6月7日、2017年の都議会第2回定例会が閉会となり、今任期の都議会を全て終えた。
いよいよ今月23日に都議会議員選挙が告示となるわけだが、選挙というと、どうも「選挙公約」によって候補者を選択するとの理解をしている方が多いようだが、一方で、現職の議員たちがこの4年間の任期の間に何をやったかをチェックする事も重要な要素と言えるのではないかと思う。
そこで今回は、前回の都議会議員選挙が行われた直後の2013年の第3回定例会から今月7日に終えたばかりの2017年の第2回定例会までの計16回の定例会での本会議における議員の質問回数を集計してみた。
都議会本会議における質問の形式は、一定規模以上の会派が代表者を出して行われる代表質問、会派に割り振られた枠の中で個人で行う一般質問、特に制限のない文書による質問である文書質問趣意書がある。
この4年間の質問の総数は、代表質問が62回で、議員1人当たりにすると0.49回。一般質問の総数は291回で1人当たり2.31回。文書質問趣意書の総数は142回で1人当たり1.13回。
こうした質問を全て足すと合計の質問総数は495回、1人当たり3.93回だった事が分かった。誤解を恐れずに単純化してしまえば「1年に1回質問する楽なお仕事です」という事になってしまうだろうか…
しかし、それでは困るということは言うまでもないだろう。
質問回数を会派ごとに見ていくと、質問回数が最多の会派は東京都議会自由民主党の150回だった。次いで多いのは、民進党都議によって設立された東京改革議員団で101回、日本共産党東京都議団の99回と続く。
ただこうした質問回数も所属議員数で割って1人当たりの回数にするとだいぶ変わる。
1人当たりの質問回数が最も多かった会派は、都民ファーストの会 東京都議団の8.60回、次いで都議会生活者ネットワークの7.33回、この2会派の質問回数が飛び抜けていた。
3位は日本共産党東京都議会議員団の5.82回、東京改革議員団の5.61回、無所属も5.20回と都議会議員全体の平均を上回った。
一方、質問回数が最も多かった東京都議会自由民主党が1人当たりになると2.68回まで下がり、最も少ないのは都議会公明党の2.45回だった。質問の形式ごとにも見ていくと、代表質問は、16回の定例会で毎回各会派1人ずつ質問する事になるので16回で並ぶ。自民党は質問に立った議員が現職でなくなったため14回となっている。一方で、一定数の議員が所属しないと代表質問を行えない制度になっているため、都民ファースト、ネット、無所属はゼロとなる。
次に一般質問だが、これは会派ごとに質問の枠を配分する形式で行われている。291回の質問全体の中で、130回を自民党が占め、この数が自民党の質問数を押し上げている。次いで多いのが改革議員団の48回、公明党の38回、都民ファーストの22回と続く。1人当たりで考えると最も多いのはネットの5.33回だった。
最後に文書で質問を行う文書質問趣意書だが、最も多いのは共産党の64回、次いで改革議員団の37回、都民ファーストの21回となり、1人当たりにすると都民ファーストの4.20回が最も多かった。一方で、自民党6回、公明党0回という結果に。回数制限など特になく、議員の意思で行える文書質問だが、国会においても与党は質問主意書を出さない事が一般化しているが、小池知事就任後もメディア報道等では「対立構造」と言われている自民党から質問が増えることはなかった。
今回の質問回数の調査を個人別に見ると、代表質問、一般質問、文書質問趣意書の3点の質問回数の合計が15回と最も多かったのは、中村ひろし氏(東京改革議員団・三鷹市)と上田令子氏(都民ファーストの会 東京都議団・江戸川区)だった。3位に14回で音喜多駿氏(都民ファースト・北区)、4位に13回で斎藤あつし氏(改革都議団・小平市)と尾崎あや子氏(共産党・北多摩一)が入った。
10位までに入った議員を会派構成で見ると、東京改革議員団と日本共産党東京都議会議員団が4人ずつ、都民ファーストの会 東京都議団が3人、都議会生活者ネットワークが2人、無所属が1人という事になった。
56人いる自民党と、22人いる公明党からは1人も入らないという結果となった。
質問回数もカテゴリーに分けると、順位の様子も大きく変わる。
代表質問回数では、1位が6回で尾崎大介氏(改革都議団)、2位が4回で長橋桂一氏(公明党)と石毛しげる氏(改革都議団)、3位が3回で高木けい氏と宇田川聡史氏(自民党)、斎藤あつし氏(改革都議団)と並ぶ。
特徴的なのは、10位までに公明党が4人、自民党が3人入っている事。この他に改革都議団、共産党も3人入った。
一般質問回数はまた少し様子が変わる。
1位は6回で、上田令子氏(都民ファースト)と小松久子氏(生活者ネット)、3位は5回で、川松真一朗氏・小宮あんり氏・和泉武彦氏(自民党)、大松あきら氏(公明党)、田中朝子氏(改革議員団)、おときた駿氏・両角みのる氏(都民ファースト)、山内れい子氏・西崎光子氏(生活者ネット)、やながせ裕文氏(維新の会)と並ぶ。
会派別に見ると、自民党が3人入った一方、都民ファーストも3人、生活者ネットは所属する全員が3位までに入った。
会派では無所属扱いとなっているが、維新の会も1人しかいないので、全員が3位以内という事になる。
文書による制限のない質問である文書質問趣意書の1位は10回で中村ひろし氏(改革議員団)だった。
2位には9回で尾崎あや子氏(共産党)、上田令子氏・おときた駿氏(都民ファースト)が入った。
特徴的なのは、Best10に共産党が5人入っている事。次いで改革議員団が3人、都民ファーストが2人だった。
さて、今回データ収集して行なった都議会における各議員の質問回数調査だが、今回の調査対象とした前回の都議会議員選挙から今回の都議会議員選挙までの任期期間4年間16回の定例会の中で、代表質問も一般質問も文書質問趣意書も一度も行わなかったオールゼロ議員が10人もいた。
もちろん議会での質問だけが、議員の仕事であるとは思わない。
一方で、では議会質問が議員の仕事ではないのかと言えば、「そうだ」という議員は少ないはずだ。もちろん重要なのはその中身で、都議会の議事録を読んでいるとレベルの低い質問も多い。
しかし、そんな質問の質も質問しない事には始まらない。これまでの選挙は、選挙の際に発しられる「綺麗ごと」だけを聞いて判断されてきた。特に現職議員、元職議員については、議会の中でどんな仕事をしてきたのかをしっかりチェックをしていく必要がある。
こうしたデータを公表すると、「質問なんて野党が」という議員がいたりする。実際に所属議員が多いと質問が回ってこない構造もあったりもする。一方で、先述したように制限なく議員個人で対応できる文書質問などもある。
政党や会派ごとにお作法もあるので、政党ごとの全議員一覧も添付する。是非、地元の議員が都議会でどのように活躍しているのかを知る一助にしてもらいたい。
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