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生活の党が自由党へ名称変更~小沢一郎氏のマジックにはもう誰も踊らない

2016/10/11

児玉 克哉

児玉 克哉

「生活の党と山本太郎となかまたち」の小沢一郎代表が、党名を「自由党」に変更する意向を固めたことが報じられている。そもそも現在の「生活の党と山本太郎となかまたち」という個人名を入れた長い党名が異常だ。確かに政党要件を満たすためにも山本太郎氏に入ってもらう必要はあったのだろうが、大きな違和感のある党名だ。さすがに今度の改名は「自由党と山本太郎となかまたち」ではないだろう。
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7月の参議院選挙は生活の党は極めて厳しいとみられていた。0議席の可能性もあったが、比例で青木愛氏が当選し、岩手選挙区で木戸口英司氏、新潟選挙区で森裕子氏が当選した。森氏は現在、無所属で活動をしているが、生活の党の党籍を持っている。0議席や1議席だと政党要件の問題が浮上し、他党への吸収合併も含めた再偏を考える必要があった。しかし参議院選挙での3議席に獲得は、少なくとも当面の間は政党要件を満たすことになった。ただ、年明け衆議院解散総選挙があると、現在の衆議院での2議席が守れなければ一気に問題は生じる。衆議院では岩手4区の小沢一郎氏と沖縄3区の玉城デニー氏が議席を持っている。小沢氏でさえ、以前のように悠々と当選する時代ではなくなっている。野党連合による統一候補となることが必要だ。

今の生活の党の問題は、方向性がわかりにくいことだ。ここまで弱小政党になるとちょっとした方向性を示したくらいでは復活できるとは思えない。それにしても安倍自民には反対はわかっても大きな方向性は見えない。小沢氏はかつては自民党の主流にいた政治家であり、保守本流の流れを汲む。もともとは保守に属しながら改革を目指すということで、自民党を離れて、様々な形で改革路線を模索した。山本太郎氏との合流は驚きであった。山本氏は極めてラディカルな主張をする。小沢氏のそれまでの保守的なイメージとは大きくかけ離れるのだ。

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今回の「自由党」への名称変更は、保守層の離脱を防ぐために出発点に戻ろう、という意味があるという。1998年に小沢氏らが立ち上げた「自由党」は、新たな「保守」を目指したものだ。小さな政府・規制緩和・市場主義といった経済的新自由主義をベースにしていた。自民党は経済的保護主義と新自由主義とは混在しており、自由党の新自由主義は期待を持つ人も多かった。イデオロギー的にはかなりの保守だ。教育基本法見直しなどの政治的保守主義を掲げた。保守改革運動といえた。この「自由党」には二階俊博氏や小池百合子氏の名前もあった。

小沢氏の「実践主義」は状況に応じて、臨機応変に対応する。その後も分裂や合流などを繰り返して、左派とも行動を共にするようになる。現在の「生活の党」は、脱原発、TPP反対、憲法改正反対、消費増税凍結などかつての保守本流の小沢氏のイメージとはかなり異なる路線だ。民進党より左の社民党や共産党とかなり近い路線を掲げている。

党名を「自由党」に変えたからといって、中身が変わらなければ、ほとんど変化にはならない。「おおさか維新の会」が「日本維新の会」に名称変更したことはローカルパーティのイメージを払拭するのには意味がある。また「維新」へ期待する人も多く、名称変更がかなりの効果を持つだろう。しかし今の生活の党に期待する人はどれだけ残っているのか。党名変更だけでは全く不十分だ。自由党という名前で1998年の自由党のイメージと重ねようというのだろう。二階氏と小池氏との連携もできれば、ということだろうが、さすがにこれは難しい。これまで何度も「終わった」といわれながら不死鳥のように甦ってきた小沢一郎氏だ。しかし、小沢氏の魔力は消えかかっているように思える。現在、74歳。おそらく次の衆議院選挙が最後の選挙となるのではないか。もう誰も小沢マジックには踊らない。

※本記事は「行動する研究者 児玉克哉の希望ストラテジー」の10月8日の記事の転載となります。オリジナル記事をご覧になりたい方はこちらからご確認ください。

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児玉 克哉

児玉 克哉

三重大学副学長・人文学部教授を経て現職。トルコ・サカリヤ大学客員教授、愛知大学国際問題研究所客員研究員。専門は地域社会学、市民社会論、国際社会論、マーケティング調査など。公開討論会を勧めるリンカーン・フォーラム事務局長を務め、開かれた政治文化の形成に努力している。「ヒロシマ・ナガサキプロセス」や「志産志消」などを提案し、行動する研究者として活動をしている。2012年にインドの非暴力国際平和協会より非暴力国際平和賞を受賞。連絡先:kodama2015@hi3.enjoy.ne.jp

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