民進党長野県参議院選挙区第3総支部長に就任したTBSキャスター杉尾秀哉氏。将来に向けて日本を立て直すために安倍政権に立ち向かうその意気込みを、選挙ドットコムに語ってくださいました。出馬表明に至った経緯、そして政策からご自身の子育てに至るまでをご紹介いたします
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私は、もともと政治部時代、総理大臣になる前の羽田孜さんや小沢一郎さん、小渕恵三さんなど自民党竹下派の担当をしていたことがあり、羽田さんをはじめ、長野県議会議員を務めた北澤俊美さん、52代長野県知事となった村井仁さん、 など、いわゆる羽田グループの人たちとのつき合いがありました。
1年ほど前の春ごろには、会社を辞めようと考えていた時に「選挙に出ませんか?」と声をかけていただき、それが出馬のきっかけとなりました。
私は、今の安倍政治はいい方向に行けばいいけれども、むしろ、逆に悪い方向に向かう可能性が高いと考え、安倍政治に対して否定的な立場を取っていました。さらに安倍政権は一強体制。やはり、一強体制というのはどうしても行き過ぎてしまうので、それに対抗する健全な対立軸が必要なのでは?と私考えていました。そんなときに声をかけていただいたことで「もう一度旧民主党を立て直さなければいけないのではないか?」という気持ちが強くなりました。
はい。私には、訴えたいことが5つあります。
1.安保関連法は撤回!!
2.国民の成果を取り戻す!!
3.人口減少、少子化対策に本腰を!!
4.国の元気は長野県から!!
5.プラチナ社会の実現を!!
まずは、やはり野党共闘の共通の旗を立てる上において、基本的に安保政策についてのテーマは欠かせないと思っていました。もちろん、それだけではありません。2番目には、格差社会の問題と日本の経済回復について対策を考えていきたいと思っています。
そして3番目が人口減少社会。私は、この人口減少社会が、今の日本においてもっとも深刻な問題だと考えています。また、地方再生の問題、老人大国である日本の高齢化社会の問題にも取り組んでいきたいですね。
日本の全ての問題の根っこにあるもの、それは“人口減少”だと思っています。国際競争の激化、通貨量の不足などによるデフレ対策として金融緩和を実施しても、結局日本の経済はうまくいかない。それは、人口が減少し需要が縮小してきていることにより、限界が見えてきているからです。そして、年金、税金を払う人が少なくなり、地方はますます疲弊していく…。これら全ての問題は人口減少が原因となっているんです。
「世界最速のスピードで進む人口減少社会をどう克服するのか」というも問題は、実は安保法制よりも重要であり、今の日本の最大のテーマであるはず…。だからこそ、私は今の政権のやり方に対し、「ちょっと違うのでは?」と疑問を感じています。
やはり出生率を上げていかなければいけないと思っています。今の日本の社会は、「女性が、仕事か育児かの二者択一を迫られる」という状態にあるので、女性の活躍は決して進まない…。
そのためには、まず、男性の育休取得率をあげていく必要がありますね。今も男性の育休取得はよく取り上げられますが、育休取得率は2.3%程度に留まっており、全く上がっていません。要するに、努力義務で声をかけているだけでは、育児のための男女平等は実現しません。
男性も女性も毎年、義務的に取得するように強制的なしくみを導入しなくてはいけない…。たとえば、北欧みたいに、男性も、半強制的に育休を取らなければならない。逆に、取らないと損をするというような、クオータ制を導入する必要があると思っています。
そうですね。あとは、地域社会が支える仕組みをつくることも必要でしょう。たとえば、長野県安曇野市の今の問題は、学童、つまり放課後の保育をどうするかなんですが、この放課後保育を地域社会の高齢者がボランティアでやっているんです。このように地域社会の手を借りることもひとつの方法だと思っています。
また、企業側の取り組みも必要です。ピジョン株式会社は、実際に「1ヶ月間、男性にMUSTで育休をとらせ、その間にレポートを書いて提出させる」という試みを実施しています。このように、男性が育休を当たり前のように取得する会社がどんどん現れてくると、社会全体の意識も変わってくるのではないでしょうか。企業、自治体、国、つまり総がかりで子育てに取り組み、女性だけに押しつけない社会にすることが求められると思います。
実は、私はマスコミの仕事が長かったこともあり、ほとんど家にいなかったので育児や家事ができませんでした。でも、下の子が小学生、上の子が中学生のときにアメリカで生活をすることになったんですが、そのときに一緒に宿題をやったり食事を作ったり、授業参観にいったり、子どもとコミュニケーションとることでいろいろなことがわかったんです。子供を通じて世界が広がっていくという感じでした。
その結果、子どもとかかわることは、子どものためでもあるけれど、自分のためにもなるということを実感したんです。つまり、仕事だけではダメなんだと。それを多くの人に伝えていきたい。自分ができなかったこと、やらなかったこと、このような自分の失敗を繰り返さないように…。そういう意味を込めて政策に取り組んでいます。
最近は、若い人の集まりなどで「政治は他人事ではない」という話をよくします。国の将来イコール自分の将来であり、決して“ひとごと”ではない、自分の将来に関わることだ、ということを伝えています。
たとえば、日本には一千兆円を超える借金があるので、「皆さんはもう820万円の借金をしている勘定になるんですよ」という話をします。「これから死んでいく人たちはこのまま逃げ切れるかもしれないけれども、皆さんは逃げ切れない。全部皆さんのところに回ってくる。それも自分のことなんです」と。こういうところから関心を持ってもらえたら…と意識的に話をするようにしています。
日本の政治教育というのは、仕組みの教育です。たとえば、「衆議院と参議院があります」「定員は何人います…」などの仕組みを学ぶだけになっています。もちろん、仕組みも大切ですが、一番重要な「政治を自分のこととして考えるトレーニング」ができていない、そういう教育が全くされていないと感じます。
私がアメリカに行っていた2000年頃、ちょうどアメリカ大統領選挙のときだったんですが、そのとき学校では、ブッシュ派とゴア派に分かれてディベートを行うという学習が行われていました。それぞれの政策について考え、相手の政策と見比べながらディベートをさせるわけです。
日本の学生が、政治を自分のこととして捉えられない、他人事だと思ってしまうのは、このような小さいころからのトレーニング、教育が不足しているからではないでしょうか。主権者教育の充実、これが今一番日本で求められていることだと実感しています。
私は“一億総活躍”ということばはあまり好きではありません。経済を優先する、強い国家をつくる、というような「国のために…」という意識がものすごく感じられることばなので…。これに対して私は全く逆の“市民主義”という考えを持っています。ひとりひとりの市民、国民にはおのおのの生活なり、人権があり、その集合体として国家がある、と思っています。つまり、全ての人が大事にされる“出番と居場所のある社会”こういう社会を目指したいと考えています。
また、私には大切にしていることばがあります。それは「No One Left Behind.」です。“誰ひとり置いてきぼりにしない”という意味があるこのことばは、私がアメリカにいたときに、クリントン大統領がいつも口にされていました。私はこれこそが目指す社会であり、そのために政治がある、と思っています。
誰もがやっているようなFacebook、Twitter、アメブロは活用していきますが、その他に今、シールズや信州市民連合など市民グループの方たちと、北海道5区補選でSEALDsが行ったような「ネット戦略」に関する勉強会などを開いています。
日本の場合、ネットなどに政治家や候補者の顔は出てくるけれども、市民の顔はほとんど出てこないと思いませんか?これではダメだと思います。そこで、後ろにスローガンをかかげた市民がいて、その前に候補者がいる、というような画面づくりをSEALDs諸君や市民グループの皆さんが考えてくれていて、プロモーション動画を作成中です。ネット戦略上ではこのようなことを通じて、「市民の中に候補者がいる」「ひとりひとり皆さんが主役なんですよ」ということを訴えかけていきたいですね。
もともと声をかけてくださった方が長野に関連していたということもありますが、その他にも、長野県での講演の機会がとても多いです。県内ではこれまで、30回以上講演を行ったり、また、長野県の番組に出演したりしていました。実は、長野県高森市の特産品である市田柿のPR大使もやらせていただいており、多くの縁があります。
また、地方の再生のためには、いわゆるIターンとか、Uターンなど、「人が都市から地方へ」という今と逆の流れをつくらないといけないと感じており、私もそのひとりだということを意識しながら、長野において真摯に取り組んでいきたいと思っています。
杉尾 秀哉(すぎお ひでや)
<プロフィール>
1981年 東京放送(TBS)入社後、社会部記者、政治部記者、「ニュースの森」キャスター、アメリカワシントン支局長、社会部長、解説専門記者室長を務めた。その他、BS-TBSのニュース番組キャスター、『みのもんたの朝ズバッ!』などの情報系番組でコメンテーターとしても活躍していたが、2015年12月末付で同社を退社。2016年1月11日、民主党(現・民進党)公認で、第24回参議院議員通常選挙(長野県選挙区)に出馬表明し、現在に至る。
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