東京都議の伊藤悠氏が自身のブログで、コロナ対策での保健所の業務が大幅に軽減されるなどの理由から、コロナを指定感染症の「2類から外して5類にする」動きについて、問題点や改善点を提案しています。
伊藤氏のブログ全文は以下の通り。
今後、新しい総理のもとに引き継がれていくコロナ対策。ここで注意する必要があるのは、政府から発信されている「2類外し」だ。
識者からもコロナを2類から外して5類にすれば、保健所の業務が大幅に軽減され、合理的になると指摘されている。保健所の負担軽減は賛成だが、2類解除がもたらす課題も大きいので、慎重に検討した方がいいと申し上げたい。
まず、この2類指定、いつ決まったかといえば、今年の1月28日だから、武漢でコロナが報告された直後の早い時期である。私は3月頃から、PCR検査が増えないのは、厚労省が2類指定にした影響が大きいと指摘した。
2類指定になると陽性患者は無症状でも「入院」が義務付けられ、病床をいたずらに圧迫しかねず、それを危惧した保健所が検査を絞り込む傾向をつくるからだ。
そこで、東京都は、入院に代る措置として「宿泊療養ホテル」を認めてほしいと厚労省に掛け合った。結果、4月2日に厚労省はこれを認める通達を出すと、途端にPCR検査の数も増えていった経緯があるのだ。
一方で、宿泊療養ホテルにも課題があった。それは、陽性患者が、指導に従わず、ホテルへの入室を拒むというケースだ。実際、今でも、入院でもなくホテル、自宅療養でもなく「調整中」に分類されている陽性患者が結構いる。これは、不便なホテル生活を拒否し、保健所と協議中のケースだ。陽性患者が自由に行動し、感染を拡大させてしまう可能性が高まるから厄介だ。
ここで、ホテルでの療養を陽性患者に勧告する根拠になっているのが、2類指定である。
2類指定があるからこそ、無症状者に対し「入院勧告」の代わりに、「宿泊療養ホテル」への入室指導ができる。2類が外れれば、「何を根拠に、俺がホテルに入らなければいけないんだ」と反論された時に、根拠を失う。
次に問題になるのが、リンクの追いかけだ。2類の場合、クラスターを把握するための詳細な積極的疫学調査が義務付けられているので、濃厚接触者の割り出しを保健所が行なってきた経緯がある。この調査と連絡、報告には、膨大な作業が伴うため、保健所の負担が尋常ではないことは言うまでもなく、これを見直すべきというのが、2類外しの論拠になっている。これについては、確かに、あり方を見直すべきだろう。
しかし、気をつけなければいけないのは、2類から外して、保健所がリンクを追わないと言うことは、濃厚接触者の割り出しも行わなくなるということだ。今まで濃厚接触者と認定され、相当数が実際に陽性だったような方への連絡も、陽性患者本人の善意に頼るしかなく、加えて、「君にうつしたかもしれない」と言われた濃厚接触者も、PCR検査を自費(2〜4万円)で受けることになるから、検査を大いに躊躇するだろう。2類から外れると言うことは、行政検査ではなくなると言うことに他ならない。
保健所関係者からも話を聞いた。
「2類で一番厄介なのは、入院勧告、就労制限、消毒指示など書類作成の量が膨大であることと、なんといってもリンクを追う調査と対応。2類を外してほしい」という声は切実だ。
そこで、私が考えているのは、コロナに合った見直し策を検討することである。例えば、就労制限や消毒については、患者や施設管理者がそれぞれの責任において、すでに行われている部分もあるので、全て保健所が書類を作成する必要はないのではないか。陽性患者の移送手段の緩和もあっていい。
しかし、どうしても簡単に譲れないのは、宿泊療養ホテルでの療養の「根拠」を失うことと、濃厚接触者への保険適用のPCR検査がなくなることだ。
そこで、よく調べてみると、5類のなかでも、「麻疹」「風疹」は、保健所が濃厚接触者を特定できる仕組みになっているという。これならば、必要な対象者に、自己負担なくPCR検査を受けてもらうことができそうである。
そこで、コロナを5類に見直す代わりに、必要と思われる措置、例えば、濃厚接触者の割り出しなど、2類相当の措置を一部残す仕組みが現実的ではないかと思う。
保健所の負担を考えれば、「結局リンクを追うなら、保健所の負担が変わらず、5類にする意味がない」と言われるかもしれないが、劇的な対応変更よりも、段階的な変更で、社会への影響を見極めた方がいいと考える。
ポスト安倍総理に関心が集まるが、都民の命のかかった2類外し問題への注意が逸れないように喚起したい。
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