ネット選挙運動解禁に向けて「One Voiceサミット2」開催

2012/08/22

ネット選挙

選挙ドットコム

声を政治に届けようと、若者たちが中心になり、今国会での「インターネット選挙運動解禁」を目指して活動している「One Voice Campaign」。

http://onevoice-campaign.jp/

そのイベント「第2回 OneVoiceサミット」が2012年8月21日、衆議院第一議員会館第一会議室(東京)で開かれた。構成は第1回目とほぼ同じだが、今回は「より身のある議論を」という主旨により、時間も前回より多めにとった。

ネット選挙運動解禁へ大きな1歩「One Voiceサミット」開催(第1回)

パネラーとして参加した国会議員は以下の7名。

石井登志郎氏は、選挙制度の改正を議論する「政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会」の理事であり、民主党内のネット選挙案件担当者でもある。津村啓介氏は民主党青年局長として若者との交流も多い。鈴木寛氏は自民党の世耕弘成氏とともに、以前からネット選挙運動解禁に向けて声を上げてきた数少ない議員で、日本で初めてセカンドライフ内に事務所を設けたり、早くから動画配信に着目しているなどネットを積極的に使用している。

平将明氏は、穏やかな雰囲気に似合わず歯に衣着せない言動で、自民党内の異端派として注目されている。ネット選挙運動解禁推進派でもある。公明党は選挙・政治活動のネット利用には熱心で、その中でも石川博崇氏はSNSや動画配信も積極的に取り入れている。福島瑞穂氏は社民党党首としてもネット活用には積極的で、特に震災後に高まったネットのオルタナティブ・メディアとしての価値に注目している。松田公太氏は、実業家としての視点からもグローバルな視点からも、選挙期間中だけネット使用が制限される状況に異を唱え、みんなの党から単独で法案を提出し、衆議院で滞っているネット選挙運動解禁に向けた議論を少しでも進めようと努力している。

まさに、ネット選挙運動に関するメリット・デメリットを熟知していると言える7人が集まり、熱い議論を交わしたが、当初からネット選挙解禁に尽力してきた自民党参議院議員の世耕弘成氏は、残念ながら公務のため欠席となった。

まず発起人の江口晋太朗氏による「One Voice Campaign」の説明と、経過説明のあと、(財)尾崎行雄記念財団主任研究員の谷本晴樹氏によるネット選挙解禁に向けた流れの解説が行われ、国会議員によるシンポジウムへと進んでいった。シンポジウムで議事進行役を担うファシリテーターは、選挙プランナーの松田馨氏と若者の投票率向上を目指して活動している学生団体ivote創設者の原田謙介氏。司会はivote三代目代表に就任したばかりの上中彩慧氏が努めた。

シンポジウムでは、最初各議員が自己紹介を兼ねてネット選挙に関する考えを述べていった。

松田公太氏は、みんなの党が参議院から単独でネット選挙解禁法案を出すに至った経緯と内容説明、意義などを語った。みんなの党案は、現在衆議院から提出されている自民党案をベースにしているため、基本的な部分は変わらないが、ネット投票の検討といった、更に先を見据えながら、現実的なところでの修正を加えているのが特徴だ。

津村啓介氏は、第1回目にも足を運び、この問題には関心を持っていることを示しつつ、「今日は多少醒めた意見もしていきます」と冷静な立場であることをまず表明した。

石井登志郎氏は、前回同様「一票の格差問題」が解決されてから進んでいくという「永田町的事情」を説明し、「今国会で通る可能性もあります」との見通しを示した。

鈴木寛氏は、「これは悲願です」と切り出し、運動論としての「One Voie Campaign」についても言及したいと語った。

平将明氏は、「世耕案をベースに進める」とし、自身が関わってきた公開討論会を例に出して、「ITと融合することで本質が見えてくる」「ポスターやリーフレットなどは簡単に修正できてしまうが、インターネットでは素の自分が出てくるため、有権者にとってのメリットは大きい」と持論を展開した。

石川博崇氏は、第1回目に公明党議員として参加した遠山清彦議員が参加できなかったために、今回は遠山議員からの推薦で初参加となった。自身や公明党のネットに対する姿勢を紹介した。

■今国会で法案が通る可能性

ファシリテーターの松田馨氏から、最初にいきなり本質を突く質問「今国会で法案が通る可能性はあるのでしょうか?」が出された。これに対しては、石井氏も鈴木氏も「一票の格差問題が片付けばその可能性はある」とのことだったが、平氏は「難しい。積極的な議員は積極的に動くが、消極的な議員が顕在化してくるため、簡単には動かない」との考えを示した。石川氏もそれに近い考えで、「残された時間との戦いなので、実際は無理ではないか」と言った。

■世代間格差について

ネット選挙の話題になると必ず出てくるのが「年寄りはやらないから不公平になる」というデジタル・デバイドの話で、ファシリテーターの原田氏は、「逆に若者は既存のメディアに接する機会も少なく、現在の選挙手法では若者に不利になるのではないか」とこの問題を取り上げた。

これに対しては、「現状を認識し、情報格差を縮めていく」(石井)「情報格差という考え方ではなく、階層にあったツールが必要。ネットを信頼しているかどうかが重要だ」(平)という意見、海外からの視点や『ザ選挙』のような候補者一覧の重要性を説く意見(松田公太)が出された。

ここで、津村氏からデメリットとして「反対派はメリットを感じていない」という少し否定的な意見が出された。アクセス数の推移を見ると、それが票に直結しているとは思えない。ネットが使えない12日間は、他にやることが山のようにあり、ホームページを更新している余裕はない。ホームページは公示・告示日で完成しているのだから、それを見てもらえれば良いというものであった。

 しかし、『ザ選挙』の立場からいうと、これはピントがずれていると言わざるを得ない。ホームページの開設率は国会議員はほぼ100%だが、地方議員になるとおそらく3割も行かない。なぜ地方議員のホームページが無いのか。それは選挙でネットを使えない以上、「票にならない」と判断し、わざわざ手間をかけて政治活動を伝える必要性も感じないからだ。「なるべく多くの情報を出さない方が当選しやすい」といういびつな選挙戦を続けているために、「告示日以降はホームページを見てもらえればよい」などという理屈は特に地方選挙では通用しないのだ。かくして有権者はポスターを見て投票することになる。さらに公示日以降アクセス数が減るのは、更新していないからで有権者がネットからの情報を必要としていないからではない。(高橋)

鈴木氏は、「僕は来年絶対にネット選挙をやりたい」と語った。「現在は選挙期間最終日のアクセス数が10万。これが20万になれば確実に票に影響してきます」。ここで鈴木氏は「One Voice Campaign」の「いいね!」が7000強であることを取り上げ、「活動されているみなさんには敬意を表する」と前置きした上で、「やはり10万20万という署名が集まらないと、国会議員は動かない」と言った。

 これも残念な発言だったと言える。そもそもネット選挙運動解禁は民主党が政権交代時のマニフェストに入れてあり、鈴木氏はこの時のマニフェスト制作担当だった。本来であれば、民主党が政権を取ったあと速やかに実現されていなければならない問題なのだ。しかし、国会が全く動く気配が無いために「One Voice Campaign」を立ち上げることになった。特に与党議員は国民に対してお詫びしなければならないにも関わらず、「もっと署名を集めなければ国会議員は動かない」ということであれば、何のためのマニフェストか。これでは「不遜きわまりない」と思われてもしかたない。(高橋)

とはいえ、動かない状況にある以上、署名でも何でも実現に向けて進んでいかなければならない。原田氏の「実現するためにはどうしたらいいんでしょうか」という問いに対し、「アンケート不参加の議員を明らかにしていく」「キーマンとなる人物を説得していく」(石井)、「アンケートの回答率を上げる」(松田公太、石川)「誰がどのように反対したかネットで炙り出すことが効果あるのではないか」(平)といった意見が出された。

松田馨氏からの「政党ごとのガイドラインを作ってみたらどうか」というアイデアに対しては鈴木氏から「Facebookは不特定多数ではないので今でも違反にならないという見解だ」という新しい可能性を感じさせる見解が示された。

また、インターネット選挙運動に関しては「マスメディア報道を越える、政治を身近にするツールだ」(福島)、「いろんな動きをつなげていくのが大切」(津村)といった意見や、「公示前の動画でネット解禁について表明させたら良いのではないか」(平)というアイデアも出された。

その後、会場から集めた質問への質疑応答タイムとなった。ネット選挙運動のデメリットを聞かれてデジタル・ディバイドや「金がかかる」「怪文書が出る」「名誉毀損」など、今まで言われている懸念事項が出されたが、「デメリットは実はメリットになる」(松田公太)、「反論ツールとして考えれば解禁した方が良い」(平)、「多様な意見が出てマスコミに誘導されにくくなって来るのではないか」(福島)という期待論も出てきた。

公選法そのものの改正については、「選管が掲示板を立てるのだから、その時にポスターも貼ってしまえばいい」(松田公太)というアイデアや、「戸別訪問は認めても良いと思う」(福島)、「お金の問題だけキッチリやって、他は取っ払う」(石井)という大胆な意見も飛び出した。

最後に登壇者が一人ずつコメントして終了となったが、その中で石井氏が「この問題は党の正式な会議の課題として内定した」と話した。今まで話題にすらなっていなかったことを考えれば、大きな一歩であると言える。

「One Voice Campaign」が立ち上がって5ヶ月が過ぎた。当初は「6月21日の国会会期末までにさっさと通してもらって、次の『声』を上げていこう」という意気込みで始めたにもかかわらず、いつまで経っても進む気配すら見えない国会の姿を目の当たりにして、モチベーションを維持するのも難しくなってきている。

次回衆院選でネットを使えるようにするには、今国会での成立がベストだ。来年トリプル選挙になることを前提とすれば、今年の臨時国会や来年の通常国会での実現という道が無いわけではない。しかし確実な解散の日が見えない以上、また選挙直前で頓挫することを考えれば、少しでも冷静なときに早く議論を進めて、準備期間を設けられるようにすべきだろう。

国会閉会まであと2週間強。つまらない政局で国会が空回りせず、まずは「一票の格差」が解消され、その後すぐにネット選挙解禁に向けて議論が進むのかどうか。期待するだけではなく、さらに積極的に行動していく必要がありそうだ。

高橋茂:『ザ選挙』編集長

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