日本でもアメリカ大統領選についてのニュースが日々お茶の間を騒がせています。
アメリカ大統領候補者の中でひときわ目立つのが、共和党のドナルド・トランプ氏。歯に衣着せぬ物言いで一部の層から熱烈な指示を得ていますが、その一方で人種差別的な要素を含む発言が目立ち、ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル等の主要メディアはトランプ氏に対し批判的な反応を見せています。
そんなトランプ氏の過激発言を皮肉ったネガティブ・キャンペーンCMがYoutube上で公開されています。
『The Best Words』と名付けられたこのCMでは、トランプ氏の過激な”名言集”中の放送禁止用語に「ピー」音が被されています。
その数、なんと30秒間に9回!これだけの”名言集”が生み出されてもなおトランプ氏が指示を得ていること、そして彼をここまで皮肉ったネガティブ・キャンペーンCMが出来上がるのも、言論の自由が重要視されているアメリカならではですね。
とは言え、ここまで濃密な30秒を見せられると、彼が当選した際のアメリカの今後が不安になる方も多数いらっしゃるのではないでしょうか。
日本には大統領選こそありませんが、選挙戦の時期になると選挙カーに乗った著名な政治家が堂々とライバル政党を批判する演説を始めます。ネガキャンが果たして自分の政党を持ち上げることになるのか?は疑問ですが、恐らく一定の効果をもたらしているからこそネガキャンは続いているのでしょう。
CMについてはどうでしょうか。Youtubeを探してみると……自民党が作ったCMがありました!
男「僕の方がキミを幸せにできる。僕に交代してみないか?バラ色の人生が待ってるよ。出産や子育ての費用も教育費も、老後の生活費も介護の費用も僕に任せれば全部OKさ。高速道路も乗り放題だよ」
女「お金は、大丈夫……?」
男「細かいことは結婚してから考えるよ」
女「えー……」
根拠の無い自信に人生を預けられますか? 根拠がある、自民党。
このネガキャン相手は明らかに民主党ですね。
しかし最初のセリフだけを読んでみると、なんと民主党の政策を紹介してくれています。
女「あ、あなたは」
男「いらっしゃい、久しぶり。口先だけじゃなくて、こうしてセイサクしてるんだよ」
女「じゃあ、見せていただくわ」
男「当店自慢のマニフェスト麺。うちはこれ一つで勝負です」
「油が足りない」
男「じゃあ給油しますよ(油ドバドバ)」
「ちょっと!給油はやめるんじゃなかったの?」
男「給油、やめます(スープ廃棄)」
「地方色が足りないなあ」
男「いやいや、ほら、こーんなに」
「成長性がないじゃないですか」
男「いやいや、ほら、こーんなに」
「子供にもやさしくしてよ!」
男「はーい、はいはい。2万6000円分のふりかけを、ばらまくよ」
女「ちょっと、最初とまったく違うんじゃない?」
男「いえいえ、最初からこれです」
女「えー……」
相手に合わせるだけでは、誰一人幸せにできない。揺るぎない政策、自民党。
これも「マニフェスト」が流行した当時の民主党を皮肉ったCM。
確かにCMの最後で出来上がったラーメンはゲテモノ以外の何でもないですが……
見方を変えれば、民主党が周囲の声を聞いて方向性を改めることができる政党である、ともとれてしまいます。
\4人バラバラ、ブレ4(ブレフォー)です/
テロ対策の給油、
\反対、反対、はんたーい♪/
外国人「ホントウデスカ?」
\……とも言えな~い♪/
(米国との)貿易~、
\自由化、自由化、自由化~♪/
農家「なーに言ってんだ(怒)」
\……とも言えな~い♪/
地方~……
\分権、分権、ぶんけ~ん♪…とも言えな~い♪/
ブレフォーに日本の明日を任せられますか? ぶれない政策、自民党。
この「ブレフォー」は左から菅直人氏、鳩山由紀夫氏、小沢一郎氏、岡田克也氏に見えますね。
名指しこそしていませんが、3本の中ではこの1本が最もストレートに民主党のトップを揶揄しているように見えます。
これらのCMの効果はあったのでしょうか?
実はこのCMが製作されたのは民主党に圧倒的な追い風が吹いていた2009年。自民党が選挙で大敗した年です。
国民が自民党に不信感を持っていた当時、自分たちの政策の魅力を紹介するのではなく、国民が期待を寄せていた民主党を批判・揶揄するCMは、自民党への不信感を更に募らせる一助となってしまっていたのではないでしょうか。
冒頭で紹介したトランプ氏のネガキャンCMと、大失敗に終わった自民党の民主党ネガキャンCMを比較すると、以下の点が目立ちます。
・トランプ氏ネガキャンCMの制作者は、他の候補者や民主党ではなく、第三者団体である。
・民主党ネガキャンCMの制作者は、自民党である。
・トランプ氏ネガキャンCMでは、トランプ氏の問題発言についてネガキャンを行っている。
・民主党ネガキャンCMでは、民主党の政策や姿勢すべてについてネガキャンを行っている。
・トランプ氏ネガキャンCMでは、トランプ氏の支持率を下げようとしている。
・民主党ネガキャンCMでは、(間接的に)自民党の支持率を上げようとしている。
ネガティブ・キャンペーン王国のアメリカに学ぶならば、日本においても
・第三者団体が作成し(これは日本だと難しいかも?)
・ひとつの問題にフォーカスして
・間接的に支持を得ようとするのではなく、徹底的に相手を下げることに注力!
することがネガキャン成功のカギになってくるのではないでしょうか?
……と、ネガキャンのススメを書いてしまいましたが、ただでさえ投票率が落ちている現在。政治に絶望させあうよりも自分たちの政策の魅力をたくさん語っていただいて、その内容で勝負していただきたいものです!
<参考>
■ニューヨーク・タイムズ
米大統領選、NYタイムズがクリントン氏への支持を表明
http://jp.reuters.com/article/usa-election-clinton-idJPKCN0VA1CS
■ウォール・ストリート・ジャーナル
【社説】止められぬトランプ氏、反対派は結集を
http://jp.wsj.com/articles/SB10272610103318793334204581556180998627262
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