
選挙ドットコムは2025年7月5日に「参議院議員選挙2025ネット討論会」を開催しました(選挙ドットコム主催)。今回の討論会のトークテーマは「持続可能な社会保障制度(財源も含めた議論)」です。参院選では物価高対策に焦点が当たっていますが、社会保障も大事なテーマです。
今回の討論会は、政党助成法における政党要件を満たす10党の党首の皆さまに声をかけ、自由民主党、立憲民主党、日本維新の会、公明党、国民民主党、日本共産党、れいわ新選組、参政党、社会民主党の9党に参加していただきました。なお、日本保守党は欠席でした。

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まずは、トークテーマ「持続可能な社会保障制度(財源も含めた議論)」に対しての各党の意見表明をまとめます。
目次

自民党は、医療、年金、介護、子育てが20年先も30年先も信頼できる制度として続いていくことを目指しており、実現をさせなければなりません。今さえよければいいという話になりません。どうすれば病気にならないか、どうすれば要介護にならないかは、人間の尊厳を大事にして、これから先は「予防」に重点を置いていきたいと考えています。財源は、薄く広くご負担をいただくことと、負担能力のある方に負担していただくことも考えていかねばならないと思っております。出生数が70万人を切り、婚姻数も減り、高齢化はどんどん進んでいます。そういう時代にもこの制度が続いていくということを考えていかなければなりません。人間の尊厳を最重要に考えながら、制度をより充実させていきたいと思っております。負担を避けることはできませんが、どうすれば少しでも減るかを考え、実現します。

当面の医療に関わる問題で、一番重要なのは、通常国会で大きな焦点となった「高額療養費」の問題です。患者団体に相談もせずに、短期間に患者さんの負担を最大で7割引き上げようとしました。多くの国民の反発もあり、我々立憲民主党も衆参で論陣を張って白紙撤回まで追い込むことができました。約200億円の予算の修正になり、この問題を秋ぐらいまでに成案を得たいというのが今の石破政権のお考えです。秋と期限を区切るのではなく、もう少し丁寧に、患者団体の声も聞きながら成案を得るように努力をしなければいけないと思います。また、その際に患者さんの自己負担が一挙に上がることは避けるべきです。社会保険料の現役世代の負担を軽減するという視点があるならば、それは軽症の患者の皆さんの負担を引き上げるというやり方が望ましいのではないかと思います。

社会保険料を下げる改革をやります。給料から引かれる社会保険料が高すぎます。例えば、年収350万円の所得税は7万円ですが、社会保険料は50万円の天引きです。さらに、事業主も同じ50万円の負担ですから、年収350万円の人は100万円の社会保険料を負担しています。そのため、現時点において、社会保険料を下げる改革を私たちは1丁目1番地として訴えていきます。また、保険の原理を取り戻す必要があると思います。薬局で買える薬への保険適用、余剰病床への税の負担、過剰診療、窓口の平等負担など制度を改める必要があります。その上で、公平性も非常に重要です。外国人による医療保険の乱用問題の適正化や、生活保護受給者は今は医療費が完全無償ですが、窓口でワンコインだけでも負担をしていただくなどの制度の公平性も担保していく必要があります。

社会保障に対しての公明党の基本的な考え方はベーシックサービスです。ベーシックサービスとは、教育、医療、介護など、生きていく上で基本的なサービスについては所得制限なしに無償で行うという考え方です。これは言わば理想であり、その理想に向けて1歩1歩近づけていきます。国民皆保険制度、介護保険制度などは世界的に見ても高いレベルにありますが、教育の無償化など、まだ残されている分野があります。実現に向けて頑張ってまいります。その上で重要なのは、それを支える人材と財源です。人材の確保には待遇の改善が必要です。また、基本的に経済成長がなければ財源は支えられません。その経済成長の基本になり競争力の源泉である科学技術政策を作ってまいります。また、今回の公約で、私たちは新たな日本版政府系ファンドで財源を生み出すという提案をしました。

今の日本の社会保障制度は、一言で言うと「財政的幼児虐待」みたいになってます。若い人の負担が多くなり、このままでは現役世代は社会保険料負担に耐えられなくなります。だから「現役世代から豊かになろう」と訴えています。どうするかといえば「年齢ではなく能力に応じた負担に変えていくこと」が必要だと思います。若いから負担を求め、高齢者だから負担が軽いのではなく、払える能力のある人に払っていただく。若い人はもうパンクしてしまいますから、ここを政治が判断できるかどうかだと思っています。私たちは、去年の衆議院選挙から、例えば75歳以上の後期高齢者医療制度について、今の原則1割負担を2割にして、現役並みの所得及び資産のある方は3割の負担をお願いし、資産や所得を把握する仕組みを整えることも合わせて提案をしています。負担できる方には年齢問わず負担していただくよう変えていくことが必要だと思います。

社会保障とは何かが大切だと思います。1人1人が個人の尊厳を全うして生き抜く、その権利を保障するのが社会保障であり、社会保障は経済だと私たちは位置付けています。この30年間、社会保障を金食い虫扱いをして、本当に必要な額を抑えつけてきたことが暮らしの不安を増大させ、経済も停滞させてきました。例えば年金は、高齢者の皆さんの年金の額が物価に追いつかず、今の現役世代の方々はもっと年金額が減ってしまうと、本当にもう年金不安しかない。だから消費に回せない、いくら貯蓄したらいいんだろうかという状態になってます。医療や介護も給付を抑えつけてきたことが重症化や、介護離職につながり、また、ケア労働、医療で働く方々の給料が上がらないという状況もおこっています。この抜本的な改革には、国の予算をもっと社会保障に厚く振り向けること、応能負担で金持ち優遇を改めることを求めていきたいと思います。

れいわ新選組は、消費税廃止、現金10万円給付、社会保険料引き下げの3本柱で訴えています。維新や国民民主党のように医療費の削減や薬品の保険適用を外す、病床を減らす、高齢者の自己負担を増やす政策ではありません。世代で分断を生むような政策に私たちは反対です。財源は、社会保険料を減らした分、国費を充てます。国費とは税と国債です。国債を発行する余力は日本にはあります。今は国債を発行して消費税廃止を実施し、抜本的、根本的に日本経済を回復させる処方箋をやって税収を増やして賄い、そして足りない分は法人税の引き上げや所得税の累進性強化などを行います。大金持ちの方が今、日本は本当に増えてます。日本で格差社会が広がり、1億円をポンと投資に出せる超富裕層の数は今300万人以上いて、その数はアメリカに次いで2位です。こういった方々にしっかり課税をしていくというのがれいわ新選組の考えです。

参政党は、税金と社会保険料の合計の国民負担率を35%に抑えることを皆さんに提案しています。税金と社会保険料を分けずに、社会保険料と社会保険税を全て税にまとめ、上限を35%、国民の皆さんが働いて稼いだお金の3分の1にキャップをはめることをルール化します。一方で、国が回らなくなるので、政府や国会議員は「経済成長」を考え、GDPを上げることにみんなが全力をかけて取り組むべきだと思います。また、減らさないといけない歳出もあります。70代の方が2割ぐらいの医療費を減らすだけで4兆円から5兆円の削減になると言われているので、予防医療を進めることは、我々も必要だと思います。外国人の生活保護や医療の不公正など、国民が不公平だなと感じる制度は改めるべきです。薬代や、終末医療もお金がかかりすぎています。削るところは削り、足らざる財源は経済成長と、我々も国営ファンドを作るべきだと提案しています。

社会保障制度は、人の命を支える、人権を支える極めて大事なものですが壊れつつあります。去年4月に政府が介護報酬、訪問介護の報酬を減額した結果、今、訪問介護事業所の倒産が過去最多です。医療報酬も限られてますから、病院も本当に苦しんでいる状況です。命が粗末にされていると思います。だから、こういうところにも税金を入れることが必要です。防衛予算は上がって今8兆7000億円なのに、教育予算はその半分、農業予算は4分の1です。今政府がやっているのは医療や介護やさまざまなものの切り捨てです。社民党は、税を投入する。その時に消費税だけに頼るのではなく、公平な税制の実現、大企業の内部留保に課税することなどを訴えています。社会保障は1対1の企業と従業員の負担を大企業が3対1、そして中小企業の負担分はそれを補填するという形で、あなたの保険料を半額にいたします。
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本気のぶつかり合い!?討論会後半の質疑応答の様子は動画をご覧ください!
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