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29万票獲得も落選。ネット界の伝説となった山田太郎氏が今後目指すものとは?



選挙ドットコム編集部
選挙ドットコム編集部

予想に反してトランプ新大統領が誕生し、さらには小池百合子都知事も日々メディアで取り上げられており、今年は近年稀に見ぬ「選挙・政治の1年」でした。そして、忘れてはいけない今年あった大型選挙と言えば、7月10日の参議院選挙です。

今年の参議院選挙では政権史上、類を見ない出来事が起きていました。それは、「ネットは票になる」ことを示した山田太郎前参議院議員の躍進です。山田太郎前参議院議員は現職の時から「表現の自由を守る」ことを一貫して訴え続け、無所属・新党改革推薦で参議院議員選挙の比例区に出馬し、全国で29万票を集めました。
※ 本日より山田太郎氏のネット選挙に関する著書 ネットには神様がいる 「ネットは票にならない」が覆った日(日経BP社) が発売開始となっています

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-編集部
今年は選挙が多い年でしたが、政治関係者が驚いた1つに「山田太郎ショック」がありました。「山田太郎ショック」とは、全国比例に出馬していた山田太郎さんが参議院議員選挙でネットを駆使し、29万票を獲得したことです。
29万票という票は、全国比例の野党候補者の中ではトップの得票数です。農協や日本医師会、各種労働組合の組織内候補の票を大きく上回り、与党でいえば元SPEEDの今井絵理子さんの31万票に匹敵します。議席を得た野党議でいえば、どの党でもトップ当選となる票数です。

選挙ドットコムでも事前に議席や得票数の予測を行なっていましたが、失礼ながらまさかネットを活用することで29万票を超える票を獲得するとは…
ご自身の事前の予想はどのくらいだったのですか?

-山田太郎 前参議院議員
正直、自分でもびっくりしました(笑)

実は、事前の目標は10万票でした。この数値は、2013年に川田龍平さんが私と同じく全国比例で得た票数を参考にしていました。川田龍平さんは当時私も所属していたみんなの党で一番票を集めていました。彼は、薬害エイズ事件のリーダーとして知名度も高かったこともありましたが、それでも11万票。自分の参議院議員としての経験も踏まえて、「10万票を超えると、政治の世界にインパクトを与えられる」と考えていましたので、「10万票を集められれば、十分すごい」と思っていました。
ですので、今回、29万票という結果を見た時は、自分でも驚きました。

-編集部
山田さんはネットで票を集めていましたが、これまでは選挙業界の常識では「ネットでだけでは票は集められない」と言われていましたので、私も驚きました。

-山田太郎 前参議院議員
選挙期間中の中間調査で「15万票」と予測されていましたが、その時点でも私もびっくりしていました。
さらに、投開票日には1分で1万票ずつ得票数が増えていきました。中間調査から最終的な得票数が数万票ずれることはよくありますが、15万票も予測が外れるとは珍しいです
投票結果を見ながら、「そんなにいっちゃうの?」と半分信じられませんでした。

結果としては残念ながら落選だったのですが、会う人会う人に「おめでとうございます」と言われています。
自分でも落ちた気がしないというか、29万人の声をこれからも代弁していかなければと考えさせられます。

また、29万票という得票の内訳は、選挙が終わってから細かく分析もしています。日本の市町村の数は1,741自治体ありますが、その内得票がゼロだった自治体は20程度です。つまり、北海道から沖縄まで幅広く支持してくれている人がいます。

さらに、選挙が終わってから様々なサブカルチャー系のイベントに呼ばれるのですが、そういった会場でも私のことを知っている人は半数もいません。ですので、もっと知名度が上がれば得票数もさらに増えていたと思います。これは、選挙が終わってからある新聞記者さんから言われたのですが、「支持はしていても投票に行かない人もいる。実際には1.5倍から2倍の支持者がいる」そうです。つまり、全国60万人の方が山田太郎を支持してくれているということです。

 

 

無関心層・若者を巻き込み、政治参加を促す


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-編集部
29万票を集めたことは、「表現の自由を守って欲しい」と思っている有権者が多かったと分かったことも意義の1つでしたが、ネットが選挙において有効だということを示したことも大きな意義でしたね。

-山田太郎 前参議院議員
実は、首相官邸に近い人とも選挙が終わってから会ったのですが、「20年後のことを考えるとすごいことだった」と言われました。
今の10代・20代は選挙に関心を持ってくれません。自民党は18歳選挙権のこともあり、安倍晋三総裁を担いでいろいろな企画を試していましたが、手応えは感じなかったそうです。しかし、20年後は否応なしに今の20代が主役の社会になっています。その意味で、20年後を考えた時に、今回の選挙は1つ大きなターニングポイントだったと思います。

投票率も年々低くなっていて、各党とも「どうやって無党派を取り合うか」を考えていたのだと思います。しかし、私がネットでリーチできた人たちは今回初めて選挙に行く層でした。実際にTwitterを見ていると、
「初めての選挙でドキドキする」
「投票ってどうやるのか分からない」

という投稿も見られましたし、さらには、
「投票すると『投票済証』を貰える」
「デザインが自治体ごとに違う」
「みんなで写真をUPしよう!」

といったお祭りも起こっていました。
私の選挙を通して「ネットを使うことで新しい層を開拓できる」ことが証明できましたので、その意味では非常に日本全体にとって意義がありました。
実際に各党からも、ネットの使い方の相談を受けています。

-編集部
前回の参院選では29万票の内、東京都だけでも6万5,000票も獲得していましたね。

-山田太郎 前参議院議員
6万5,000票というのは、都内23区全てに1人、区議を擁立できるほどの数です。都知事選の際にも様々な方面から相談を受けました。
私は現職の時から無根拠な個人批判や政党批判はしてきませんでしたので「表現の自由を守る」という点で繋がれるのであればどの政党・政治家にも協力しますし、ネットのノウハウは「政治参加が促進できるなら」と惜しげもなく伝えています。

 

 

ネットでリアルを盛り上げ、リアルでネットを盛り上げる


-編集部
選挙の際のネット活用のテクニックや方法論は、様々なメディアでも取材を受けられていると思います。
今回、私が一番気になったのは「ネットの活動に注力する」という判断をした点です。
政治家の方たちもネットをうまく活用しようと思っていますが、選挙カーで名前を連呼したり、駅前で街頭演説をしたりといった活動が優先されてしまい、ネットは片手間の扱いとなっているケースがほとんどです。

-山田太郎 前参議院議員
「ネットに注力した」というよりも「ネットを活用するしか無かった」と言ったほうが正確かもしれません。
みんなの党が無くならなければ、通常の選挙のように選挙カーで政党の名前を連呼していたかもしれません。 今回の選挙では政党から離れていたので、自由に自分たちのアイディアを試すことができました。

ただ、選挙はチームでやるものですから、チームワークはかなり意識しました。
街頭演説をしているチームは炎天下の中、チラシを配り続けるのですから、ネット担当者はクーラーのきいた部屋でパソコンを触っているので、「楽をしている」ように見えるかもしれません。そこで、ネット担当者には違う場所を用意するなど配慮もしました。また、ネット上での反響もすぐに集め、それを街頭演説チームに伝えるようにもしていました。「この話題がRTされています」「選挙カーの音が大きすぎるとTwitterに書かれています」など、リアルタイムに伝えていました。
そうなると、街頭演説チームも盛り上がって、「ネットで拡散される材料を作ろう」と様々なアイディアが出てきました。例えば、街頭演説の時に、話を聞いている有権者の方にも選挙カーに登ってもらいました。そして、自分の思いを自由に話してもらいました。普通の選挙ではいかに候補者の話を聞いてもらうかが大事で、有権者に話してもらうなんてご法度と言われていましたが、みんな喜んで楽しそうに選挙カーに上がり、その様子をTwitterにUPしていました。他にも、秋葉原で演説をした時は「サイン会」をやりました。政治家がサイン会なんて聞いたことないでしょ。

-編集部
ネットだけではなく、実際に現場も盛り上がっていたんですね

-山田太郎 前参議院議員
街宣活動ではネットで拡散されるコンテンツを作り、それがネットで盛り上がり、また次はネットで盛り上がっているのを知った人が集まってくれるというサイクルが作られていました。
ネットだけでの盛り上がりよりも、実際にリアルな場所で盛り上がっている方がみんな納得感を持てて、さらに熱を持ってくれるんです。
街宣活動を聞きに来てくれる人だけではなく、事務所にも毎日60人以上も集まっていました。1週間以上かかると思っていた事務作業が3日で終わってしまい、逆にやってもらうことを探していたくらいです。そのくらい、ネットでの盛り上がりと実際の現場での盛り上がりが良いコラボレーションとなっていました。

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