3月26日、全国で10の知事選挙が告示となり、統一地方選挙がスタートした。告示されたのは北海道、神奈川、福井、三重、奈良、鳥取、島根、徳島、福岡、大分の10道県。
この10道県の候補者を、名前を載せずに支援している政党、年齢、性別だけ並べてみると、構図が見えてくる。
道県 | 現職 | 対抗馬A | 対抗馬B | ザ選挙 | |
北海道 | 自民、公明 61 女 |
民主、維新、共産、 社民、大地 65 男 |
詳細 | ||
神奈川 | 自民、民主、公明 60 男 |
共産 69 男 |
詳細 | ||
福井 | 自民、民主、公明 56 男 |
共産 70 女 |
詳細 | ||
三重 | 自民、公明、新政みえ 40 男 |
共産 56 男 |
詳細 | ||
奈良 | 自民、民主、 公明、新党改革 70 男 |
共産 36 男 |
前生駒市長 46 男 |
他1 | 詳細 |
鳥取 | 自民、公明、民主 53 男 |
共産 58 男 |
詳細 | ||
島根 | 自民、公明 69 男 |
共産 65 男 |
詳細 | ||
徳島 | 無所属 54 男 |
共産 66 男 |
詳細 | ||
福岡 | 自民、公明、民主、 維新、社民 65 男 |
共産 46 男 |
詳細 | ||
大分 | 無所属 72 男 |
共産 38 男 |
前大分市長 67 男 |
他2 | 詳細 |
※注:政党は略名のみ。詳細は各選挙のページをご覧ください
知事選ともあって平均年令は高く、女性は候補者25人中ふたりしかいないが、今回注目したのは現職とその有力対抗馬となる候補者の背景だ。
10知事選のうち、1対1の戦いになっているのは奈良と大分を除く8道県。その1対1の戦いになっている8道県で、現職の対抗馬が共産党以外なのは北海道だけだ。つまり、10知事選のうち、7つは「現職vs共産党候補」という構図となっている。
残りの3つ、北海道、奈良、大分のうち、北海道は国政の与党vs野党の構図となっており、今回最も激戦が予想される。
そして、奈良と大分は与野党相乗り(大分は実質的な相乗り)候補に対して、政党支援を持たない自治体の前首長という、2県とも同じ構図となっている。
現職vs共産党候補 | 神奈川、福井、三重、鳥取、 島根、徳島、福岡 |
現職(与党支援)vs 新人(野党支援) | 北海道 |
現職 vs 共産党候補 vs 前自治体首長 | 奈良、大分 |
奈良と大分の違いは、対立候補の自治体が大分は県庁所在地であり、奈良は県庁所在地ではないということだ。奈良県生駒市は人口では県下3番目の都市である(奈良市のおよそ3分の1)。今年始めの佐賀県知事選挙で、全国的にも名前が知られている武雄市長が敗れたことは、まだ記憶に新しい。敗因はさまざまだが、その中のひとつとして「県庁所在地ではなかった」ことも挙げられるのではないか。
知事選を制するには最大の票田となる県庁所在地を抑えることが必須条件となる(県庁所在地が最も人口が多いとも限らないが)。奈良の場合は、まずハンデを背負っていると考えられ、それを跳ね除けるだけの得票を、県内からまんべんなく獲得する流れを作らなければならない。その点で、奈良はやや現職有利と見ることができる。
接戦が予想されるのは北海道と大分。大分は実質的与野党相乗りの現職候補にどれだけ迫ることができるか注目される。そして一騎打ちとなった北海道はどのような戦いとなるのか。
残念ながら、それ以外の8県は今のところ激戦を予想させる材料が見当たらない。「選挙は最後の3日間が勝負だ」「選挙はフタを開けるまでわからない」と言われるが、構図を見る限りある程度予想できてしまうのはいたしかたないことだと言える。しかし、筆者が知らないだけで、現場では大きなうねりが起きているのかもしれない。「無風」の構図を跳ね返すだけの市民のパワーが生まれるのか注目したい。
筆者:高橋茂
『ザ選挙』編集長。電子楽器のエンジニアから2000年の長野県知事選挙を経て、政治家の情報発信の専門家となり現在に至る。株式会社VoiceJapan代表取締役、株式会社世論社代表取締役。武蔵大学社会学部非常勤講師。政治家やNPOなどの活動サポートの傍ら執筆、講演など活動は多岐にわたる。
現在、Facebook上にて会員制オンラインサロン『ザ選挙サロン』を運営している。
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