18歳選挙権ブームは終わったのか。投票に行ったのは「10人に1人」、地方で際立つ若者の政治離れ

2018/04/30

18歳選挙権・若者と政治

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コラム

原口和徳

昨年の衆院選は18歳選挙権のもとで行われる2度目の国政選挙でしたが、10代や20代といった若い有権者の投票率の低下が目立ちました。
関連:18歳、19歳の投票率が右肩下がりの傾向へ。若者政治参加はこれからが正念場  >>

この「若者の政治離れ」は、地方政治でますます際立っています

10代有権者で投票に行ったのは4人に1人。 山口県知事選挙の事例

今年2月に行われた山口県知事選挙は過去最低の投票率(36.49%)を記録しました。その中でも10代の有権者の投票率は約23.13%と、10代の有権者で投票に行ったのは4人に1人だけといった状況になっています。また、10代の有権者の中でも、18歳(31.01%)よりも19歳(15.06%)の投票率が大幅に低くなっています。

なお、山口県の若者は常に政治に冷めているのかというと、そんなことはありません。
図表1からもわかるように、国政選挙では県知事選挙よりも10%以上高い投票率を記録しています。しかも、衆院選での「18歳投票率」は参院選よりも上昇しています。

若者を巻き込むために! 選挙管理委員会の取り組み

山口県では、10代有権者が投票する県知事選挙は今回が初めてでした。県の選挙管理委員会も、若者を取り込むべく、様々な活動を行っています。

◯県内の高校生、大学生によるキャラバン活動
◯若者を中心とした有権者の山口県に対するメッセージやカウントダウン動画の作成とテレビやラジオ、インターネットなどの各種メディアでの発信
◯選挙啓発のチラシやポスターにスマートフォンをかざすとカウントダウン動画を再生できるアプリの配信 など

このような活動がなされつつも、山口県知事選挙の結果からは若者の政治離れの傾向が示されています。
分析の対象を広げながら、「若者の政治参加」の視点で山口県知事選挙の結果から注目したいポイントを2つ紹介します。

投票したのは10人に1人。 最も投票率が低いのは20代前半の有権者

山口県知事選挙の投票率を年齢別に比較したときに最も低い投票率となっているのが20代前半の有権者です。特に、20歳と22歳の投票率は約10%となっています。

10代の投票率よりも20代の投票率が低くなり、その後年齢を重ねるにつれて投票率が上昇していくことは、他の選挙でも確認されています。「若者の政治離れ」について考える際は、10代の有権者だけでなく、特に20代前半の有権者も対象にした取組みが求められます。

消えた「かつての18歳」

参院選の時に18歳有権者だった人の投票動向から明らかになることもあります。

参院選の18歳投票率と衆院選(参院選の1年3か月後に実施)と県知事選挙(参院選の1年半後に実施)の19歳投票率を比べてみると、衆院選ではマイナス11.91%、県知事選挙ではマイナス24.38%となっています。

参院選の時に投票した18歳有権者のおよそ6割の人が県知事選挙で投票していないことになります。(注1)

参院選と衆院選の18歳投票率を比較すると、衆院選の投票率の方が高くなっています。このことからもわかる通り、「はじめての選挙」を経験した若者をいかに次の選挙での投票に導いていくのかがポイントになります。

若者の政治参加を促すためにも地方自治体の選挙が大切です

なお、地方政治における若者政治離れは、山口県以外でも確認されています。
関連:18歳選挙権ボーナスは全国で終了。それでも◯◯は投票率を確実に押し上げる!  >>

また、地方政治になると若年有権者の投票率が低下する現象はアメリカやイギリスでも報告されているように、世界的に共通する解決の難しい問題でもあります。しかし、「地方自治は民主主義の最良の学校である」との言葉もあります。

通学路の街灯や防犯カメラの設置場所、自転車通学で使う道路の段差や傷み具合のような地域の身近な問題は、地方自治体で解決することができます。実際、まちにこれらの改善の提言をした若者が、その後、問題が解決されていく様子を見て、引き続き政治に興味を持つようになる場面も、市長と学生の対話の場づくりをする中で、しばしば目にする光景です。

「若者の政治離れの傾向」ばかりが目立つ地方自治体の選挙ですが、若者が政治に関心を持つ機会としてのポテンシャルを秘めたものでもあります。

若者の声が政治に反映されていくための取り組みとしては、山口県選挙管理員会が行った取り組み以外にも、投票所を学校や駅に設置することや投票事務員としてのインターンシップの実施、出前授業等々、様々な工夫が考えられます。選挙ドットコムでも連日発信されているように、日々、全国各地で様々な選挙が行われています。来年の統一地方選挙に向けて、若者の政治参加を促すような様々な取組みが開発されていくことが期待されます。

注1:議論をシンプルにするために衆院選、県知事選挙の19歳投票率と比較しています。より正確には両選挙での20歳有権者の投票動向も加味して考える必要がありますが、20歳投票率はともに19歳投票率よりも低く結論にマイナスの影響はないため省略します

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原口和徳

けんみん会議/埼玉ローカル・マニフェスト推進ネットワーク 1982年埼玉県熊谷市出身。中央大学大学院公共政策研究科修了。早稲田大学マニフェスト研究所 議会改革調査部会スタッフとして、全国の議会改革の動向調査などを経験したのち、現所属にて市民の立場からのマニフェストの活用、主権者教育などの活動を行っている。

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