任期満了に伴う市川市長選が11月19日告示されました。立候補したのはいずれも新人・無所属で共産、自由、社民、民進の4党が推薦する村越祐民氏(43)、高橋亮平氏(41)小泉文人氏(44)、自民党が推薦する坂下茂樹氏(43)、田中甲氏(60)の5名です。投開票は11月26日に実施されます。
大久保博市長(68)が引退を表明し、今回は新人5名が立候補しました。前市長の2年8期に渡る市政の継承の是非が最大の争点と考えられます。
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元衆議院議員の村越氏は現市政について、政策の決定過程を「ブラックボックス」と例え批判。市政運営には市民の声を取り入れるべきとし、市民との毎月の対話集会を公約としました。また、JR市川大野駅と船橋法典駅間の新駅設置計画は見直す姿勢を示し、「市民サービスを充実させ市民の困りごとを1つ1つ失くしていきたい」と意欲を見せています。この他、「知恵を生かしたオンリーワンのまちづくりを目指したい」として、政務活動費の廃止、予防医療などによる社会保障費の抑制、商店街振興などを政策として掲げました。
村越氏は市川市出身、青山学院大学国際政治経済学部卒業、早稲田大学大学院法学研究科中退。株式会社日本シリコングラフィックス(現日本SGI)の社員を経て千葉県議会議員を1期、衆議院議員を2期務めました。外務大臣政務官や複数の民間企業の顧問も経験しています。
高橋氏は大久保市政で実施された財政改革について「市民の負担を増やし行政サービスを縮減した」と批判。世界に発信できるような自治体運営を目指したい、と述べています。市川市が県内最多の待機児童を抱えている点を問題視し、待機児童ゼロや学力向上と公教育立て直しといった子育て支援、さらに中小企業へのコンサルティング支援の整備、地域分権と支所機能強化など町づくり政策を公約に掲げました。「現在の政治は一部の政党や一握りの人たちだけが得をしている。市民一人ひとりの力で政治を変えるため、私が皆さんの代わりに矢面に立つ」と決意を述べました。
高橋氏は市川市生まれ、明治大学理工学部建築学科卒業。市川市議を2期務めた他、松戸市政策担当官・審議監や中央大学特任准教授を経験しました。
小泉氏は「市民の足」を充実させる政策を中心に展開しています。具体的には65歳以上および3歳未満の子供の保護者、障害者を対象に市内バス運賃一律100円、タクシー代補助チケット、公営駐輪場無料化を掲げました。また、立候補を表明した際には、まち・人・暮らしを軸とした「人が主役のまちづくり」を行うとして、保育士の処遇拡大、固定資産税の減額、スポーツ教育の推進を公約として発表。今月10日に開催された公開討論会では「街を支える生産人口の増加」を訴え、人口を現在の約48万人から55万人に増やし市民税の増収を目指したい考えを示しています。
小泉氏は市川市出身、青山学院大学経営学部経営学科中退。株式会社集英社、株式会社イースト(現株式会社イースト・グループ・ホールディングス)、衆院議員公設秘書を経て県議を2期、市議を2期務めました。
自民党から推薦を受ける坂下氏は大久保市長の後継者として立候補し、「大久保市政を受け継ぎ、国や県と一緒に事業を進めていきたい」と決意を語っています。現在を「地方自治の変革期」と捉え、限りある財源を市民目線で適正配分していく方針を示したうえで「政治は継続が必要であり、政治の原点は市民の命と財産を守ることだ」と述べました。具体的には3次救急病院の誘致、待機児童の解消、駅のホームドア設置などを政策に掲げています。
坂下氏は市川市出身、日本文化大学法学部法学科卒業。故・金子和夫県議の秘書を経て市川市議を2期、県議を2期務めました。
元衆議院議員の田中氏は、市川市を「自然豊かな文教都市」にすることを目指したまちづくりを進めたい考えです。子育て支援を中心に政策を展開し、待機児童問題の解消に総合的な保育のためのステーションづくり、空き教室の保育園としての利用などを提案しています。また将来の外環道開通に伴う総合交通体系が必要であると主張。「京成線の高架化・立体化はやるべき最大の問題」とし、総合交通体系の整備、電線の地中化、災害を想定した人命救急システムの構築を県議や国会議員時代の人脈を駆使して実現したい、と述べました。
田中氏は市川市出身、立教大学社会学部卒業。市川市議を1期、千葉県議を2期、衆議院議員を3期務めました。
現職の市長の引退に伴い、今回は新人による争いとなりました。5名の候補者がそれぞれに政策を展開していますが、主に前市長の市政の継続か刷新かが争点と考えられています。市民が望むのはどのような市政か、注目が集まりそうです。
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