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【茨城県知事選】投票で若者が最大勢力になれるたった一つの方法

2017/8/24

原口和徳

原口和徳

週末の投票日に向けて、茨城県知事選挙の情報を目にする機会が増えてきました。
でも、若者は政治に参加できるのか?  ふと、こんなことを思うことはないでしょうか?

「いくら私たち若者が投票に行っても、結局は、おじいさんやおばあさん、私たちよりも人口の多い世代を向いた政策が優先されてしまうはず
「無駄になってしまうのだったら、候補者や政策を調べたり、投票に行くことに時間を遣わずに、バイトや勉強でもしていた方が役に立つ

有権者の中で高齢者の割合が増加し、高齢者層の政治への影響力が増大する現象を表す「シルバー民主主義(デモクラシー)」という言葉もよく目にします。若い世代は他の世代よりも投票に参加しないとも言われていますし、ますます若者の意見が影響力を持つことは難しそうな気がします。

比べてみたら、20代の投票者は60代の1/3しかいなかった

世代別の人口と投票率、推定投票者数(世代別人口×投票率)をグラフにしてみると、よりはっきりしてきます。

図表①_参議院議員選挙(茨城県選挙区)における年齢別投票動向(抽出調査)

図表1_参議院議員選挙(茨城県選挙区)における年齢別投票動向(抽出調査)

図表1は、昨年の参議院議員選挙を題材に図示したものです。抽出調査における推定投票者数では10代・20代が3,873人であるのに対して、60代では10,182人。60代の推定投票者数が10代・20代の推定投票者数の約3倍になっていることが分かります。この調査は抽出調査ですので実際の投票者数とは異なりますが、投票者数の割合は概ね変わらないものと想定されます。

これまでの選挙はどうだったの?

図表2では、2000年代に行われた茨城県知事選挙及び茨城県議会議員選挙の年齢別投票率をまとめています。

図表②_県知事選挙及び県議会議員選挙における年齢別投票率

図表2_県知事選挙及び県議会議員選挙における年齢別投票率

20代や30代有権者の投票率は、一貫して他の世代よりも低いものとなっていることが分かります。

加えて、今後は若い世代の有権者が減っていくこともポイントです。

図表③_茨城県の人口ピラミッド

図表3_茨城県の人口ピラミッド

図表3にあるように、現在、茨城県に多く住まわれているのは60代や40代前半の世代であり、20代や30代といった若い世代の割合は年々減少していきます。

政治のことを3人の友人に話してみよう

それでも、若者の想いを政治に反映していきたいと思ったら。

そう、若者の投票者数を増やしていけばいいのです。10代・20代の若者が政治について感じたことや学んだことを3人の同年代の人に話してみたらどうなるでしょうか。
その世代の投票率は30%程度ですので、確率的には話しかけた人のうち2人はこれまでに投票に行っていないことになります。その人と一緒に投票に行ってみる。話を聞いた人が同じように3人に話をしてみる。そして、また投票に行く人が増える。そうしてつながりが広がっていったら。

10代・20代有権者の投票率が3倍になると、推定投票者数は60代の推定投票者数を上回ります

たった3人の友人に対して政治について感じたことや学んだことを話してみるだけ
そう考えてみると、具体的な行動がイメージしやすくなりませんか?

もちろん、政策的な主張は年齢だけで決まるわけではありません。筆者自身、「自分よりも子や孫のための政策を優先して欲しい」と主張される高齢者の方のご意見を伺うことも多々あります。

例えば、同居しているなどの理由で、ご両親や祖父母など、異なる世代の方が身近にいる場合は、自分たちの味方になってもらうことも考えられます。
もし成功したら、若者の立場に立った投票者(味方)が増えることに加えて、他の世代の立場に立った投票者が減ることになります。このことは、同世代の友人を巻き込むときの2倍の影響力を発揮することになります。

茨城県に暮らす若者だから訴えたいこと

人口10万人当たりの小児科のお医者さんの数は、茨城県が全国で最も少ない状況が5年以上続いている

保育園の増設が進んでいるものの、県内の保育園の待機児童が1年間で134人増えている(待機児童は全部で516人)

県内の学童保育(放課後児童クラブ)の待機児童も1年間で136名増えている(待機児童は全部で478人)

 

茨城県を取り巻く情報の内、若者の立場から特に気になりそうな情報を取り上げてみました。
【関連】いばらき賢人〔http://citizenship-edu-ib.strikingly.com/

年齢だけが有権者の意識(政治的選好)を決める要因でありませんが、例えば「子育て」に関することのように、生涯において特定の世代だけが当事者として接する社会的課題もあります。

これらの社会的課題を、政治の重要テーマとして取り上げ、解決に近づけていくためには、若い有権者の皆さんの行動が大切になります。なにも、選挙に立候補したり、街角でデモをしたりしなくても大丈夫です。

ご紹介してきたように、身近な友人や家族に話しかけ、投票参加を促していくことで状況を大きく変えていくことができます。

その一歩は「シルバー民主主義」という言葉すら「かえって同世代の友人や、異なる世代の人と話し合うきっかけになった」と前向きに乗り越えていくことにつながっていくかもしれません。

 

それと、もう1つ。
確かに、平日でも、休日でも、投票に赴くための負担は、時間に融通をつけにくい若い世代ほど大きいものとなります。ただ、近年は期日前投票所の設置場所の工夫など、投票しやすい環境づくりも進んでいます。投票自体は、受付から記名・投票まで10分もあれば済ませることができます。想像しているよりも少ない負担で投票することができるかもしれません。

「シルバー民主主義」などと表現される若者の政治的な無力感は、「友人や家族、3人に話しかけてみること」といった、ちょっとした行動で変えていくことができます。

いままで誰も解決策を見出していない「シルバー民主主義」。身近な3人に話しかけてみるといったことから、克服への第一歩を踏み出してみませんか。

各地で様々な工夫が凝らされながら、選挙が様々な世代の有権者にとって前向きに政治に対して意見表明をするチャンスとなっていくことが期待されます。

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原口和徳

原口和徳

けんみん会議/埼玉ローカル・マニフェスト推進ネットワーク 1982年埼玉県熊谷市出身。中央大学大学院公共政策研究科修了。早稲田大学マニフェスト研究所 議会改革調査部会スタッフとして、全国の議会改革の動向調査などを経験したのち、現所属にて市民の立場からのマニフェストの活用、主権者教育などの活動を行っている。

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