2021/8/15
日本住血吸症って、知っていますか。
山梨県甲府盆地、静岡県富士川、沼川周辺に、25年前まで存在した死にも至る寄生虫による病気です。この病気の症状は、長い間この地方だけに見られる風土病として、恐れられてきました。
実際には、甲府盆地だでなく、埼玉県荒川、茨城県利根川、千葉県木更津市、広島県、福岡県などにも存在し、特に山梨県笛吹川周辺では、死者も多く出たことから、「嫁に行くなら棺桶も持っていけ・・」といわれて、その恐ろしさが伝わっていました。
今でも、世界では撲滅できずにいる国が多く存在します。
2014年には、り患した人が6000万人、死亡した人が2011年アフリカだけで28万人が死亡しています。
経路と症状
原因は、日本住血吸虫の寄生虫によって、発症する寄生虫病ですが、長いこと原因がわからず、水を飲むからではないか‥とか、何らかの遺伝的な原因があるのか・・とか、言われて恐れられていましたが、明治の頃より、地方病、風土病などといわれていました。
日本住血吸虫は、ミヤイリガイという淡水産巻貝を中間宿主として、田んぼや水路に入った人の足の皮膚から、幼虫のセルカイヤが侵入し,寄生して体内で長い間増殖し、最終的には寄生された後に死に至るというものです。人だけでなく動物にも寄生します。
日本の甲府市で初めて、この寄生虫が確認されたので、日本住血吸虫と呼ばれていますが、日本だけに生息するものではなく、世界のあちこちで、今でも存在します。
症状は、はらっぱりといわれ、腹部が大きく膨らむのが特徴で、肝硬変を経て、肝臓がん、脳への虫卵移動で、脳炎にもなったりして、死亡率も高い病気です。
アフリカで見られる痩せているのにお腹が大きく膨らんだ子どもは、この寄生虫のり患者かもしれません。
日本では、1978年(昭和53年)に最後の患者が出た後、1996年撲滅宣言されています。世界で唯一の撲滅国です。
詳しいことは、⇒https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E6%96%B9%E7%97%85_(%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BD%8F%E8%A1%80%E5%90%B8%E8%99%AB%E7%97%87)
日本住血吸虫の撲滅までの道のり
この病気の原因である中間宿主のミヤイリガイを撲滅するために、甲府地方では、撲滅大作戦を展開しました。水中だけにいるカワニナと違って、湿気のあるところなら、水辺から離れたところにも存在し、有病地に指定された水田等は、19635.5ヘクタールまでの広範囲になり、1匹でも残さないという撲滅作戦が展開された結果、最終的に日本住血吸症の患者もいなくなり、平成6年に有病地指定は、山梨県では解除されました。
米粒ほどの大きさのミヤイリガイを、割り箸を使って集めるなど、広さを考えると、気の遠くなる努力を地元の人がしたことが伺えます。
寄生虫の撲滅の成果と自然回帰
昔は、素足で田んぼに入ったり、小川で遊んだりしたのが当たり前の時代でした。タニシやカワニナがいて、夏には蛍が飛ぶのも夏の風物でした。
それが、蛍がいなくなり、メダカも、タニシもいなくなって、寂しい気持ちもあります。
しかし、それは、小川や水路,畦などに生息するミヤイリガイを撲滅させるために、田んぼの水路をコンクリート化して、発生を防ぐために行った公共事業だったと、知りました。
自然豊かな田んぼの風景と、寄生虫との戦いの結果、作られたコンクリート製の水路、自然回帰が良いとは言えないと、改めて思います。
新型コロナで、世界中の人が苦しんでいる今だからこそ、昔の人が100年かけて、日本住血吸症撲滅に向けて戦ってきた結果が、安心して田んぼにも入れるコンクリート製の水路を巡らせることであったのなら、その努力は尊重しなければならないと思います。
昔から、人類は感染症、寄生虫との戦いで、今も公衆衛生を守る努力を続けています。新型コロナの影響が少なくなっても、次の感染症に備える努力も、これからも続けていくことが必要になるかもしれません。
日本住血吸症撲滅との戦いである日本の歴史は、学ぶべきものがたくさんあるように思います。
昔、昭和48年、高校3年生の時に、腎臓を悪くして入院したことがありました。隣のベットにおなかを大きく膨らませ、肝硬変と診断された20代の農家のお嫁さんが入院していました。
その人の病気の原因が本当は何なのか、知る由もありませんが、山梨に近い御殿場地方にも、もしかしたら、ミヤイリガイがいたのかもしれないと思いました。
でも、今は小山町御殿場地方も、すべての田んぼの水路はコンクリート化しています。蛍がいなくなったことと引き換えに、安心して住める地域にする為の工事であったとしたら、受け入れるしかなかったかと今は思います。




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