10月19日公示、31日投開票の日程で衆議院議員総選挙が行われます。
政治分野における男女共同参画推進法(候補者男女均等法)の施行後初めて迎える総選挙では、女性の政治分野への参画にどのような変化が生じるでしょうか。
これまでの総選挙における女性を取り巻く状況を確認してみましょう
過去10回の衆議院議員総選挙での女性の候補者数及び当選者数をまとめたのが図表1です。
1990年代は女性候補者数が100名よりも少なく、候補者全体に占める割合が10%未満といった状況にありましたが、近年は200名前後の女性候補者が立候補し、候補者に占める割合も15%を超える状況が続いています。
前回衆議院議員総選挙での女性候補者の割合は17.8%でしたので、候補者の6人に1人が女性という状況です。
当選者も確認してみましょう。
第39回衆議院議員総選挙(1990年)で当選した女性の方は12人でしたが、第48回衆議院議員総選挙(2017年)には47人と約4倍となっています。
また、当選者に占める女性の割合も2.3%(1990年)から10.1%(2017年)と4倍以上となっています。
男性と女性では選挙への当選のしやすさに違いがあるのでしょうか?
図表2では、それぞれの性別での当選率(当選者数/立候補者数)をまとめています。
前回衆議院議員総選挙では、女性の立候補者210名のうち47名が当選しており当選率は22.4%でしたが、男性の当選率は43.1%と倍近い状況です。
過去と比較してみても、ここ20年ほどは概ね男性が20%程当選率の高い状況が続いています。
一方、地方自治体の選挙での当選率は、女性80.5%、男性79.0%(共に第18回統一地方選挙(2015年))と大きな違いは生じていません。
【関連】女性の政治参画は進む? 数字で見る地方政治と女性議員数
列国議会同盟(IPU)によると、2021年9月時点で世界の女性議員の割合(下院と一院制の議会)は25.6%です。
調査対象の190か国中、日本の女性議員の割合(衆議院、10.1%)は165位となっており、G7及びOECD加盟国の中でも最下位となっています。
例えば、G7の中で日本の次に女性議員の割合が低いのはアメリカ(27.6%で71位)ですが、日本とはかなりの差がある状況です。
また、世界経済フォーラムが3月に発表したジェンダーギャップ指数において日本は156か国中120位に位置付けられています。同指標では、「経済」「政治」「教育」「健康」の4分野における男女格差を測定していますが、日本は特に政治分野の順位(156か国中147位)が低くなっています。
このように、女性議員割合の低さや、政治分野における男女格差の大きさは国際比較における日本の特徴となっています。
6月に成立した改正候補者男女均等法では、政党や国、自治体などに対しセクハラやマタハラ対策を講じることが求めれています。成立に向けた議論の中では、セクハラやマタハラ対策を講じなければならないような、女性が立候補や政治活動を行いにくい状況、制度的な課題も明らかにされています。
新型コロナウイルスによって私たちの暮らしが大きな変化を余儀なくされる中で、国会での議論では多様な民意を反映していくことや、様々な利害を調整していくことの重要性が高まっています。
IPUによる「民主主義に関する普遍的宣言(1997年。訳は内閣府男女共同参画局)において謳われている「男女がその違いから生まれる互いの長所を活かし、平等に、かつ補い合いながら機能する」ことも重要な要素となってきます。
「候補者男女均等法」という大きな変化が実現された後に初めて迎える総選挙を経て、国会議員の構成はどのように変わっていくのでしょうか。そして、そのことは日本の将来や政治分野での女性の活躍、男女のパートナーシップの確立にどのような影響をおよぼすことになるのでしょうか。
衆院選の行方が注目されます。
この記事をシェアする
選挙ドットコムの最新記事をお届けします
My選挙
あなたの選挙区はどこですか? 会員登録をしてもっと楽しく、便利に。
話題のキーワード