近年、都知事選や衆院選、兵庫県知事選などで、SNSやネットを活用して躍進する政治家が増え、その役割が大きな注目を集めています。
一般的に選挙戦では、SNSやネットは「サブのツール」として考えられていました。しかし、2024年の選挙では世論を動かす存在となり、多くの方が影響力の大きさに気づかされました。
これらを活用し、当初は劣勢と言われた東京28区で当選を果たしたのが、立憲民主党の高松さとし氏です。
今回は高松氏に、急速に変化する選挙戦でのSNS・ネット活用の可能性についてお話を伺いました。
選挙ドットコム編集部(以下、編集部):
都知事選、衆院選、兵庫県知事選などでSNSやネットの役割が注目されています。
政治家としてどのように感じているか、2024年の選挙に関する感想をお聞かせください。
高松さとし氏(以下、高松氏):
2024年は選挙がSNS、ネットで変わった年だと思っています。
衆議院選挙では国民民主党が大きく伸びました。一方で、立憲民主党は健闘したものの比例票が思うように伸びず、党内でも「SNS戦略に乗り切れなかった」という反省の声が上がっています。
国民民主党は新聞やテレビといったオールドメディアではなく、YouTubeを中心に情報を発信することで、これまでアプローチできていなかった層の支持を獲得できたのだと感じます。
その後の兵庫県知事選では、稲村さんが各党の推薦を受け、万全の体制で臨んだにもかかわらず、斎藤さんがネットを活用して一気に支持を広げ、結果を覆しました。これも新しい選挙の流れを象徴していると思います。
ネット発の世論がリアルに影響を与えたというのが2024年の選挙の特徴だと思います。
編集部:
ネット(SNS)がこれほど選挙において影響力を持ち始めた背景について、どのようにお考えですか?
高松氏:
私は2023年に衆議院東京28区の総支部長に就任して以来、X(旧Twitter)やFacebook、Instagramなどをそれなりに活用してきました。
ただ、当初はネットを使った選挙活動を「おかず」のようなものだと捉え、街頭演説やビラ配布など従来の選挙活動がメインの「主食」と考えていました。
その考えが覆されたのが、2024年夏の都知事選挙です。石丸さんがYouTubeを活用して躍進する一方で、我が党の蓮舫候補はXやInstagramを活用していましたが、あくまで支持者の中での盛り上がりでした。
この結果を受け、私も地元でYouTube広告を配信するようにしました。
当初は効果があるのか半信半疑でしたが、広告を出して1~2ヶ月もすると、街頭で「YouTubeで見ました」「最近よく広告で見ます」と声をかけられるようになり、効果を実感するようになりましたね。
また、今回の選挙では「紙(ビラ)ではなくデータでもらえませんか」とおっしゃる方が多かったり、Xでリプライをいただいたり、公開している電子メールで連絡をくれたりと、紙離れが進んでいることも実感しています。
編集部:
政治家の情報発信の社会的意義や役割について、どのようにお考えですか?
高松氏:
これからの選挙において、SNS・ネットの重要性はさらに高まると確信しています。今後伸びるのは、積極的にオンラインを活用した情報発信やコミュニケーションができる政治家です。
国会議員として、私は国民の皆さんに代わって議論をし、代弁する立場にありますが、これまでSNSでの情報発信が十分ではなかったと感じています。
だからこそ、現在では情報発信を心掛けていて、Xでは日々の活動報告を。InstagramやFacebookでは地元練馬の地域活性化の一環として地元の美容院を紹介しています。
さらに今後はYouTubeで自身のチャンネルを開設し、国会での動きや立憲民主党の活動を伝えていく予定です。
昨今、社会のデジタル化が進んだことで、選挙や政治そのものが「コンテンツ化」してきていると感じます。
テレビで政治家が直接語る場面が減る一方、YouTubeやX、Instagramといったデジタルメディアを通じて、これまで以上に政治家の考えや熱意、肌感覚などをリアルタイムで伝えられるようになりました。
以前はネットはサブのツールと捉えていましたが、東京都知事選以降はネットが主戦場へと変化したことを実感しています。
国会の動きや我々の考えを政治家自身が自分の言葉に翻訳して、デジタルメディアを通じて有権者に直接アプローチしていくことが、これからの時代には必須だと考えています。
2024年は、ネットが選挙の主戦場となった転換点の年でした。
高松氏も東京都知事選をきっかけに、ネットの重要性とその有用性を実感。
自身のSNS戦略を見直し、新設された東京28区での知名度を高めるためにYouTubeを積極的に活用し、見事勝利を収めました。
これからは、情報発信力やオンラインでのコミュニケーションが、選挙戦の成否を大きく左右する時代になっていくのではないでしょうか。
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