
10月に決まった衆議院の解散総選挙。北朝鮮からのミサイル発射や森友学園・加計学園にかかる疑惑が収束していない中、野党第一党である民進党の代表交代とそれに前後した所属議員のスキャンダルや、小池都知事を中心として立ち上げる新党の体制が整っていないタイミングでの急な解散となり、どの陣営もあわただしい動きを見せています。
ここで、3年前の解散総選挙はどのような状況で、候補者は何を訴え、どんな結果になったのか、各党の選挙に掲げたスローガンを確認しながら振り返ってみたいと思います。
2012年に再び政権を奪還した自民党、安倍内閣は、2015年10月に消費税を10%に増税するととしてた決定を2017年4月まで1年半引き延ばす(後にさらに2年半延期して2019年10月予定)ことに関しての信を問うために解散に打って出ました。
当時民主党は野党転落後に就任した海江田万里代表体制で、前年の参院選での大敗から立て直しを目指していました。
結果的に、自民党は4議席減。公明党の4議席増と合わせて政権与党は定数の2/3を維持。民主党も大敗した前回選挙より10議席伸ばしたものの、代表の海江田氏が小選挙区で落選し、比例復活もできないという事態に。一方で共産党は13議席増。保守主義を強く打ち出した次世代の党は19あった議席を2議席まで減らしてしまう結果となりました。
各政党がどのようなスローガンを掲げて闘ったのか、当時の政権公約集(マニフェスト)からピックアップしてみました。
※2014年の流行語は「ダメよ~ダメダメ」「STAP細胞はあります」「号泣会見」などがありました。
アベノミクス解散と呼ばれたこの選挙。賃上げ率の上昇や、倒産件数の減少など、2012年から2年間であげた経済政策の成果を強調するものとなっていました。
政権与党の一角としての独自性を出すべく、消費税を10%に引き上げた際に食料品などの税率を据え置き、または引き下げをする「軽減税率」の導入を前面に出し、生活者の視点を強調していました。
実質賃金の低下、非正規雇用の増加、GDP減少といった数字をあげながら、アベノミクスから転換し、「厚く、豊かな中間層」の復活を訴えました。
増税凍結法案を独自で提出していた維新の党は、大阪での実績をアピールしながら国会議員定数削減や、公務員給与の見直しを強く押し出しました。
国防の問題等には積極的に意見表明をしていたものの、経済については政権与党との違いをアピールしきれなかった次世代の党が、大幅に議席を減らすこととなりました。
民主党政権の失敗の記憶も新しく、政権批判票の受け皿として機能しました。
その他の政党は以下のようなスローガンを掲げていました。
生活の党:生活者本位の国へ。
社民党:平和と福祉はやっぱり社民党
新党改革:脱原発する保守政党 豊かな社会へ
幸福実現党:この国に、もっと自由を。
支持政党なし:責任を持って「政策一切なし」
この選挙でも小政党は苦戦を強いられ、生活の党は当選者2名で政党要件を喪失。社民党は辛うじて現有の2議席を確保。新党改革、幸福実現党、支持政党なしは当選者を出すことができませんでした。
※世界経済共同体党、犬丸勝子と共和党、減税日本、みらい党は党のマニフェストが確認できませんでした。
今回も各政党がどんなスローガンで選挙に臨むのか、また、選挙が終わった後にどのような政策を進めるのか、といったポイントで政治を見て、また次の選挙で投票先を決める際のチェックポイントの1つとして活用してみてください。
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