相模原市議会議員の阿部善博氏が先月28日、自身のブログ内で今年3月24日告示・4月7日投開票というスケジュールで行われる相模原市長選に現在立候補の意思を示している5名について、他の選挙に転出する議員は辞職すべきか否か、という観点から取り上げています。阿部氏はブログ内で、「それぞれの活動を両立することが出来るのであれば、それが一番良いのではないか」「市民の皆さんの意見をよく聞き、理解が得られることを前提に、自分の信念と責任で判断するべき」と述べています。
(阿部善博氏のブログ本文は以下の通り)
他の選挙に転出する議員の方の辞職について、皆さんと考えたいと思います。
2月12日(火)に開催された相模原市議会本会議冒頭、議長から宮崎雄一郎議員より辞職願が出されている旨の報告があり、議場に諮られた結果、異議はなく、了承されました。議場では、議長あてに提出された辞職願が議会局長により朗読され、内容は「一身上の都合」との理由でした。
宮崎雄一郎氏は、昨年中に、4月7日(日)投開票される相模原市長選挙への立候補表明をしています。
同じく相模原市長選挙への立候補表明をしている八木大二郎氏は、2月6日(水)桐生秀昭議長に議員辞職願を提出し、神奈川県議会議員を辞職しています。
八木大二郎氏は、「すでに市政刷新に向け日々活動している中で、来週開会される県議会定例会にこれ以上在籍することは問題があると判断」し、「区切りを付け、新しい気持ちで一歩を踏み出」す、と自身のfacebookに投稿しています。
他に相模原市長選挙への立候補表明をしている3氏について、
加山俊夫市長は同じ市長職への立候補であり、任期を継続しての選挙戦になりますので、辞職はありません。
本村賢太郎衆議院議員は2月13日(水)現在、辞職等の意向は示されていません。
市民団体共同代表で首都大学東京教授の野元弘幸氏は、議員職にあるわけではありません。大学教授の身分については、大学内での決まりや個々の活動の状況等によりますので、また別の議論です。
また、相模原市議会議員から神奈川県議会議員選挙へ出馬の意向を表明している山口美津夫議員は、議員辞職等の意向は表明していません。
議員から首長へ、また同じ議員でも市から県、国、等の違う選挙への出馬を表明した場合、この議員は辞職をするべきか、また辞職するのであれば、どのようなタイミングで行われるべきか、様々な意見があります。
市民の皆さんや、議員・政治家、学者の方等と意見交換し、聞いた声や論点をまとめました。
※ここでは、市議会議員から市長選挙に立候補を表明した場合を想定してみます。
1、議員でいる間は報酬が払われるので、辞職するべき。
⇒「市議会議員の報酬で市長選挙に向けた活動をしている」「市議は次の選挙の資金源ではない」との声。
⇒「程度の差こそあれ、議員はみんな次の選挙に向けた活動をしている」との声もあります。
※ちなみに、任期途中で議員辞職した場合、その月の分の報酬は日割りで支払われることになります。
2、市議会議員の活動は、市長になるためのものではないので、辞職するべき。
⇒「市長選挙に落選しても、議員としての務めを果たす覚悟があるのなら辞職しなくて良い」との声もあります。もちろんこうした市議としての行動が間接的に市長選挙にプラスに働くという計算もあるのかもしれませんが…。
3、出馬表明をすると、当落に関係なく、職員や市民がそのような目で見て接してくるようになるので、正常な議会活動・議員活動はできない。よって議員辞職するべき。
⇒これは実感としてあることです。
辞職のタイミングについては、以下のような場合が想定され、それぞれに理由や論点があります。
A、他の選挙に出馬表明をした時点 (1年前であっても)
B、年末や議会の終了後等区切りの良い時点
C、選挙の直前
これは、いつ出馬表明をするか、という議論にもつながると思います。
1、前回の選挙で、議員としての活動を公約にしたはずなので、任期の間はその務めを果たすべき。
⇒「議員の間は選挙活動ではなく、議員としての務めを全うしてほしい」との声。
⇒「公約を果たしたら、任期途中でも自ら辞職してもよい」という別の議論もあります。
2、任期の途中なので、辞職する必要はそもそもない。
⇒「辞職することが良いことではない」「辞職が人気取りに受け止められる」との声。
3、もっと多様な選挙や議員、政治家の在り方があって良いので、辞職は必要ない。
⇒「アメリカ合衆国では、知事や議員のまま大統領選挙や予備選に出馬している」との声。
選挙直前の議会はとても忙しく感じるものです。特に統一地方選挙の前に開催される議会は予算議会であり、扱う分量が大きく、質問の調査や調整だけでなく、説明を聞くだけでもかなりの時間を取られます。また、せっかく質問を行っても、それが議会だよりに掲載される時期は、選挙が終わった後になります。自分が議場や委員会室にいる間に、ライバルたちが忙しく飛び回って次の選挙の準備を着々と進めていると考えると居ても立っても居られません。それならばいっそ辞職して…。と考えてもおかしくないのでは?
こんな見方をする人も現実にいます。
そして、こうした見方をする人がいるということも考慮しながら、自らの判断を下さなければなりません。
出馬の決断に加え、どのような結論であっても、この判断は大変な勇気が要ることです。
こうして各自が重い決断をされた、宮崎氏、八木氏はじめ、各候補予定者の方々の考えと行動を尊重しつつ、私の考えは次の通りです。
様々な状況により、判断は異なってくると思いますが、たとえ次に別の選挙への出馬を表明していたとしても、急遽議員としての行動を起こさなければならない場合もあります。100%市議の活動か、100%市長選挙に向けた活動か、という議論ではなく、それぞれの活動を両立することが出来るのであれば、それが一番良いのではないかと考えています。
もちろん市民の皆さんの意見をよく聞き、理解が得られることを前提に、自分の信念と責任で判断するべきであると考えます。
議員辞職をせずに、他の選挙に出馬した場合は、任期途中であっても、その告示日に届け出を行った時点で自動失職となります。
反対に、引退表明をしている議員の方でも、選挙に出馬しなくても、選挙の終了後も任期の間は議員であり続け、選挙で落選した人でも前職の方は残りの任期中は議員のままということになります。
例えば、相模原市議会議員の場合、今回の統一地方選挙の投開票日は4月7日(日)です。議員の任期は4月29日(月)ですので、引退された議員の方も、この市議会議員選挙で落選された方も、4月29日(月)までは相模原市議会議員であります。
一方で4月7日(日)に晴れて初当選をされた方は、前議員の任期である4月29日(月)までの間は議員ではないわけです。
今回の統一地方選挙は、5月に改元・新天皇即位があり、混乱を避けるためにも早目の実施を行うよう議論がありました。しかし、あまり早い選挙となると、継続の方は別にして、最新の選挙で選ばれた新しい人が議員ではなく、前回4年前の選挙で当選した(今回選挙に出ていない、もしくは今回の選挙で落選した)人が議員である状態が長く続いてしまう、という問題があります。
ここでも引退された方や落選された方は自ら辞職するべきとの意見もありますが、一方で議員が不在になってしまうことにもなります。
選挙の当落が決定した日をもって任期の開始とするべき、との意見もありますが、これでは同じ市議会議員の選挙を行って、ある時は長い任期、ある時は短い任期、と不平等が生じる懸念もあります。
また、任期途中であっても、首長による議会の解散や議会の自主解散が行われた場合、議員はその場で失職となります。
以上
皆さんは、どう考えますか?
相模原市議会議員
阿部よしひろ
この記事をシェアする
選挙ドットコムの最新記事をお届けします
My選挙
あなたの選挙区はどこですか? 会員登録をしてもっと楽しく、便利に。
話題のキーワード