これだけ言ったんだったら、できなかったらどうするの、という気持ちがあったんですよね。その行動力、実現力を強調する割には、まるで闘牛のヒラヒラするマントみたいに「やるぞやるぞ」と言いながら、さらっと抜けていくようなものだった。今度はもうそのマントを取っ払って、ちゃんとやってもらわなきゃいけないだろうというのがポイントの一つ。
あとは一方で、林さんもさっきおっしゃっていましたが、色々なものが「てんこ盛り」になっていた。今挙げた憲法だけでも、相当な労力がいるわけですよ。国論を二分するような政策がたくさん盛り込まれている中で、それぞれに結構エネルギーがいる。これを7月までの特別国会という短期間に詰め込んでいくのは大丈夫なのかな、という気持ちは少しありましたね。
林記者: まさに、ラーメンで言うところの「全部盛り」ですよね。全部盛りだと色んなものが乗っかっているので、「じゃあどこから食べるんですか?」「どうやって完食するんですか?」という道筋までは、残念ながら示していないんですよね。高市総理は来年の春が一つの区切りになっていて、そこでの憲法改正を目指していますが、その前に水内さんがおっしゃったように、たくさんのハードルがあるじゃないですか。
そこに「政治的エネルギー」をどういう風に配分するのかが、ちょっと分からなかった。選挙での勝利はすごかったと思います。そこで「100」とするくらいの政治的エネルギーを得ました。そのエネルギーを、来年春の憲法改正までにどう使っていくのか。その「ポートフォリオ」ですよね。そこは本当は今回の大会で示されたら高市さんにとって良かったんでしょうけど、「全部やります」だったので。結局「全部盛りラーメンを出します」という状態で、どう食べて完食し、その後にどんな社会が待っているのかが、ちょっと見えなかったですね。
MC水内記者: エネルギーがすごく要るんですよね。今、憲法の話をしましたが、それ以外にも直近のニュースでは「皇室典範の改正」という議論が始まります。これだって、女性皇族をどう残すのか、あるいは旧宮家の男系男子の養子縁組の話もありますが、これにしても相当なエネルギーが要ります。各党と話し合っていく環境を整えるだけでも大変なわけです。この「エネルギー力」として、今どれぐらい高市政権にあるのかが問われる事態だと思います。
林記者: 水内さんと見方をすり合わせてみたいんですけど。2月8日の衆院選で圧勝しました。これで高市さんは「100のパワー(HP)」を得たとします。その100HPのうち、まずこないだの予算政局で、結局、参議院に行ってから審議の進度が下がって、高市さんがこだわった年度内成立はならなかった。そもそも年度内成立にこだわったこと自体がエネルギーの無駄遣いじゃないかという議論すらありましたが、あそこで100あったHPのうち、どのくらい使ったと思います?
MC水内記者: 私は、正直言うと「20」ぐらい使ったんじゃないかと。結構使ったと思いますよ。やはり、参議院の石井準一参院幹事長、これが「ボス」とも言われていますけれど。官邸の方を取材すると、高市さんは石井さんにものすごい恨みを持っているという話も聞きます。「3月13日までに衆議院を通過させれば絶対(年度内成立は)大丈夫だ」という話を信じて、無理くり色々やったのにダメだったじゃないかと。
自民党の役員会だったかで石井さんが謝罪に来ても、高市さんは目も合わせなかったそうです。帰り際にも石井さんとは話をせず、松山政司参院議員会長にだけ「まっちゃん、なんとかやな」と話して、石井さんを無視して消えていったという逸話があったりして。こういう状況を自民党内でどう見ているのか。かなりタイトなスケジュールで、審議時間を短くしてやっていましたが、それでも「はみ出てしまうんじゃないか」という見方は多かったですから。こういうところで「求心力」がどうなっているのかがポイントですし、昨日の党大会でも盛り上がってはいましたが、なんとなく「腫れ物に触るような印象」も受けたんです。林さんはどうですか?
林記者: 私も、やはりこないだの予算に使ったエネルギーは、ちょっと使いすぎちゃったかなと思っています。私も(消耗したのは)「2割」ぐらいだと思っているんですよ。そうすると残りは「80」しかない。その80の中で、水内さんが挙げたようなハードルがたくさんあって、その一番先に「憲法改正」がある。憲法改正まで辿り着くには、今の80じゃ絶対無理なので、どこかでもう一回「体力ポイント(HP)」を100以上に伸ばすための仕掛けが、むしろ必要なんじゃないかとすら思っています。
MC水内記者: 他方で、少し「補給」もあったとは思うんです。トランプ大統領との日米首脳会談などは、当時の環境としては針の穴を通すような感じで「やったな」という感じがしました。
林記者: どれくらい戻しました?
MC水内記者: 10ぐらいかな。10ぐらいは戻した感じはしますけど、その後に予算の話もあったので、トータルで言うとやはり今は「80」ぐらいになっちゃってるかなと。
林記者:じゃあ、その80をこれから何に、どのぐらい費やすのかという話ですよね。
MC水内記者: そうなんですよね。話を次に進めますが、政策も皇室典範もあれば、日本国旗(国旗損壊罪)の話や消費税の話もあります。でもその前に、もう一つハードルになるのが「イラン情勢とエネルギーの節約」の話。これで意外とグワーッと削られる気がします。今、アメリカとイランの交渉も不透明ですし、トランプさんは「ホルムズ海峡を再封鎖する」なんて言ったりしている。行末が分からなくなっていて、かなり長引くんじゃないかという状況です。林さんも取材されていると思いますが、今の政権内では、なかなか行動制限までは踏み切れない。でも、東南アジアの国々では「自動車の利用を控える」といったことを始めているそうですね。
林記者:閣僚経験者から聞きましたが、タイでは「公務員はエレベーターに乗ってはいけない」という話まであるそうです。そこまで国策としての「節約」を東南アジアは始めている。これって「コロナ」に似ていませんか?出口が見えない中でどう国をマネジメントしていくか。当時の総理だった菅(義偉)さんはあの時いろいろやりたいことがあった中、苦渋の決断でコロナ対応に全てのエネルギーを注ぎ込みましたが、実はそれぐらい大変なことになっているという認識を、高市官邸はまず持った方がいいんじゃないかと私は思っています。
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