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2024年6月22日に公開された動画のテーマは「東国原さんに聞く!都知事選ここが大変!?」
宮崎県知事を経験し、2011年には東京都知事選も戦った経験を持つ東国原英夫さんが、東京都知事選の難しさを語り尽くします。スマホや動画が一般的でない時代の戦い方を知ると、各候補者の選挙戦の見方が変わってきそうです。
【このトピックのポイント】
東国原氏が立候補した2011年の東京都知事選の結果は、次点で169万票を獲得しました。2010年に宮崎で発生した口蹄疫の責任を取る形で宮崎県知事を退任されたあと、東京都知事を目指したのはなぜでしょうか。
東国原英夫氏「地方自治をやっていて、東京を変えないと地方が変わらない。東京都と宮崎との太いパイプ、これは必要だなと思い、東京都知事選に出ようと思いました」
「東京一極集中の是正をやらないと、日本全体が良くならない。東京にはそれだけの責任があるんですよ」と訴えます。
2013年に政権交代して安倍政権となった時、地方創生、「まち・ひと・しごと創生本部」が出来て、東京一極集中の是正を政府として取り組み始めました。
東国原氏「僕がその2年前に東京一極集中の是正を訴えたのはちょっと早かったのかもしれない……」
実は、4期目だった石原都知事は、もう出馬しないと表明。後継者として当時の神奈川県知事だった松沢しげふみ氏(参議院議員)を指名していたとされます。
しかし、2011年3月11日。折しも、東日本大震災があった日です。都議会の最終日に、急遽石原都知事が出馬宣言をしました。
MC鈴木邦和「急転直下ですね」
東国原氏自身も「石原さんは政界を退くと聞いていた」中、出馬を決意した裏側を語ります。
2月の下旬、立候補を噂されていたのが東国原氏と松沢氏、それと、ワタミ会長の渡邉美樹氏(元参議院議員)。
東国原氏「この時点で世論調査をしたところ、東国原がダントツ1位。松沢さんと渡邉さんがダブルスコア以上に離されていた。これだと、東国原が東京都知事になってしまうぞ、といった方々が多くいた」
MC鈴木邦和「むふふ……そのかたがたを私も想像しました」
東国原氏が都知事選で論点に挙げていたのが、この2つ。
東国原氏「これで僕がパージされたというか、東国原を当選させない人たちが石原さんを口説いた。東国原に勝てるのは石原さん、あなたしかいませんよということで」
さらに、噂レベルだとはいえ、反東国原側が、石原氏に都知事選だけ戦ってくれればあとはいつ辞任してもかまわないとか、都知事選に出馬したら石原伸晃さん(当時幹事長)を総理に推しますといった話まであったのだそうです。
MC鈴木「自民党界隈じゃないですか(笑)……東国原さん、情勢調査で、ちょっとリードするくらいに抑えておけば、都知事選行けたんじゃないですか?」
東国原氏「世論調査会社……気を使いなさい、気を(笑)」
このエピソードからは、選挙戦に入る前からずっと戦いが始まる、都知事選の難しさの一端が見えます。
東国原氏は、「東京には巨大な利権があり、巨大な予算があるわけですよ」と語ります。
ご自身は「都知事選の論点に含めなかった」とコメントしましたが、東国原氏が2007年に宮崎県知事になった時の実績のひとつに、入札契約改革がありました。
東国原氏「あんなもの(入札契約改革)を東京都でやられたら大変なことになる」
MC鈴木「宮崎でだって反発がすごかったじゃないですか」
東国原氏は、この時の都知事選の論点を東京一極集中の是正に賭けていたとのことですが、「野党、当時は民主党さんたちも、東京一極集中の是正はNOだった」というほど、東京一極集中の是正への反発は大きかったそうです。
MC鈴木「これでもよくこれだけ票を取りましたね」
東国原氏「よう頑張ったよね。石丸くんはこれくらい取れるかなあ」
MC鈴木「……ちょっと大変だと思います……」
MC鈴木邦和が思わず「宮崎県知事選と東京都知事選、違うものですか?何が違いますか?」と食いついてしまうほど、東京都知事選には特殊さがあるようです。
東国原氏は、その特殊さを「人口の多さと無党派層」と指摘します。
東国原氏「無党派層の方たちって、東京都へ出入りが激しくて、5年後10年後はあまり気にしていないんですよね。中長期の政策っていうのはあまり気にしていない」
東国原氏は、東京都の政策を気にしているのは、近隣の千葉、神奈川、埼玉だと苦笑します。
MC鈴木邦和「あんまりお金を使って子育て政策をやられると困るから」
東京一極集中の是正に賛成なのも、実はその近隣の住民だったとコメントする東国原氏。
MC鈴木邦和「首都圏知事だったら当選したかもしれない」
東国原氏「したかもしれない。道州制派だったから」
さらに、「人の心の読み方」にも言及します。
東国原氏「宮崎県知事選だと、宮崎に長く住んでいる方が多くて、宮崎をどうするかの中長期のことを訴えると響く。『宮崎はいいものをいっぱい持っているのに広告が今ひとつ下手』これが最大の行政課題だった。それを解決するために僕は宮崎県に行った。県民の皆さん全員が思うこと」
都民が一致する行政課題とは?「難しいんですよ……」と東国原氏はうなだれます。
加えて、東国原氏が選挙戦を繰り広げた時期は、東日本大震災の直後。都民は日常生活を脅かされ、選挙どころではなかったと言います。選挙カーの使用も禁止され、自転車で選挙活動を繰り広げたといいます。
東国原氏「でも石原さんは現職でしたから、討論会とかは全部欠席。それどころじゃないですよ。公務をずーっとやっていらっしゃる。震災対応。それが最大の選挙活動」
都知事選となると、報道量が圧倒的に増えます。
東国原氏は「空中戦、無党派層、組織戦も違う。組織を固めなければいけないと同時に空中戦も戦わないとならない」と指摘します。
2011年と違い、今日の選挙ではネットの存在も無視できません。東国原氏が例に挙げたのは、石原氏の「東日本大震災は天罰だ」と述べた失言についてです。当然、当時も大きく報道されましたが、ネットがあったら当時の比ではなかっただろうと振り返ります。
東国原氏「あの時(2011年)と今は戦い方が違うんですけれど……東京の難しさはひと言で言うと、規模の大きさ。空中戦、組織戦に加え、それ以上に大きなものが動く。この大きなものは計算に入れられない」
MC鈴木「都知事選といえば、やはり勝つために200万票以上。250万票必要なのかなという計算だと思うんですけど、これだけの票を集めるためには、必要なのはどういうことですか?」
東国原氏は、カギは無党派層にあると即答します。
東国原氏「1100万人の有権者……55%の投票率として、650万票の取り合いになる。半分の300万票くらいが無党派層、300万票は組織票。労働組合だとか、政党とか」
東国原氏は、組織票は小池氏が若干有利と見立てます。
加えて、今回、カギを握るのは日本維新の会とれいわ新選組ではないかとにらみます。それぞれ50〜60万票を持つ2党の支持者がどう動くか。今のところは双方自由投票のようですが……。
東国原氏「蓮舫さんが勝つためには、無党派層300万人。石丸くんもそう、清水国明先輩もそうですが、このへんをどうするか」
2011年の都知事選で、次点とはいえ169万票を獲得した東国原氏。多くは無党派層だったと振り返ります。その上で、「無党派層を取り込むには空中戦での訴え方」と語ります。
東国原氏「ここが難しいんです。ここをどうやって取るかというのは、もう空中戦の見せ方。政策ももちろんそうだし、訴え方もそうだし。ネット・地上波等々、新聞、雑誌、公報、すべてのメディアを駆使して、どうやって訴えかければいいかということです」
例えば、街頭演説の参加者数は1000〜2000人程度です。この、リアルでの熱量をどう拡散してもらうか。東国原氏は、自身の2011年の戦い方を「テレビ、新聞・ラジオでどうやって流していただけるか。そういう見せ方というか、注目の集め方というのを工夫し、演出したんです」と振り返り、「都民の皆さんの心にどうやって響くかという、自己演出」が重要だと示します。
MC鈴木「自己演出といってもピンと来なくて……誰がうまいですか?」
東国原氏は、メディアや市民は「街頭演説が終わった後の細かい所作まですべて見ている」と指摘します。
東国原氏「ましてスマホでみんな撮ってるじゃないですか。だから、気を許す時間がないと思います。ですからテレビに映っている時だけ、政見放送するときだけじゃなくて、それ以外の時間も全部見られていると思ったほうがいい」
今回、すべての立候補者の政見放送を合わせると10時間ほどの長さになるのだそう。MC鈴木が「アニメの1クールが余裕で終わりますよ」と嘆く長さですが、細かい所作に注目したいところです。
MC鈴木邦和が「もうひとつぜひお伺いしたいことが」と切り込んだのは、選挙にかかる費用について。
東国原氏「実を言うと、都知事選は期間が短いんですわ。今回も1か月くらいじゃないですか?それでもですね、僕の場合5000〜6000万くらい。渡邉氏は、億かけていらした」
選挙運動の機会均等を図るために立候補者に用意される法定費用(人口割)が、東京都では約5000万円。ただし、このお金には使用制限があります。
東国原氏「例えば、告示日の前に事務所を開きますよ、世論調査をしましたよ、チラシを作りましたよ、人を雇いましたよ、車を雇いましたよ、選挙活動費と選挙運動費は別。重なる部分もあるんですけど」
今のようにクラウドファンディングも整っていなかった時代、宮崎から出てきたばかりということもあり、ほぼすべてを自己資金で賄ったという東国原氏。
東国原氏「全体で5000万くらい。例えば、1万4000か所のポスターを貼るのに、業者に発注したら800万円かかりますから。」
今回の東京都知事選挙で話題になった、ポスター掲示にも独特のルールがあるそうです。
東国原氏「日本のシステムっておかしくて。公示日の朝8:30にくじ引きを引いて、ポスターの番号がわかる。それをスタッフに電話して『はい、何番でした』というと掲示板の前で待ち構えていて、一斉にぶわーーーーっと貼る」
東国原氏は「ボランティアで2日かかりました」という量も、「組織・団体がついていると、全部、瞬時に貼ってくださる」という違いがあります。「すごいなと思うのが共産党さん。1万4000か所、朝の8時30分から1時間で、全部貼ってあります」
ポスター掲示板の位置はまちまちで、「脚立を持っていかないと手が届かない」ところもあるのだそうです。今回のように多くの立候補者が出る場合は、普通に手を伸ばしても貼れないところもたくさんあることでしょう。
実際に戦った経験から語る、東国原氏の「都知事選、選挙戦の戦い方」。候補者の政策から所作まで、じっくりご覧ください!
東京都知事選は7月7日投開票。
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