
9月26日に開会した第192回国会(臨時会)、安倍総理の所信表明演説への代表質問を経て、10月11日に本年度第二次補正予算が成立、各委員会での大臣所信と所信への質疑も始まり、これから本格的な法案の審議に入る。
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巷では、14日に審議入りしたTPPの協定本体と関連法案に注目が集まっており、国会周辺では反対派の市民団体等によるデモ活動が徐々に活発になってきている。野党は、交渉参加に向けた関係国との協議に入ることを決めた旧民主党系も含めて、TPP反対を表明。予算委員会でも、輸入米のSBS方式を巡る問題を含め、TPP反対の論陣が張られてきた。
さらに最近では、山本有二農林水産大臣の「強行採決」発言を巡って審議が紛糾、野党側は山本大臣の辞任を求めて審議拒否。完全に膠着状態に陥っている。なんだかこの状況、理由は違えど、先の常会での西川公也議員の著書を巡り紛糾した時のようだ。(もっとも野党側もいつまでも審議拒否をつづけるわけにはいかないだろうから、どこかで折り合いをつけることになると思われるが。)
こうした反対の動きに対し、与党側は他の関係国に先駆けて批准することの重要性を強調し、国会での早期承認に向けた意欲を重ねて示している。(一部には遅くとも11月上旬の衆院通過を目指しているとの話もある。協定自体は衆院を通過させれば、後は参院に放り投げておいても、必要期間会期を延長すれば自然成立するという算段ということだろう。)
一旦署名された条約であっても、先走らずに関係国の対応を横目で見ながら、場合によってはノラリクラリというのは、条約の批准による国内への影響が大きければ大きいほど当たり前の対応であり、その結果条約自体がお蔵入りとなったという事例もある。
そもそもアメリカで批准の見込みが全くない中で、なぜそんなに急ぎたいのか摩訶不思議といったところだが、これを安倍政権の外交音痴と見るか、TPP推進は実は擬態で本当はやる気がないと見るか、はたまたTPPと関連法案の審議入りには別の目的があると見るか。
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それ以前に、本当にTPPと関連法案が今国会の重要法案なのだろうか。
今国会、会期が11月30日までの66日間。限られた日程であるので、政府提出法案の本数は限定されているというより抑制されていると言った方がいいような状況。別の言い方をすれば、政府提出予定法案以外の法案を審議する余裕はないに等しいと言っていいだろう。そんな中で審議が膠着するようなことがあれば、数を絞った政府提出法案でさえも来年の常会に持ち越し(継続審議)ということにもなりかねない。会期を延長するにしても、12月に予定されている安倍総理とプーチン大統領の会談を考えると限界がある。
先に、小幅な会期延長によるTPP自然成立の可能性に触れたが、こう考えてくるとそれすらもギリギリの状況であるように思われる。そもそも、臨時会の開会、当初言われていた9月中旬よりも後ろ倒しになり、その分会期は短くなっている。TPPと関連法案を今国会の最重要法案と政府が考えているのであれば、先の常会での混乱・紛糾・審議延期という実体験を踏まえて会期を予め長めに取っていてもおかしくないのではないか。しかも今回は常会と違って、日露首脳会談に加えて、来年度予算の政府原案の決定という最重要案件が12月に控えている。その点からも会期の延長には限界があると考えざるをえない。
そうなると、TPPと関連法案の今国会での成立に、現政権は必ずしもこだわっていないのではないかと思われてならない。無論、最初から「成立はいつでもいいです。」などとは口が裂けても言えまい。したがって、「早期成立」なり「成立に全力を尽くす」なりと、本心かどうかは別として言うことになるわけだが、そうなると現政権、安倍総理の最大の関心はどこにあるのか。
次回はその辺りについて少々掘り下げて考えてみよう。
※本記事は「政治・政策を考えるヒント! 室伏謙一 (公式ブログ)」の10月21日の記事の転載となります。オリジナル記事をご覧になりたい方はこちらからご確認ください。
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