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SMAP解散より生々しい!?政界のグループ結成事情を「みんなの党会派」から考察してみた

2016/1/15

山本洋一

山本洋一

民主党との新党結成を目指す維新の党が、参議院で日本を元気にする会と「統一会派」を結成した。衆議院では昨年末、維新と民主で統一会派を作ったばかり。なぜ、衆参で会派の相手が異なるのか。背景を探ると、今はなき「みんなの党」の存在が浮かび上がってくる。

会派と統一会派

会派とは国会でまとまって活動する集団のこと。国会では法案の提出や質問時間、事務室の配分などを政党ではなく、この会派単位で行う。一般的には政党ごとに衆参両院に会派を作るが、無所属議員が考えの近い会派に参加したり、複数の政党で統一会派を組んだりすることがある。

統一会派を組む主な狙いは、国会内での発言力を高めること。衆議院では20人、参議院では10人以上の会派所属議員がいれば独自の法案を議員立法で提出できるし、所属議員の数が多ければより多くの委員会に議員を輩出したり、長時間質問したりできるからだ。

衆議院における維新と民主のように、将来的な合流に向けた地ならしとして統一会派を組むこともある。元気にする会の松田公太代表が「統一会派は婚約に近い」と言うように、一定期間国会内で「同棲」し、相性を最終確認してから結婚(合流)するのだ。

昨年、「大阪系」(おおさか維新の会)とたもとを分かった維新の党は、松野頼久代表らが民主党との新党結成を目指すと公言している。衆議院における民主との統一会派は結婚に向けた婚約、つまり新党結成に向けた地ならしとして自然な流れといえる。

 

なぜ別の相手と「婚約」?

衆議院で会派を組んだのならば、参議院でも当然、民主と組むはず。ところが、参議院では維新と日本を元気にする会とで統一会派を結成したというのが今回のニュースである。なぜ、衆参で相手が異なるのか。背景には維新の参議院議員の特殊事情がある。

参院で「維新・元気の会」結成…民主は不信感 : 政治 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

維新の党の参議院議員5人は全員みんなの党出身。2010年と2013年の参院選でみんなの党の全国比例候補として当選している。比例選出議員の彼らは法律の規定で民主党には合流できない。民主と維新が解党して新党を作るしか、彼らの生き残る道はないのだ。

規模で維新を大きく上回り、長い歴史を持つ民主党内には新党結成ではなく「維新を吸収合併すべきだ」という意見が根強い。そして松野代表ら合流に前のめりな維新執行部は、最終的に妥協して「吸収合併でもいいから合流したい」と言いかねない雰囲気がある。

今回の維新・元気による統一会派の結成は、民主による維新の吸収合併をけん制するみんなの党出身議員の「クーデター」。民主と維新の執行部に、両党の解党による新党結成を目指すよう圧力をかけるのが最大の狙いだ。

維新の誘いに乗った日本を元気にする会にも、維新と組みたい切実な理由がある。所属議員の数が政党要件ギリギリの5人だった元気にする会は、このうちの1人が昨年末に離党届を提出。元気にする会は近く政党ではなくなり、政党交付金や選挙における優遇措置を受けられなくなる。

元気にする会の松田代表ら2人は今年が改選期。国会議員として生き残るためには夏の参院選までに他党と合流し、政党の候補として選挙に臨みたいところ。特殊事情を抱える参院維新の党は、生き残りという同じ目的を抱える最適な婚約相手だったのだ。

ちなみに松田氏ら元気の会の議員の大半もみんなの党出身。今回の統一会派はみんなの党の出身議員が、生き残りのために作った「みんなの党会派」ともいえる。

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2013参議院議員選挙後の初登院時、みんなの党の所属議員は36名だった (みんなの党facebookページより)

民主・維新の合流計画に影響も

奇妙な組み合わせの統一会派は政界に波紋を広げた。元気にする会は昨年の安全保障関連法制の審議で賛成に回るなど民主党とは政策の違いが大きく、民主党の参議院議員からは「もう維新とは組めない」との不満が噴出。元気にする会所属の音喜多駿東京都議会議員は「政策についても政治姿勢ついても大きく異なる」と反発し、離党届を提出した。

民主党の岡田克也代表が党名変更の可能性に言及するなど、前進し始めたと思われていた民主と維新の合流計画。今回の統一会派結成を契機に、再び協議がこじれる可能性が浮上している。

 

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山本洋一

山本洋一

元日本経済新聞記者 1978年名古屋市出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、日本経済新聞社に入社。政治部、経済部の記者として首相官邸や自民党、外務省、日銀、金融機関などを取材した。2012年に退職し、衆議院議員公設秘書を経て会社役員。地方議会ニュース解説委員なども務める。

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