2026/7/21
【誤算と過信が招く核戦争への道/アメリカの小説『2034 米中戦争』を読む】
中国が南シナ海から原子力潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射をしたばかりだというのに、この週末には、日本のEEZ(排他的経済水域)内で初めて実弾演習を行っていたとのニュースが飛び込んできました。
改めて、本棚にあるアメリカの小説『2034』を手に取りました。
著者は、NATO軍の最高司令官を務め、アメリカ屈指の戦略家として知られるスタヴリディス海軍大将(退役)。世界各国で翻訳され、ベストセラーになりました。私は原書で読み、本人にも話を聞いていたことから、2021年に二見書房が日本語訳を出版する際に解説を書きました。元海上自衛隊自衛艦隊司令官の香田洋二氏が監修をしています。
描かれるのは、今から8年後の2034年に起きる米中の核戦争。
ネタばらしはしたくないですが、相次ぐニュースを受けて、内容をシェアしたくてうずうずしています。
言える範囲でいうと、発端は南シナ海。相手の意図を読み違え、引くに引けなくなり、米中対立を好機と見たあの国々が動いて話がややこしくなり、さらにあの大国まで介入し――。海底ケーブルの切断。サイバー攻撃。主要都市の大停電。軍の指揮命令系統の断絶。ホルムズ海峡の封鎖。最後に待っているのは恐ろしい世界です。
だれも全面戦争は望んでいないのに、「相手はそこまでしないだろう」「こちらの意図は伝わっているはずだ」「まだ引き返せる」と考え、誤算や過信、判断ミスが重なる。実際に歴史上、そうして拡大した戦争はいくつもあります。
『2034』は未来小説ではなく、最悪のシナリオを描いた警告の書です。解説を書いた5年前と比べ、現実が小説の描く世界に近づいていることは疑いようがありません。
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カジワラ ミズホ/53歳/女
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