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2016/07/10
昨年末、国会議員に支給された期末手当の額が300万円を超えている、といった報道を聞いて、やっぱり議員って高収入なんだと感じた方も多かったかもしれません。
一方で、地方議員はどうでしょうか。一般的に、地方議員の報酬はその自治体の人口規模に応じています。例えば、人口1000人以下の村だと月額約15万円ほど。人口約930万人の東京都議会議員で月額100万円ほどです。一概に語ることができないのが地方議員の懐具合。何人かにそのリアルな実態をお聞きしました。今回は小椋修平(おぐら しゅうへい)・足立区議会議員にお話を伺います。
こちらもどうぞ>>今年は暖冬でも専業議員の懐はいつも寒い…?地方議員のリアルなお財布事情(荻野稔・大田区議)
小椋修平・足立区議会議員
池田麻里(以下、池田):地方議員の報酬ってピンキリだと思うのですが、実際のところはどんな感じなんでしょうか?
小椋修平・足立区議(以下、小椋):全国に約3万人いる地方議員(区市町村議員、都道府県議会議員)の報酬はピンからキリまで見事なまでに様々です。
都道府県議でおおよそ月額報酬約70万円~約90万円、区議・市議でおおよそ約30万円~約90万円、町議・村議でおおよそ約15万円~約30万円と極端に異なるのと、議員は地方公務員特別職という扱いで地方公務員と異なり、退職金や年金、健康保険などの共済制度が全くなく、国民健康保険、国民年金に加入しています。(※議員年金はH23に廃止)
池田:自治体の規模によって大きく異なりますよね、足立区議を小椋さんは務めていますがどれくらいの議員報酬で手取りはどんな感じですか?
小椋:足立区議の場合は月額報酬は619,000円で、費用弁償といって本会議や委員会に出席すると支給される交通費のようなものが1回3,000円。
これを合わせると月によりますが、おおよそ月額報酬が計約620,000~約630,000円になり、そこから各種税金・保険料が引かれ、さらに自費の活動費を引くと実際の手取りはこんな感じです。
「月額報酬」 約620,000~約630,000円
<税・社会保険等>
・国民健康保険+介護保険 96,000円
・所得税 52,000円
・住民税 64,500円
・国民年金 32,720円(夫婦分)
・議員連盟会費 1,500円
計:246,700円<手取り>
約383,000円
ここからさらに毎月、事務所家賃 半額負担分25,000円、事務所光熱水・通信費 半額負担分 約15,000円、会合会費約100,000円、交通費約20,000円等々の自費の活動費が計約160,000円かかり、★実質手取り★
約223,000円ということで報酬額は全国地方議員と比較するとかなり恵まれている方ですが、実質手取りはほぼ1/3という状況です。
再度の繰り返しになりますが、議員によって月額報酬も活動スタンスも全く異なるのであくまでも参考事例のひとつということで。
池田:よく議員には「政務活動費」という第二のお財布があると言われるけど、実際のところ、どういうことに使っていますか?
小椋:まずは政務活動費について話しておいたほうがいいかもしれませんね。
政務活動費とは議員報酬(給与)とは別で調査研究、研修、広報公聴などのための費用として支給されます。
これも議員報酬と同様で議会によって支給額はピンキリですが、足立区議会の場合、月額16万円政務活動費が支給されます。例えば、研修会の参加費や団体年会費は上限が1万円で、団体の周年行事や新年会などは支出できません。
全国で比較すると23区や政令市の議員報酬、政務活動費はかなり恵まれている方ですが、活動すればするほど、自費の出費が増えていくというのが正直悩ましいところ。
例えば、議員として招待案内を受けているもので、各種団体の周年行事や懇親会、町会、商店街、PTA、障がい者団体等々の総会懇親会、新年会なども数多くあり、これらは全て自費で、案内状に会費1万円と記載されていると一瞬躊躇します(苦笑)
1月は新年会シーズンでしたが、私の場合、例年約30ヶ所ほど新年会があり、会費だけで自費の支出が1月~2月初旬まで約20万円近くかかります。
池田:政務活動費の使途は公開もされますし、世間のイメージ以上に使い方は限られているんですね。
小椋:そうですね、足立区議会の場合、区長や議長は交際費がありますが、議員は交際費がなく全て自己負担なので集会に多く顔を出そうとするとなかなか厳しいところがありますね…。
池田:政治家には秘書がいる!というイメージも結構あると思うけれど小椋さんに秘書はいますか?
小椋:私も時々「秘書はいるの?」と聞かれるのですが秘書を雇うお金もないので自分1人で全てをこなしています。なので個人事業主のようなイメージでしょうか。
区市町村議員で秘書を雇っているという話はほとんど聞いたことはありませんが、あとは、人数の多い会派では会派で事務員を雇用していたりするパターンがあるんじゃないでしょうか。
都道府県議会議員の場合、小さな事務所を構えて事務員や若い秘書を雇用しているパターンが多いと思いますが、政務活動費がどこまで支出できるかは自治体によって異なるものの、事務所費、人件費が結構大変だと思います。
ご参考まで、市議会議員の友人は年4回の定例会ごとに市議会レポートを全世帯に新聞折込で配布しているのですが、政務活動費が月5万円で、それではとても足りないので議員報酬の多くを広報宣伝費に費やしているとか。
衆議院議員秘書時代には(衆議院議員の)事務所家賃、コピー機などOA機器、光熱水費、私設秘書給与、国政レポート作成印刷・配布、会合会費等々で毎月約150万円~約200万円の出費だったので、国会議員の場合、歳費(給与)に文書交通費100万があっても活動の規模、支出が地方議員と全く違うというのを改めて思うところ。
これらもあくまでも友人の一例ではありますが。
あと、町村議会議員の場合、議員報酬だけではとても生活ができないので兼業が大半という状況です。
池田:ちょっと待って、それだと毎月赤字になるのでは…?
小椋:そうなんです…なので夏と冬の期末手当(ボーナス)それぞれ約100万円を毎月の赤字補てんと4年に1度の選挙資金のために貯蓄するというパターンでやりくりしています。
私は衆議院議員の公設秘書を務めていたこともあるのですが、そのときのほうが実質手取りは多かったかもしれません。(※年収約600万円弱)
足立区議に初当選したのは2007年で、その2年後に賃貸マンションから木造アパートに引っ越したので自分は変わったパターンかもしれないですね。
池田:政党に所属していたら党から活動費が支給されるのではないんですか?
小椋:同じようなことはよく支援者や地域の方から尋ねられるのですが、地方議員には党からの活動費はなく逆に毎月党に1万円献金しています(笑)(※これまで所属してきた民主党、民進党、現在の立憲民主党も同じ)
この仕組みは他の政党も大体似たり寄ったりのようで、私の場合、2019年5月の区議選で初めて声援カンパを募りましたが、今まで献金も一切なく活動を続けてきました。
池田:議員の懐事情だと気になるのが選挙資金ですが、小椋さんはどれくらい選挙費用をかけているのか聞いても大丈夫でしょうか?
小椋:これも人によって千差万別でピンキリですが、やはり議員の懐事情で一番大変で、支出が一番大きいのは選挙費用だと思います。
これまで見聞きした範囲では区議・市議の選挙費用が数十万から数百万円で、都市と地方、また新人・若手・ベテランによって見事なまでに異なります。本当にピンキリです。
選挙事務所では、プレハブを何棟も建てて支援者や支援団体など数十人もの人で賑やかにやっている候補者もいれば、都市部の新人や若手では選挙事務所を構えず友人や仲間だけで選挙運動をする候補者など両極端で、費用節約で自宅を選挙事務所にするという例も。
選挙事務所を構えるとなると家賃が数十万円から場所や規模によっては百万円単位で費用がかかり、さらに事務所看板作成費や机・椅子、事務機器、電話、ネット、光熱水費などもあるので選挙費用の大きな出費のひとつです。
選挙カーもレンタカー会社から借りると数十万円かかり、これも大きな出費。
議員関係者などから借りたとしても看板作成費約10万円程度はかかります。
最近では都市部の地方議員選挙で選挙カーを使用しない例もちらほら見られるようになりましたがほんの一例で、選挙区の面積の広いエリアは選挙カーがないとなかなか難しいのかなというのが個人的な感想です。
その他に、通常の政治活動費も同様ですが、事前の政治活動ポスター作成費が枚数と大きさにもよりますが数十万円(地方ではあまり作らない)、名刺・リーフレット・チラシの印刷費、新聞折り込みやポスティング・DM等の広報宣伝費なども。
池田:一口に選挙費用といっても色んな用途がある訳ですね。
小椋:何度も言いますが本当にピンキリです。例えば県議会議員の友人は選挙費用が数十万円だったとの事ですが、都道府県議選挙になると全てにおいて規模が大きいので少なくとも数百万円から1千万単位の費用がかかると思うのですが、地方だからそれで済んだのか選挙費用の内訳が不思議で今も首をかしげています。
一方で、市長選挙に立候補した友人は、選挙でたしか3千万円だったか4千万円使ったとのことで、選挙資金は自宅マンションを売却したり、莫大な借金をして選挙資金を工面したそうですが、落選してしまった現在、必死になって借金を返済しているとか。
池田:小椋さんの場合はどうでしたか?
小椋:私の場合、事前の政治活動、選挙期間中の選挙資金が300万円以上で、内訳は事務所の家賃、看板、ポスター、選挙カー、チラシ印刷・ポスティング・DM代が大半。
中でも特に一番出費が大きいのが、ポスター・チラシ印刷代とポスティング、DM代で、選挙資金は期末手当(ボーナス)を4年間で貯めて、それを選挙資金に費やすというパターン。
選挙の度に借金を繰り返しての自転車操業や、資産がある人は土地建物を売却したり担保にして選挙資金を借りたりという話も数多く聞いているので、選挙資金についても各種選挙と候補者によって様々だと自分自身改めて思うところです。ちなみに、各種選挙の際に公営掲示板に貼ってある各候補者のポスター、選挙チラシ、選挙カーのドライバー人件費、ガソリン代などは公費負担です。
選挙費用のおおまかな内訳
池田:先ほど党からの活動資金についてお聞きしましたが、選挙にあたっては…?
小椋:「党から選挙資金もらえるんでしょう?」ともやはり支援者や地域の方から聞かれるのですが、私の場合は毎月1万円を党に献金して4年に1度の選挙の公認料は20万円だったり30万円だったりします。「ぼったくりバーではありませんが(笑)」といつも笑い話のネタにしていますね(笑)
(※選挙の公認料や選挙支援は政党によって、その時によって異なります。)
池田:最後に、地方議員のお財布事情について思うことはありますか?
小椋:議員活動をしていて思うのは、議員は世間一般よりずいぶん恵まれていると思われる方がほぼ全員だったのですが、これらのお財布事情を正直にお話しすると、
「意外と大変なんだねー」とみんな口を揃えて言いますし、さらには自宅アパートや事務所アパートを知っている人からは同情すらされることもありますね。春・夏休み期間に受け入れているインターン大学生には「ここが事務所なの?」と毎回驚かれます(笑)
何か兼業するべきか随分悩んだこともありましたが、数千人もの有権者の皆さんから付託されて議席を預からせていただいている以上、議員活動に専念すべきだと。議員報酬だけで借金することもなく生活は出来ているので兼業せずに議員活動に専念しています。
何度も繰り返しになりますが、地方議員の報酬も待遇もピンキリで、活動スタンス、お財布事情も様々なので、あくまでも都市部の地方議員のひとつの事例ということでご参考になれば幸いです。
池田:なるほど…地方議員のお財布事情について赤裸々に語っていただきありがとうございました。
編集部より:選挙ドットコムでは他にも地方議員の懐事情についてお話していただける方を募集しています。地方議員の方でご協力いただけるという方はこちらまでお問い合わせください。
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