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2024年11月24日に公開された動画のテーマは「岸田前首相側近に聞く 今後必要な経済政策とは」
自民党の選対委員長の木原衆院議員は、岸田元総理の経済・財政政策の中枢を担ってきました。岸田政権で道筋をつけた経済政策の位置づけと、今後の展開は。「103万円の壁」や物価高への対策、地方創生への展望も併せて徹底解説!
【このトピックのポイント】
従来は、事務経費や投資といったコストをカットすることで利益を確保する経済でした。もちろん、そこには人件費も含まれます。
岸田政権で道筋を付けた成長型経済とは、従来の縮小均衡型経済からの転換を目指すものです。具体的には、賃上げと設備・研究開発への投資をけん引するものです。
木原誠二氏「賃金とか投資をカットすると、実は経済は成長しない。賃金が伸びないと消費が伸びない。消費が伸びないと企業の利益につながらない。しかもGDPの6割は消費」
木原氏「投資も伸びないと新しい商品が出てこない。新しい商品が出ないと企業の利益も伸びないので、次の賃上げにつながらない。賃金と投資を丸ごと上げるのが重要」
数年前までは、成長して初めて賃上げや投資ができるという声が主流でした。見ようによっては同じでも、空気感を大きく変えたのが岸田政権だと木原氏は説明します。
もうひとつ、これまで主流とされてきたのは、トリクルダウンと呼ばれるモデルです。今までの経済は、まず大企業が儲かって、それが中小企業に波及する。さらに地域に広がり、従業員の給与につながるという流れですが、それはなかなか起こらないと木原氏は指摘します。
岸田政権では、トリクルダウンに対し、まず賃金から、中小企業の価格転嫁対策から着手する「噴水型の経済」を志向しました。結果、賃金は伸びてきています。
この流れを持続するために、木原氏は3つの取り組みが重要だと語ります。
まずは、賃上げを持続可能なものにしていくこと。「30年続いたデフレは2年では払拭できない。3年5年と続けるのが重要」と力を込めます。
次に、「103万の壁」に代表されるような「壁」への対応です。賃金が伸びても働く時間を減らしたら懐は豊かになりません。与野党問わず壁への対応をしっかりやる、と断言します。
3つめは、官民連携で投資をしっかりやっていくことです。岸田政権でいちばん成功したのは半導体ですが、それ以外の分野でも石破政権でやっていくことが重要と語ります。
木原氏「熊本の事例(TSMC)のようなことはほかの産業、地域でやらなければならない。昔の経済は、投資判断は企業が行い、リスクは民間が取るという話だった。今、これだけグローバル化して国際競争も技術革新も激しい時代には、企業だけではリスクが取れない。そこに国が出て行く。そこに財政の役割がある」
官がやるべきではないとされてきた状況が、グローバル化の進展で考えが変わってきています。各国が国を挙げて取り組んでいる中、日本も取り組まないと遅れてしまいます。
加えて木原氏は、「製造業を含め、自分の国にしっかり産業を戻すことが重要」と力説します。
木原氏「規制もあり、投資コストも高い日本では、国の関与がなければ、なかなかそういう判断ができない。そういう時代の中にある」
人件費の高さがネックとなり海外に流出した日本の製造業ですが、「今の人件費の水準はそれほどでもない」と木原氏は説明します。
木原氏「ただし、エネルギーのコストは高い。このコストをしっかり抑えなければならない。そのために、個人的には原発の再稼働、新・増設すべきだと思う」
もうひとつの大きなハードルは人手不足です。木原氏は、「生産性の低い、労働集約型の分野にコストの安い人を入れたらより生産性が下がってしまう。IT化やAIを導入、省力化へ投資をすることで生産性を上げるのが重要」と語ります。
また、東京一極集中問題を解消し、人材を地方に持っていくのが重要とも説明します。
木原氏「安倍政権はマクロの政策、アベノミクスで成功した。岸田政権はその土台に乗って、企業のマインドを官民連携に持っていった。次は地方なんですよ。東京一極集中を是正するのが石破さんの役割として非常に大きいと、勝手に期待している。」
地方を豊かにしていくための方法論は。
木原氏は「そこに仕事がないとダメ」と断じます。
省庁の移転だけでは産業も起こらないし、新しい雇用も生まれません。また、地方分権で権限と財源を移譲するのも重要だが、それだけでもダメ。企業が地方に移っていくことを強力にサポートすることが重要だと説きます。
木原氏「企業によっては、地方に移転する時に地方大学の経営や病院経営に関与したいという考えもある。ある地域を選んだ時、企業が解決したいと思う課題を、その部分に限って特区で規制緩和をするなどのきめ細かい支援が必要」
木原氏は、「日本中に『企業城下町』を100個くらい作りたい」と語ります。
木原氏「トヨタ、日立、パソナ……財政や税、規制改革を活用しながら、企業城下町を作っていくのがこれからの役割ではないか」
熊本にTSMCが来たことで、熊本には新しい高専ができ、新しい大学の学部ができ、関連企業が集積し、インフラ開発も進んでいます。木原氏は、そうした集積が必要だと説きます。
産業立地政策をさかのぼると、1970年代の太平洋ベルト地帯、1980年代のテクノポリス構想がありました。
木原氏「改めてその種の産業立地政策を考える時期。地方創生の文脈で考える時代じゃないかなと思います」
人が成長産業に移動するためには、やはりリスキリングが鍵になると語ります。
木原氏「スキルはどんどん陳腐化する時代。ただ、常に学び直してスキルアップが必要。スキルアップされたものが評価されなければならない。なので、社内と産業すら乗り越えて評価できるジョブ型雇用にしなければならないし、それが賃金に反映されなければならない。最終的に労働移動に反映される」
岸田政権で取り組み始めたこの流れをきちっと仕上げて、本当の意味でトラックに載せることが問われる、と木原氏はコメントします。
木原氏「転職は全員がする必要はない。アメリカやイギリスですらひとつの会社で過ごす人は多い。スキルアップをしたい時にチャンスがあるということが必要。」
「本来はひとつの会社にいてもベースアップされ、賃金がインフレを超えるペースで安定的に伸びるべき。これがメインシナリオ」と木原氏は説明します。
木原氏「岸田政権で一番最初に取り組んだのが賃上げ。定額減税をやってでも物価高を超えていこうとした。他方、リスキリングを促し、成長産業に労働移動を促した」
木原氏は現状を、「30年デフレを続けて消費が伸びなかった時代に、ようやく賃上げが実現したところ」と説きます。賃上げが物価高に追いついていない状況がコストプッシュ型のインフレ(生産費用の増加により発生)にあるとし、岸田政権では定額減税という対処をしてきました。
木原氏「基本的には、賃上げが物価高を超えていきます。物価高がディマンドプル型(総需要の増加によって発生するインフレ)になってくれば、企業の収益に反映され、企業の行動が正しければベースアップにつながる。これからは人手不足の時代。人への投資をしないと企業は人を集められない」
岸田政権下でのコストプッシュ型のインフレは、非常に重要な局面だったので定額減税を行いました。しかし、常に減税をする必要はないと木原氏は解説します。
木原氏「今議論しているのは103万円の壁、経済対策の補正予算。今の局面は非常に重要。インフレになれば、企業にも働いている側にも賃金を上げないとお互いWin-Winにならないというインセンティブが働く」
「噴水型の経済」とは?岸田元総理の懐刀が、経済政策を解説!
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