7月2日に投開票が行われる東京都議会議員選挙について、告示直後に各報道機関が行った世論調査の数値が出揃いました。選挙ドットコム編集部では選挙アナリストの平木雅己氏の協力の下、これらの調査から政党や知事への支持率、知事が示した市場移転方針、関心度について数値を読み解きました。
参考としたのは、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞や共同通信などが行った「小池知事への支持・期待」や「都議選での投票意向」「前回の都議選の際の投票先」「小池知事が豊洲移転を決めたことへの評価」などに関する電話調査です。
各報道機関の「どの政党の候補者に投票するか」との質問に対しての回答で、自民党と都民ファーストの会の数値を比べたところ、都民ファーストの会が自民党を「わずかながら上回る」か「拮抗」していて、都議会第一党をめぐり、両党が激しい競り合いを続けています。
公明党への支持は安定している様子が伺えます。共産党は民進党をやや上回る情勢となっており、民進党の苦戦が伺えます。東京・生活者ネットワークや日本維新の会は一定の支持を受けているものの、議席獲得に結びつけることができるのかが注目されます。
「仮に今、都議選の投票をするとしたら、どの政党の人に入れたいと思いますか。」との質問に対して、自民党と答えた人は25%、都民ファーストの会と答えた人も25%でした。自民党、都民ファーストの会とも、前回6月3~4日に行われた調査から2ポイント減少しているものの、告示後も両党への支持は並び、激しく競り合っている状況です。
民進党は1ポイント減少の7%、共産党は1ポイント増加の7%、公明党も1ポイント増加の6%となっていて、以下、維新の会2%、社民党1%、生活者ネット1%、無所属6%、答えない・分からない20%でした。
「都議選で投票する候補者の政党」は、自民党23%、都民ファーストの会26%となっていて、前回5月20~21日に行われた調査と比べると、都民ファーストの会が4ポイント増加(22%→26%)、自民が2ポイント減少(25%→23%)し、都民ファーストの会が自民党を上回りました。都民ファーストの会は「自民支持者の24%、無党派層の31%」の支持が集まり、勢いが読み取れる数値です。
共産党は2ポイント増加の8%、公明党は1ポイント増加の7%、民進党は1ポイント減少の4%、その他の政党・団体は1ポイント減少の2%、無所属は1ポイント減少の5%、答えないは1ポイント減少の25%でした。
9社合同調査のうち、毎日新聞が発表した数値を見てみます。それによると、都議選で投票する人を決めたもしくはだいたい決めた人に、「どの政党・政治団体の候補者ですか」と訊ねたところ、自民党26%(男性29%-女性23%:以下同じ)、都民ファーストの会27%(29%-25%)とわずかながら、都民ファーストの会の支持が自民党を上回りました。
続いて、共産党13%(15%-11%)、公明党12%(8%-16%)、民進党8%(8%-9%)、東京・生活者ネットワーク2%(2%-1%)、日本維新の会1%(2%-0)、分からない・無回答9%(6%-13%)などとなっています。
前回5月27~28日に行われた調査と比べると、都民ファーストの会は11%(13%-9%)から27%(29%-25%)、自民党は17%(17%-17%)から26%(29%-23%)となっていて、特に、都民ファーストの会が女性の支持を大きく伸ばしていることが明らかになりました。
さらに、前回13年都議選で「自民党に投票した人のうち27%」「民主党に投票した人のうち39%」が、都民ファーストの会に投票すると答えていて、都民ファーストの会は、自民党支持層3割弱、民進党支持層から4割弱を集めそうだという結果がわかりました。
一方、「今回も引き続き自民党に投票する人は54%」「前回民主党に投票した人のうち今回民進党に投票する人は30%」となっていて、「自民党候補は前回票の半分強」「民進党候補は前回の民主党候補の3割」程度の支持に留まっています。
「知事を支持しますか」と訊ねたところ、朝日新聞の調査では59%、9社合同調査では67%(66%-67%)が「支持する」と答えたものの、朝日新聞の調査での知事への支持率は、74%(4月1-2日調査)→70%(6月3-4日調査)と減少が続き、このうち、無党派層からの支持率も73%→64%→56%と減少しています。
知事が明らかにした「築地市場を豊洲に移転した上で、築地を再開発して市場機能を持たせる方針」について訊ねたところ、
朝日調査では「賛成52%、反対30%」
読売調査では「賛成50%、反対26%」
で基本方針に賛成する人の投票先は、都民ファーストが37%と最も多く、反対する人の投票先は自民党が37%で、知事と自民党の対立構図が、移転問題の賛否に表れています。
9社合同調査では「評価する55%(55%-55%)、評価しない31%(35%-28%)」などとなりました。
「都議選で投票する人を決めるとき、市場移転を重視するかどうか」については、朝日調査では「重視する30%」「重視しない63%」でした。読売調査では、争点として重視するテーマを訊ねたところ、市場移転問題は48%で、「医療や福祉政策」76%、「地震などの防災対策」65%などと比べると低い順位でした。
都議選への関心度は、朝日調査で「大いに関心がある」と答えた人は40%で、前回13年都議選の20%、前々回09年都議選の37%を上回っています。
この数値を投票率と比較してみますと、前回13年の関心度20%→投票率約44%、前々回09年の関心度37%→投票率約54%となっていて、関心の高さから投票率は前々回09年並となる可能性もあります。
こうした事前の調査結果が報じられますと、情勢が有利な政党・候補者に支持が集まる「バンドワゴン効果」と、負けそうだと報じられた政党・候補者に同情票が集まる「アンダードッグ効果」があります。
有利だと報道された政党・候補者は、「更に勢いを増していく」ために、負けそうだと報じられた政党・候補者は、「当落線上の戦い、何卒、皆様の力で押し上げて下さい!」と、投票日に向け、投票する人を決めていない・決まらない有権者層(「答えない・わからない」と回答している人、朝日調査20%、読売調査25%)への一層の働きかけを強めていきます。
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