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小沢一郎氏の新生「自由党」に勝機はあるのか~構想力と情報発信力が決め手

2016/10/17

児玉 克哉

児玉 克哉

20160909

小沢一郎氏は、山本太郎氏と共同代表を務める「生活の党と山本太郎となかまたち」の党名を「自由党」に変更した。豪腕といわれた小沢氏は政党を作っては潰し、また作る、という作業を繰り返してきた。1969年から93年までは自民党に所属し、党幹事長などを歴任し、「いずれは首相の座に」といわれた。それを振り切って、新生党を作り、非自民連立政権の中核を形成した。94年には、自社さ連立政権成立により下野し、新進党に合流した。98年には自由党を結成し、保守改革路線を模索した。この自由党には二階俊博氏(現自民党幹事長)や小池百合子氏(現東京都知事)、海部俊樹氏(元首相)、河村たかし(現名古屋市長)などの名前もある。
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2003年からは民主党に合流。民主党代表を務めるなど党の中核を担った。小沢氏は選挙担当筆頭代表代行として2009年の第45回衆議院議員総選挙の指揮を執った。その選挙では民主党は143人の新人議員を当選させることができた。彼らは「小沢チルドレン」と呼ばれた。民主党の野田内閣の時期に党内での亀裂が生まれ、12年には国民の生活が第一を立ち上げた。民主党時代の小沢チルドレン、小沢ガールズなどの一年生議員の多くを引き連れ、衆議院は民主党・自由民主党に次ぐ第3党、参議院は民主・自民・公明党に次ぐ第4党というかなりの勢力の新党を形成した。その後、日本未来の党、生活の党などに合流、分裂を行った。一年生議員が多かったために選挙ごとに党所属の議員数は少なくなった。ついには14年に政党要件の5名の国会議員の確保に窮し、山本太郎氏を入れて、生活の党と山本太郎となかまたちを結成した。

なんとも激動の展開だ。自民党の幹事長などで豪腕をふるい、新生党や民主党では非自民の政権樹立に重要な役割を果たした。衆議院での当選回数は実に16回になる。

これだけの変遷を経て、かつての「自由党」の名前に戻した。小沢氏が目指していた保守改革路線に立ち戻ろうということだ。小沢氏は保守の巨大政党である自民党を出て、自民党とは違う保守政党をつくろうと模索した。「壊し屋」とも言われる性格もあり、所属政党が徐々に小さくなり、かつての改革派保守の面影は消えている。山本太郎氏がかなりのラディカル路線であることもあり、「生活の党と山本太郎となかまたち」が保守政党とみる人はほとんどいない。それを90年代の「初心」に戻って、作り直そうというのである。

ただ、小沢氏にかつての力はない。財界、政界とのネットワークを持ち、巨額の資金を動かし、マスコミも一目置いていた小沢氏の姿はない。つまりこれまでの手法では全く対応できない。自身が作り上げた小選挙区制は、小党に不利な仕組みだ。消えていくかどうかの瀬戸際に常に立たされる状態となっている。自身の年齢も74歳となり、政界を引退してもいい年齢になった。求心力は下がるばかりだ。

これくらいの小党なるとかつての戦法は通用しない。これからの新生「自由党」が意味ある党になるには何が必要か。

それは構想力と情報発信力だ。橋下徹氏も敵が多く、様々な人や団体とぶつかっている。今は日本維新の会の一線からは退いているが、イメージとしては今でも橋下維新だ。その「維新」は強固な組織力があるわけでも豊かな財政力があるわけでもないが、自民、民進、公明に続く勢力として残っている。これは橋下氏の構想力と情報発信力によるものといえる。

小党には小党の戦い方がある。いかに時代を先読みし、それを政策構想として作り上げ、発信していくか。かつての小沢氏には、黙っていてもマスコミが寄ってきていた。小沢氏の一挙一動が報道されていた。いい報道も悪い報道も含めてだ。しかし今の小沢氏はバッシングではなくパッシングの状態だ。新生「自由党」が意味あるものになるには、未来日本の構想を作り、それをいかに発信することができるかが重要だ。民進党などにもそうした構想力はみられない。自由党が安倍自民に反対するだけの党なら早く解党するなり、民進党に吸収されるなりすべきだ。安倍自民党に対抗できる構想を作ることができるなら、野党連合の司令塔になることもできる。残念ながら現在のところそうした気配を感じることはできない。小沢氏は何度も過去の人といわれ、あっと驚かせてまた一線に戻ってきた。最後の「あっと」の驚きがあるかどうか。

※本記事は「行動する研究者 児玉克哉の希望ストラテジー」の10月16日の記事の転載となります。オリジナル記事をご覧になりたい方はこちらからご確認ください。

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児玉 克哉

児玉 克哉

三重大学副学長・人文学部教授を経て現職。トルコ・サカリヤ大学客員教授、愛知大学国際問題研究所客員研究員。専門は地域社会学、市民社会論、国際社会論、マーケティング調査など。公開討論会を勧めるリンカーン・フォーラム事務局長を務め、開かれた政治文化の形成に努力している。「ヒロシマ・ナガサキプロセス」や「志産志消」などを提案し、行動する研究者として活動をしている。2012年にインドの非暴力国際平和協会より非暴力国際平和賞を受賞。連絡先:kodama2015@hi3.enjoy.ne.jp

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