2026/6/3
こんにちは、加藤よしあきです。

三重県鈴鹿市への移住を検討されている方や、市内の空き家活用に関心がある方へ。現在、鈴鹿市では地域の活性化や利活用を目的とした「空き家バンク制度」をはじめ、重要な住まい支援の枠組みを動かしています。
今回は、鈴鹿市の具体的な支援制度や補助金についてわかりやすくおさらいしつつ、一歩踏み込んで「街づくりの観点」から、空き家バンクが活発に使われることのメリットと、これから私たちが直面するリアルな課題について、私の想いを交えてお伝えします。
鈴鹿市では、移住・定住の促進と空き家の有効活用に向けて、以下のような制度を整備しています。
鈴鹿市空き家バンク制度 市内の空き家を「売りたい・貸したい」という所有者から提供された物件情報を公開し、「買いたい・借りたい」という希望者へ繋ぐマッチング制度です(詳細は 鈴鹿市 移住・定住ポータルサイト「住まい」ページ をご覧ください)。利用には「鈴鹿市に定住するか定期的に滞在し、地域住民と協調して生活を送り、物件を適正に管理できること」が主な要件となっています。
移住促進のための空き家リノベーション等補助制度 市外から鈴鹿市へ移住する方が、空き家バンク等を利用して購入した物件を修繕・模様替えする際、一定の条件(10年以上の定住意思、耐震性の確保など)を満たせば、改修費用の3分の1(最大50万円)が補助される手厚い支援策です(具体的な要件や申請の流れは 鈴鹿市公式ウェブサイト「移住促進のための空き家リノベーション等補助制度」 にて公開されています)。
行政の支援制度を活用して空き家が人の住む場所に変わることは、単にひとつの不動産が動いたという以上の、大きな社会的価値を生み出します。
長期間放置された空き家は、放火や不法侵入などの犯罪リスク、台風や地震による倒壊、雑草の繁茂や害虫の発生といった衛生環境の悪化など、周囲の住民にとって大きな不安要素になります。空き家バンクを通じて管理者が決まり、人の目が届くようになるだけで、そのエリア全体の安全性と美しい景観が守られます。
特に鈴鹿市の山側など、高齢化が進む地域において、若い世代や移住者が入ってくる効果は絶大です。子どもたちの声が響くようになり、地域の行事や自治会活動に新しい担い手が加わることで、消えかけていた地域のコミュニティがもう一度維持・活性化していく契機になります。
鈴鹿市内の物件には、昭和の温かみを感じる平屋から、中には「築100年以上」という歴史ある古民家まで眠っています。これらをスクラップ・アンド・ビルド(壊して建て直す)するのではなく、リノベーションして受け継ぐことは、その土地が持つ固有のカルチャーや歴史的な佇まいを未来へ残すことに繋がります。
一方で、制度があるからといってすべてが順調に進むわけではありません。持続可能な街づくりを進めるためには、以下の課題に正面から向き合う必要があります。
前述の通り、空き家バンクの利用条件には「地域住民と協調して生活できること」が掲げられています。地方での暮らしには、草刈り、自治会費の集金、伝統行事の維持など、都市部にはない特有の「地域の役割分担」が存在します。 移住してきた方と、昔から住んでいる方の間で、この「当たり前」の認識にズレがあると、小さな誤解からトラブルに発展してしまうことがあります。制度の利用だけでなく、事前の丁寧なマッチングや、地域側が温かく迎え入れる体制づくりが欠かせません。
買い手・借り手が「すぐに住みたい」と思っても、長年放置された空き家は、水道管の破裂や雨漏り、シロアリ被害など、見えない部分の老朽化が進んでいるケースが多々あります。 最大50万円のリノベーション補助金などがあるとはいえ、想定以上の修繕コストがかかることが判明し、契約直前で断念してしまう事例も少なくありません。「貸したい・売りたい状態」と「住める状態」の間にあるギャップをどう埋めるかが課題です。
実は「空き家をどうにかしたい」と思いつつも、「仏壇や先祖の荷物が残っているから」「実家を他人に使われるのは寂しい」といった心理的な理由から、バンクへの登録をためらう所有者の方は非常に多いです。こうした「所有者の心に寄り添う相談窓口」や、荷物整理(遺品整理)へのサポート体制をさらに充実させていく必要があります。
空き家問題は、放っておけば街を衰退させる「お荷物」になってしまいますが、知恵と制度を総動員して動かせば、街を豊かにする「最大の地域資源」に化ける可能性を秘めています。
大切なのは、行政がプラットフォーム(空き家バンク)を作るだけでなく、私たち市民や地域のコミュニティ、そして建築・不動産に関わる専門家が一体となって、新しく入ってくる人をサポートする「伴走型の仕組み」を作ることです。
新しく鈴鹿を選んでくれた人が「ここに来てよかった」と思え、長年住んでいる人が「若い人が来てくれて活気が出た」と喜べる。そんな、お互いの顔が見える温かい融和が進んでこそ、私たちの目指す「誇れる暮らし、強い鈴鹿」の土台が作られていくのだと私は信じています。
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カトウ ヨシアキ/38歳/男
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