工藤寿樹氏が当選|2015年函館市長選挙
2015/05/01
昨年4月にアジア出身者としてはじめて議員に当選したインド出身の東京・江戸川区議会議員 よぎ(本名:プラニク・ヨゲンドラ)さん。経営や情報技術・教育などあらゆる分野の知識が豊富で日本語も堪能、「よぎさん」の呼び名で親しまれ、謙虚で明るいその人柄に国内外のメディアからも引っぱりだことなっています。
よぎさんが日本の区議選に出ようと決めたのは、選挙の2か月ほど前だったといいます。「選挙を手伝う運動員に出していいお菓子は1日500円まで」など、細かな規定の多い日本の選挙。さらに、議員の仕事を進めるうえでも、政党や会派、議会では、日本独自のしきたりがあります。よぎさんはどのようなところに疑問を感じているのでしょうか。インタビューしました。
東京・江戸川区議会議員 よぎ(本名:プラニク・ヨゲンドラ)さんの経歴
1977年インド・プネー生まれ。インドの国立学校を卒業後、国際経済、国際経営の修士号を取得。情報技術と日本語の学位も取得する。1997年に国費留学生としてはじめて来日。2001年に日本のIT企業に就職。同年に結婚し、翌年には長男が誕生。
2005年に江戸川区西葛西の団地に移り住み、地元自治会の役員として夏祭りなどのイベントを企画・開催。団地に新しく入居してくるインド人に対して、ゴミの分別、生活習慣、防災などのセミナーも開催する。
在日インド大使館の支持下で全日本インド人協会を設立し、その初代会長に就任。2012年に日本国籍を取得。現在はIT企業の顧問を務めると同時に役所、外務省、企業などで客員講師として活躍。また、飲食店と文化センターを運営している。
選挙ドットコム編集部(以下、選コム):「昨年4月の区議選で初当選されたよぎさん、選挙に出ると決めたのはいつごろだったのでしょうか?」
よぎさん(以下、よぎ):「昨年の2月、インド人協会の活動の一環で、新しく日本に来る外国人に向けて、ごみの分別の方法や電車の乗り方、日常生活のマナーやルールなどを分かりやすくまとめた動画を区役所で流してほしいと、江戸川区長にお願いに行きました。
その帰りに選管(江戸川区選挙管理委員会)に行き、『選挙に出たいのですが、なにもまだ決めていません』と問い合わせをしてみました。課長さんが対応してくださり、はじめは『えっ‥!?』という反応でした(笑)
そこから、区議選の説明会に参加。政治活動をするにはまず政治団体を作らなくてはいけないこと、その申請の仕方や持っていく場所など、選管の人に詳しく教えてもらい、3月には政治団体を登録して活動をはじめました」
選コム:「選管に行った段階では決めていなかったけど、徐々に決心が固まっていったのですね。選挙に出るか出ないか、迷ったのはどのようなところででしょうか?」
よぎ:「当時、銀行の管理職の職が決まっていて、それを急に辞められないので悩みました。選挙にも勝てるかどうかわからないですが、新人議員の場合は選挙が終わってから直ぐに就任しなければならないので、難しい。出ようと決心したのは3月の半ばくらいですね」
街頭演説に立つよぎさん
選コム:「選挙運動の規定もいろいろと日本独特なものがありますが、難しかったところなどありますか?」
よぎ:「インドの選挙の規定も私は詳しくはわからないけど、それぞれの国で難しいところはあると思います。お金の規定は日本ではとても厳しいけど、インドでは携帯電話を何千人に渡すとかいう贈賄事件もありますね(笑)」
選コム:「選挙運動に使う選挙カーは事前申請しなくてはいけないなど、細かいルールはどう気を付けていましたか?」
よぎ:「選管のひとが本当に詳しく教えてくれました。ヨギさん、こういうルールがあるから気を付けてくださいね、と事前に。
ウグイス嬢の日当の上限なども、昨年は大臣の辞任にまでつながりましたが、選挙期間中は選挙の専門職の人たちにとっては稼ぎ時。相場が吊り上がるのは当然のことなので、規定する必要あるのかな?と腑に落ちない部分はありますね。
いろいろな人に平等な機会を、と設けられた規定なのは理解できますが、もっと変化に柔軟に対応できればいいのに、と思います」
(関連記事:何ができて、何ができない?選挙運動と政治活動②実践編|選挙プランナーによる必勝講座【選挙ノウハウ】)
選コム:「 その点、外国出身だからこそ感じた難しさは、特にどういったところでしたか?」
よぎ:「外国人が『無報酬で労務提供できない』という規定があり、私にとってはとても厳しい。私のまわりで手伝ってくれるという人は、外国人が多いので。日本に住民票を置いている外国人は許可してほしいですね。
※編集部注:外国人の選挙運動を禁じる規定はないが、政治資金規正法により外国人からの寄付は禁止されている。選挙運動で無償の労務提供が寄付に当たることから、「外国人は無償で労務提供できない」という解釈となる。
あと、外国の企業から政治献金を受けてはいけないとか。私の場合は、インド人の会社やっている知人が、応援しようと言ってくれることが多い。逆に100%の日系企業とそのようなつながりがなかったので、政治献金を集めることがまったくできなかったです」
選コム:「なるほど、それは不公平ですね。なかなかすぐには変えられない部分ではありますが‥」
よぎ:「外国企業から規制なく献金が受けられるのは問題かもしれませんが。たとえば日本を拠点に生活して、住民票を置いている、税金や年金を払っている人たちも一緒くたにそういう扱いはしないような新しい基準をつくる必要があると思います。
アメリカでも、徐々に黒人が参政権を勝ち取っていったように、少しずつ変化していくものだとは思いますが、それを移民社会に求められてから変えるのか、行政が必要性を判断して提供していくのか、という違いはありますね」
選コム:「日本の行政はそうしたことは、先に先には動かないイメージですね‥」
朝、駅で出勤する人たちに挨拶するよぎさん
選コム:「議員になられてから、日本の議会の進め方はどう感じていますか?」
よぎ:「議会が民主主義をなくしていると感じています。議会では『会派』があって、会派でまず意見を固めてしまって、議員はその通りに議会で投票するだけなので『民主主義』ではなくて『会派主義』ですね」
選コム:「個人の意見を主張したり議論する場ではないわけですね」
よぎ:「わかりやすいたとえがあります。ある5階建てのマンションで、エレベーターを設置しようという話になり、住民の会議で設置を決めたとします。では、その費用はどうしようという時に、マンションの2階から5階の人たちが事前に結託して『1階の人に払ってもらうことにする』と決めてしまっていたら、1階の人たちは少数派になり、負けることになる。会派主義は、これと同じことですよ」
選コム:「わかりやすいですね。それは1階の人が払うのはおかしい」
よぎ:「そうならないために、議会の中の投票は秘密にしてほしい。そうすれば会派関係なく、自分の判断で投票できるでしょ。AKBの総選挙や紅白歌合戦の投票で秘密にできるのだから、議会でもできるはずなんですよ(笑)」
選コム:「よぎさんのような様々なバックグラウンドを持つ議員さんたちの意見をより反映しやすい議会にするためには、どうすればいいのか、模索していかなくてはいけませんね」
よぎ:「はい。会派である程度大きな枠でのくくりは必要かもしれませんが、全部同じ意見である必要はない。個別に議論していきたいですね。
多文化共生の社会にしていくために、まずはお互い様々な考え方やバックグラウンドがあることを知ることが大事ですから」
選コム:「今後のご活躍を期待しています。きょうはありがとうございました」
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