東京選挙区のポスター板には、23〜26番の位置に連番で候補者名の掲載されていないポスターが貼られている。
なぜ?東京選挙区に「支持政党なし」の比例区のポスターが?しかも4連続で貼られているのか?と一瞬思った人へ
民進党比例候補の有田芳生さんからのツイート
昨日から都内を走っています。あちこちの公営掲示板に「支持政党なし」のポスターがズラリ。選管は機敏に対応すべきです。 https://twitter.com/aritayoshifu
実は、現職の国会議員である有田芳生さんですら勘違いするくらいの奇策な戦術だったからだ。
ボクもこれには、東京選挙区になぜ比例区のポスターを貼っているのか疑問に思った。
しかも、東京都選挙区のポスター板には、連番で貼られているのだ。
激戦の東京選挙区。候補者と見どころは? >>
各選挙区ポスターの場所を表す番号は、公示日の朝8時30分、2回くじ引きをおこなって、決定される。
1回目のくじ引きは、くじ引きを引く順番を決めるためのくじ引き。
そして、2回目に、引いた番号によって選挙ポスターの番号が決まり、一斉にその番号にポスター貼り舞台が動き出すしくみである。
では、どうやって連番の枠をゲットできたのか?
選挙の法律を徹底的に調べ上げた「支持政党なし」独占インタビュー >>
東京都選挙管理委員会に確認したところ、 支持政党なしの候補者4名はくじ引きが終わってから、受付にこられたとのこと。結果として、空いている番号に順番に番号を付与したという。
「支持政党なし」の候補者は時間おくれで4人で現れ、空いている番号を見事連番でゲットしたということだ。
これも、公示日の17時までに立候補を受け付ける法律だから、まったく違法ではないのだ。選挙のポスターの場所を決める抽選を8時30分からおこなっているだけで、ここに参加しなければならないという義務はないのだ。
こういうアイデアを実行できるのは「選挙ハック」として、非常にユニークかと思った。ホント、やるなぁ…。
4人で列を組んで、遅れて獲得した連番だという。なんとすごいアイデアだ!
こういう奇策でも「合法的」に自分たちのポスターを貼れたという時点で単なるインディーズ候補とは一線を画したと思った。しかも、候補者の名前も顔もないポスターも!比例代表の宣伝を見事に選挙区でなしえているのだ。
なぜ?連番のポスターの枠がゲットできたのか? 大川総裁のインタビュー
これもまた、選挙ポスターとしては、事前審査でも必要な候補者名の要素は、サイトで確認ということ。であるが、これも違法ではない。
そこには、URLはなく、「支持政党なし」で検索とある。 SEOが悪いとどうやってカバーするつもりなのだろう。選挙区は「支持政党なし」検索 公認候補者へとある。
選挙ポスターに関しては、「候補者の名前を書かなくてはならない」という文言はなく、候補者名をしらしめる文言があれば問題ないとのこと。
これは日本の、いや世界の近代政治史の歴史に残る、はじめての候補者名のない非常にレアなポスターとなることだろう。そして、この4連番でのポスター掲示も初ではないだろうか?
一応、親切にURLを記述すると、
http://支持政党なし.com/election.html
しかし、候補者の名前はわかってもプロフィールが一切ない。しかもネット選挙時代なのに候補者のウェブやSNSが全くない。これで選挙区で氏名を投票用紙に書かせるのはかなり厳しいと言わざるをえない。
そこで、選挙公報でわかった情報をここに掲載してみる。
23 おおつき文彦 おおつきふみひこ 男 49歳 支持政党なし 新 なし24 佐藤ひとし さとうひとし 男 45歳 支持政党なし 新 なし25 さめじま良司 さめじまりょうじ 男 61歳 支持政党なし 新 なし26 深江孝 ふかえたかし 男 54歳 支持政党なし 新 なし
支持政党なし を選挙区で選ぼうとすると、
23 おおつき文彦
24 佐藤ひとし
25 さめじま良司
26 深江孝… らの中から1名選ばないといけなくなる。
しかし、やはり、彼らの候補者としての情報はどこにもない…。
だとすると、最初に目につく、23 おおつき文彦さんしか記名しないのではないだろうか?一番後ろの26 深江孝さんは不利だろう…。
これが 「支持政党なし」の公募条件だ。選挙区の供託金300万円(2万9100ドル)は自腹だそうだ。基本的に4候補を連番にしたのは、比例代表で勝ち取るだけの戦略だったのだろうか?
そうすると供託金をみずから用意した公募の候補の命運が気になってしかたがないのだ。
もちろん、参議院の場合は、1/8で供託没収ポイントが免れて供託金やポスター代金などが返還される。
それは自分の名前が書かれた場合だ。
参議院選挙区・供託金 300万円(2万9100ドル)・有効得票総数÷議員定数÷8
参議院比例代表・供託金600万円(5万8200ドル) (「比例区議席割り当て数×2×600万円(5万8200ドル)」)
むしろ、ちょっと考え方を変えてみよう。
各選挙区がだめでも比例代表で勝ち得た場合、10名の候補を擁立できた貢献度合いを考えてみると比例1人で当確候補ひとりあたり490万。2人だと980万という計算もできなくないからだ。それは国会議員1人あたりの国費負担が大きいからだ。
選挙区がダメでも、比例代表で当確することができれば、国会議員として歳費(議員給与)が129万4千、年間で約1500万。さらに、文書通信交通滞在費が、年間1200万。
3人までの公設秘書が国費負担 政策秘書の最高ランクで64万0032×1.15×(12か月+3.950か月)=1173万9786 第一秘書、第二秘書の最低ランクで31万4588×1.10×(12か月+3.950か月)=551万9446。
3人の公設秘書で約年間2200万
つまり1人の国会議員が生まれると、歳費1500+文書通信交通滞在費1200+公設秘書2200万をあわせるとざっくりと年間4900万ほどの国費(つまり税金)がはいってくる。
比例で2人当確すれば、年間9800万だ。
それだけではない。国会議員5名以上の団体には、政党交付金が給付される。
国民ひとりあたり250円(2ドル)の負担で、300億円(2億9100万ドル)が下記の法則で分配される。
単純に300億円(2億9100万ドル)の半額の150億円(1億4550万ドル)が議員数割として、日本の政党に属する政治家381人で割ると、1人あたり3937万の議員数割の政党交付金だ。さらに得票数割がはいるので、5名集まることはとても重要な要件となる。
国会議員が5人に満たないところとあわせて、あと5人になれば、政党交付金がもらえる政党として認可される。
なので、交付金がもらえない政党要件を満たさない議員が「支持政党なし」に加わるというのは政治の世界では十分にありえるのだ。
そう考えると、比例代表で2人でも当確すれば、8人分の所帯くらいはなんとでもなるという計算が働く。さて、「支持政党なし」のこのユニークな選挙ハック。どのような結果になるのだろうか?ポスターだけでなく結果からも目が離せなくなった。
※本記事は「KandaNewsNetwork」の7月1日の記事の転載となります。オリジナル記事をご覧になりたい方はこちらからご確認ください。
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