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区議会議員でも毎月赤字って本当?!地方議員のリアルなお財布事情(小椋修平・足立区議)

2020/1/23

池田麻里

池田麻里

一番かかるのはやっぱり選挙資金?

池田:議員の懐事情だと気になるのが選挙資金ですが、小椋さんはどれくらい選挙費用をかけているのか聞いても大丈夫でしょうか?

小椋:これも人によって千差万別でピンキリですが、やはり議員の懐事情で一番大変で、支出が一番大きいのは選挙費用だと思います。
これまで見聞きした範囲では区議・市議の選挙費用が数十万から数百万円で、都市と地方、また新人・若手・ベテランによって見事なまでに異なります。本当にピンキリです。

選挙事務所では、プレハブを何棟も建てて支援者や支援団体など数十人もの人で賑やかにやっている候補者もいれば、都市部の新人や若手では選挙事務所を構えず友人や仲間だけで選挙運動をする候補者など両極端で、費用節約で自宅を選挙事務所にするという例も。

選挙事務所を構えるとなると家賃が数十万円から場所や規模によっては百万円単位で費用がかかり、さらに事務所看板作成費や机・椅子、事務機器、電話、ネット、光熱水費などもあるので選挙費用の大きな出費のひとつです。

選挙カーもレンタカー会社から借りると数十万円かかり、これも大きな出費。
議員関係者などから借りたとしても看板作成費約10万円程度はかかります。
最近では都市部の地方議員選挙で選挙カーを使用しない例もちらほら見られるようになりましたがほんの一例で、選挙区の面積の広いエリアは選挙カーがないとなかなか難しいのかなというのが個人的な感想です。

その他に、通常の政治活動費も同様ですが、事前の政治活動ポスター作成費が枚数と大きさにもよりますが数十万円(地方ではあまり作らない)、名刺・リーフレット・チラシの印刷費、新聞折り込みやポスティング・DM等の広報宣伝費なども。

池田:一口に選挙費用といっても色んな用途がある訳ですね。

選挙の種類や候補者によって選挙費用もピンキリ

小椋:何度も言いますが本当にピンキリです。例えば県議会議員の友人は選挙費用が数十万円だったとの事ですが、都道府県議選挙になると全てにおいて規模が大きいので少なくとも数百万円から1千万単位の費用がかかると思うのですが、地方だからそれで済んだのか選挙費用の内訳が不思議で今も首をかしげています。

一方で、市長選挙に立候補した友人は、選挙でたしか3千万円だったか4千万円使ったとのことで、選挙資金は自宅マンションを売却したり、莫大な借金をして選挙資金を工面したそうですが、落選してしまった現在、必死になって借金を返済しているとか。

池田:小椋さんの場合はどうでしたか?

小椋:私の場合、事前の政治活動、選挙期間中の選挙資金が300万円以上で、内訳は事務所の家賃、看板、ポスター、選挙カー、チラシ印刷・ポスティング・DM代が大半。
中でも特に一番出費が大きいのが、ポスター・チラシ印刷代とポスティング、DM代で、選挙資金は期末手当(ボーナス)を4年間で貯めて、それを選挙資金に費やすというパターン。

選挙の度に借金を繰り返しての自転車操業や、資産がある人は土地建物を売却したり担保にして選挙資金を借りたりという話も数多く聞いているので、選挙資金についても各種選挙と候補者によって様々だと自分自身改めて思うところです。ちなみに、各種選挙の際に公営掲示板に貼ってある各候補者のポスター、選挙チラシ、選挙カーのドライバー人件費、ガソリン代などは公費負担です。

選挙費用のおおまかな内訳

池田:先ほど党からの活動資金についてお聞きしましたが、選挙にあたっては…?

小椋:「党から選挙資金もらえるんでしょう?」ともやはり支援者や地域の方から聞かれるのですが、私の場合は毎月1万円を党に献金して4年に1度の選挙の公認料は20万円だったり30万円だったりします。「ぼったくりバーではありませんが(笑)」といつも笑い話のネタにしていますね(笑)
(※選挙の公認料や選挙支援は政党によって、その時によって異なります。)

池田:最後に、地方議員のお財布事情について思うことはありますか?

小椋:議員活動をしていて思うのは、議員は世間一般よりずいぶん恵まれていると思われる方がほぼ全員だったのですが、これらのお財布事情を正直にお話しすると、
「意外と大変なんだねー」とみんな口を揃えて言いますし、さらには自宅アパートや事務所アパートを知っている人からは同情すらされることもありますね。春・夏休み期間に受け入れているインターン大学生には「ここが事務所なの?」と毎回驚かれます(笑)

何か兼業するべきか随分悩んだこともありましたが、数千人もの有権者の皆さんから付託されて議席を預からせていただいている以上、議員活動に専念すべきだと。議員報酬だけで借金することもなく生活は出来ているので兼業せずに議員活動に専念しています。
何度も繰り返しになりますが、地方議員の報酬も待遇もピンキリで、活動スタンス、お財布事情も様々なので、あくまでも都市部の地方議員のひとつの事例ということでご参考になれば幸いです。

池田:なるほど…地方議員のお財布事情について赤裸々に語っていただきありがとうございました。

編集部より:選挙ドットコムでは他にも地方議員の懐事情についてお話していただける方を募集しています。地方議員の方でご協力いただけるという方はこちらまでお問い合わせください。

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池田麻里

池田麻里

池田麻里。 1975年生まれ。早稲田大学在学中に代議士事務所でインターンを経験。民間企業勤務を経て枝野幸男秘書へ。2007年さいたま市議会議員に初当選。3期12年にて引退。女性を政治の場へ送り出すために活動中。

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