2013年4月に公職選挙法が改正され、インターネットを利用した選挙運動(以下、ネット選挙)が可能になりました。今日では、ネット選挙はもはや選挙活動に欠かせないものになっています。
選挙ドットコム編集部では、今回の参院選に関連して、全国比例に候補者を擁立している政党・政治団体、全立候補者のSNSのフォロワー数をランキング形式で比較してみました。
調べたのはTwitter、YouTube、Instagramです。フォロワー数を集計・分析したところ見えてきたのは……?
Twitterは、情報がリアルタイムで更新され、140文字の文字数制限があることから、情報の流れが速く、拡散力に優れたプラットフォームです。
Twitter社の2017年10月の発表では、日本国内における月間利用者数は4500万人。
総務省調査によると、Twitterは男女を問わず幅広い世代から利用されています。
【参考】令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(総務省)
調査日(7月5日)時点でTwitterフォロワー数が10万人を上回った政党は5アカウントでした。
最も多かったのは自民党広報の24万1964人で、2位の立憲民主党の19万2310人を大きく上回りました。3位はフォロワー数12万9612人の共産党、4位にれいわ新選組、5位に公明党が続きます。
調査日(7月5日)時点でTwitterフォロワー数が最も多かった候補者は、日本維新の会・猪瀬直樹氏の111万4410人、ついで無所属・乙武ひろただ氏が85万9554人と続いています。フォロワー数50万人台には立憲民主党・蓮舫氏、れいわ新選組・水道橋博士氏が続き、上位は野党系候補者が占める結果となりました。
政党アカウントでトップだった自民党からは、片山さつき氏が第6位にランクイン。アカウントが凍結したNHK党・ガーシー氏は、もし凍結がなければ第6位でした。
YouTubeの日本国内月間ユーザー数は、Google社の発表によると6500万人(2020年9月)。
総務省調査では10〜40代の9割以上、50代も8割超がYouTubeを利用しています。
全世界で普及、日本国内でも全ての世代における高い利用率を誇る動画プラットフォームであり、日常的にYouTubeを活用して発信する候補者が目立ちます。
調査日(7月5日)時点で、政党のYouTubeチャンネルの登録者数トップはNHK党でした。2位にれいわ新選組、3位に参政党がランクインし、比較的新しい政党がYouTubeを活用している様子がうかがえます。
YouTubeではフォロワー数に加え、動画本数と動画再生数の指標を見ることができます。動画本数が最も多かったのはフォロワー数7位の共産党で1万本を超え、2位の自民党を大きく上回りました。動画再生数ランキングでは、1位がNHK党、2位自民党、3位れいわ新選組となっています。
調査日(7月5日)時点で、候補者のYouTubeチャンネルの登録者数トップはNHK党・ガーシー氏、ついで参政党・神谷そうへい氏と、政党YouTubeフォロワーランキングも上位の党の候補者が続きました。トップ10には新人候補が並ぶ中、唯一第3位に現職の自民党・青山繁晴候補者が入りました。
Instagramは、2019年3月に日本国内月間アクティブアカウント数が3300万を突破しました。
Instagramを運営するMeta社によると、日本の利用者は男性が43%、女性が57%と女性が多いSNSとなっています。
Instagramでは写真もしくは動画の投稿が必須となること、リールやまとめ機能など多彩な機能を持っていることから、それぞれのアカウントが投稿に工夫を凝らしています。
調査日(7月5日)時点での政党のInstagramのフォロワー数は、1位の自民党と2位の公明党がともに4万人超のフォロワーを集めました。ついで3位に参政党、4位にれいわ新選組、5位にごぼうの党が入りました。
フォロワー数上位アカウントの投稿の内容を見ると、各地の街頭演説会を盛り込んだメッセージ動画を日々投稿する自民党、インスタライブを活用する公明党など、党によってコンテンツ戦略にさまざまな工夫が見られます。
調査日(7月5日)時点では、候補者のInstagramフォロワー数トップはNHK党・ガーシー氏、YouTubeと合わせ2冠獲得となりました。2位は今井絵理子氏、3位に三原じゅん子氏と自民党の現職女性議員がランクインしました。
フォロワー数上位の投稿アカウントの内容を見ると、選挙活動の瞬間を切り取った投稿や街頭演説スケジュールをこまめに告知する投稿、政策をビジュアル的に訴える投稿のが目立つ中、ところどころに日常の何気ないスナップをはさむ投稿などが見られました。
投稿回数を増やしより多くの露出を目指しながら、いいねやフォローを促そうとする各陣営の戦略がうかがえます。
Twitter、YouTube、Instagramの3つのSNSで、全国比例に候補者を擁立している政党・政治団体と全立候補者のSNSのフォロワー数を調査・比較してみたところ、各種SNSによって上位にランクインしている顔ぶれに異なる傾向が見られることがわかりました。
・歴史のあるTwitterでは、アカウント作成からの経過時間が長く、ツイート実績も多い政党や候補者のフォロワー数が多い傾向が見られました。
・文字中心のTwitterと異なり動画編集を必要とするYouTubeでは、比較的新しい政党やYouTuberとしての活躍が多い候補者がフォロワー数も動画再生数も多く集めていました。
・Instagramは静止画も動画もOK、ライブのようなコミュニケーション機能も有していることから、上位にランクインした政党や候補者は、発信数を維持しながらも、ターゲット層や投稿内容を工夫しながら独自性を高める様子がうかがえました。
選挙ドットコムで参院選2022候補者のネット選挙ツールの利用状況動向を調べた記事によりますと、YouTubeは65%、Twitterは83%が利用していることが判明しました。
ネット選挙が解禁されて9年が過ぎましたが、もはやSNSはアカウントを開設するかどうかでなく、一定量の発信を続けフィードへの露出を維持しつつ、どんなターゲットに向けてどのようなコミュニケーションを取っていくか、SNSごとの戦略レベルを考える高度な段階に来ているのではないでしょうか。
選挙ドットコムの参院選2022特設サイトでは、候補者のツイート情報やアンケートへの回答内容を基にワードクラウドを生成しており、各候補者がどのような発信をしているのか一目でわかるようになっています。
また、候補者の詳細ページではホームページやTwitter、Facebook、YouTubeといったSNSへのリンクがありますので、候補者がどのような発信をしているのか気になったときなどにお役立てください。
※編集部注:今回調査・分析の対象としたのは調査日時点で選挙ドットコムが把握している国会議員のSNSアカウントとなるため、最近アカウントを開設・運用を開始した国会議員のアカウントは含まれていない可能性がございます。予めご了承ください。
(執筆協力:内田文子)
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