2026/4/17
武雄市議会議員選挙レビューその2。
合併後20年で過去最低の投票率となった武雄市議会議員選挙。投票率は60.70%。
2014年67.79%、2018年65.29%、2022年62.41%と下落が続く。新人8人が立候補する激戦でも投票率は上がらなかった。
今年4月現在の有権者数は38,646人。このうち約4割が投票していない。人数にすれば、およそ1万5千人にあたる。
1万5千人規模の意思が、選択の外に置かれた。
現場で聞いた言葉が印象に残る。
「選びようがない」
この言葉は感情もあるが、構造的な問題を示している。
「選びようがない」は2段階ある。
以下にまとめてみた。
選びようがない理由①候補者の訴えにリアリティがない
候補者がsnsなどで行った多くの発信は選挙直前から期間中にかけて
・手を振っている
・どの地区を回る
・遊説してます
といった活動報告がほとんど。
残念ながら、それでは選択のための判断材料にならない。
有権者が知りたいのは
・何が問題なのか
・なぜそうなっているのか
・どう変えるのか
この3点だ。
武雄の住民側にはすでに課題認識がある。
・学生も満足に集められない武雄アジア大学になぜ13億円もの公費を補助したのか。
・老朽化した文化会館大ホールはなぜ放置されたままなのか。
・水道料金3割値上げは妥当なのか。
・塾や習い事へも子どもの送迎の負担軽減策を打たないのはなぜか。
・洪水対策に地域差があるのはなぜか。
・たけおPayや移住促進ショート動画制作など多額の税金を使った施策に効果はあるのか。
・ふるさと納税はなぜ4億円台で伸び悩むのか。
・この人口規模でなぜ副市長が2人もいるのか。
・武雄市はなぜ裁判で訴えられてばかりなのか。
・市議会は行政をチェックできているのか。
論点は揃っていた。
にもかかわらず、それに正面から答える候補者はごくわずかだった。
結果として違いが見えない。
比較ができない。
選びようがない理由②候補者の考えに触れる機会が少ない
こちらは選挙の仕組みの問題。
武雄市は選挙公報が紙媒体のみ。ホームページ掲載も未対応。
討論会や政見放送的な取組みも見られなかった。
公開討論会を主導することの多い青年会議所の動きもなく、地元ケーブルテレビが候補者の発言機会を作り出すということもなかった。
他市と比べると差は明確だ。
佐賀県伊万里市の市長選では地元ケーブルテレビが公開討論会を実施し、ライブ配信。アーカイブも残し、発言を後から検証できる状態にしている。
大分県臼杵市の市議選でも地元ケーブルテレビが政見放送的に全候補者の動画を配信している。
武雄市には、この「比較する場」も無かった。
住民は課題を認識している。
しかし、候補者は十分に語らない。
候補者の違いに触れる機会も少ない。
この組み合わせで、「選びようがない」状態が生まれている。
加えて、もう一つ見逃せない要因がある。
議員定数だ。
現在の定数20という規模は、安全圏を生みやすい。強い差別化を打ち出さなくても当選できてしまう状況だ。
結果として、訴えが弱くなる。
競争の緊張感が働きにくい。
現状を見る限り、武雄市議会は10程度でも回せる。
ここで重要なのは単なる削減ではない。
AIツールを前提とした議会運営への転換だ。
議員と議会の質を数ではなくテクノロジーで引き上げていく。
代議制民主主義の形そのものをアップデートする段階に来ている。
今回当選された議員の皆さんは4年間の行動が問われている。
議員各位には、定期的な市政報告会の開催、そしてSNS等を通じた継続的な発信を求めたい。
政策課題をどう捉えているのか。
その課題にどう手を打つのか。
それを日常的に示してこそ、有権者は比較できる。
選挙の時だけ語るのでは遅い。
4年間の積み重ねが、そのまま選択肢になる。
そのための年間約700万円(議員1人あたり)の議員報酬だ。
そして有権者の側も問われている。
票を入れた候補者が期待どおりなのか、ダメなのか、当選後の姿をチェックするのは当選させた有権者の責任でもある。
選びようがない選挙を変えるのは、双方の行動だ。
4年後の選挙を見据えた動きは、もう始まっている。

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