臨時国会が始まり、各政党のリーダーたちが様々な演説を行うシーンが報道されるようになりました。
そこで出てくる国会議員の肩書は「首相」「代表」「幹事長」…と様々。会社のような「社長」「部長」「課長」だったり、部活の様な「キャプテン」「副キャプテン」だったりではなく、いまいち政治家の肩書って複雑な印象がありますよね。一体だれが偉いのか、よく分からない… そんなこと、ありませんか?
そこで今回は、政治家の肩書をまとめ風にご紹介。政治家の絶妙なパワーバランスの世界へ出かけてみましょう。
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まずは各政党のリーダーを見てみましょう。どんな中小企業でもやっぱり社長はその組織の行く先を左右するので大きなパワーを持っています。国会では、党首討論と言って各政党のリーダー同士が議論する場も設けられています。
日本の政治で1番強いパワーを持つ、内閣総理大臣はこの各政党のリーダーの中から基本的には選ばれます。選挙で一番当選数が多かった政党のリーダーが、指名を受ける形になるんですね。そのため、与党(今でいうところの自民党)のリーダーは総理大臣に、そして野党第一党(今でいうところの民進党、野党の中で一番勢力が大きい党をこう呼びます)のリーダーは次の総理大臣になる可能性も高いといったように、とても大きな影響力をもっているのです。
さて、そんな党首の呼び名は各政党で違ってきます。イメージするなら部活によって「部長」「キャプテン」「主将」と呼び方が違うようなもの。現在国政政党の要件を満たしている政党で言うと一覧は以下の通り。皆さん的に一番カッコイイのはどの呼び名でしょうか。
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早稲田大学ではサークルのトップを「幹事長」というところも多いそうですが、政党の幹事長は専らNo.1のポジションではなさそうです。しかし、実際にはいろんなパワーを握っていて、党内のいろいろなことを切り盛りしていく役割になります。
例えば、幹事長は「公認権」という物を持っていることが多いです。「公認権」とは選挙の時の候補者を、その政党が公式に認めた候補者として認める権利です。もし候補者が公認されなければ、その候補者は政党の協力なしで選挙をしなければならなくなり、お金的な面でも、協力してくれる人的な面でも、その他諸々の制度上な面でも厳しい選挙を強いられることになります。みなさんも、○○議員だから投票した、ということばかりではなく、○○議員は○○党の議員だから投票した、ということはないでしょうか。
チームの一員として認めるか認めないかの権限を握っている幹事長は、いわば選挙の当落を左右する権限を持っているようなもの。中々頭も上がらないというものなのでしょう。政治の世界って厳しいですね。
ちなみに、裏を返せば幹事長は公認した候補者の世話をし、選挙で勝てるよう全力でバックアップしなければなりません。その点、選挙が終わった後に党内のあらゆる人に感謝されることも多く、そういった点で党内の仲間を増やせる=次の党のリーダーを決める選挙で有利になるといったことも可能になってくるオイシイポジションです。
次にご紹介するのはこちら、「政調会長」というポジション。政治家の仕事は法律や政策を立案することですが、この政調会長は政党としての政策作りを行うことが仕事となります。
例えばある政党が「◯◯に関する政策を作ろう!」ということを党の方針として掲げたとします。するとこの政調会長を中心に学識経験者などを集めて、どんな政策を実施すれば良いのかを検討します。そこで作られた政策案が、政党のマニフェスト(公約集)に記載されたり、国会に法案として提出されたりするのです。
ちなみにこの政調会長というポジション、政策を司るだけあってそこそこに党内では「偉い」ポジションとなります。自民党で言えば、この政調会長を経験することが総理総裁への登竜門とも言われています。
そして最後にご紹介するのはこちら、「顧問」というポジション。部活で言うところの顧問は、実に強大なパワーを持っているところから、お飾りのところまで様々ですが、国会議員で言うところの顧問は基本的に元総理や元衆議院議長・参議院議長を務めた人や四半世紀以上議員を務めた人がなるポジションです。いわゆる長老が就任するポジションです。
総理大臣や衆議院・参議院議長という三権のトップを経験した後も、一国会議員として国政に携わっている政治家は結構多いです。そんな国会議員が、顧問として影の権力者となり大きな影響力を持ち続けることもたまにあるようです。ちなみに民進党には「最高顧問」という役職もあります。なんだかとっても強そうです。
さて、ここまでそれぞれの肩書についてお話してきましたが、こういった肩書は実はよくよく考えられた知恵の結晶という側面もあります。
歴史を見ればわかる通り、権力の椅子を巡り血みどろの争いが長い時間の中で繰り広げられてきました。そんな中で、たくさんの役職をつくり、権力を分散させ、誰が偉いのかをあいまいにすることで、「なあなあ」にさせることが余計な争いを生まないことにもつながっているのかもしれませんね。
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