2026/7/4
【なぜアメリカは「インド」を外したのか――「太平洋軍」復活の意味】
梶原みずほです。文京区、豊島区のみなさん、全国のみなさん、こんにちは。
高市首相が初めてのインド訪問を終え、帰国の途につきました。「インド太平洋」という戦略的に作られた「地域概念」が先日、一つの節目を迎えたことをご存じでしょうか。
というのも、アメリカは2018年に「太平洋軍」を「インド太平洋軍」と改名し、太平洋とインド洋を戦略空間として一体化しインドの地政学的重要性を強調したのですが、先月、8年ぶりに従来の「太平洋軍」へと戻しているのです。
私は2014年から2年間、朝日新聞を休職して、ハワイにある国防総省の組織、アジア太平洋安全保障研究センター初の客員研究員としてアメリカ政府の内側から日米関係を研究しました。当時はオバマ政権、太平洋軍のトップは日本人を母親にもつハリス司令官。日本は安倍総理が「自由で開かれたインド太平洋」を外交の柱に据え、日米が足並みをそろえたころです。ご関心のある方はぜひ、ハワイで執筆した拙著『アメリカ太平洋軍』(講談社)や、土屋大洋編著『アメリカ太平洋軍の研究』(千倉書房)をお手にとってみてください。
私も関わった笹川平和財団のプロジェクトでも、日本、アメリカ、インド、オーストラリアの4カ国が連携し、中国の「一帯一路」に対抗しながら、法の支配や海洋秩序を守るべきだという政策提言を2018年に行いました。インドを単なる南アジアの大国としてではなく、対中戦略を支える主体として引き込もうとする機運があったのです。
アメリカは時代の変化に応じて軍組織の名称変更や編成を頻繁にします。名称から「インド(インド洋)」を外した背景には、①インドに過大な期待を寄せることへの抵抗と軌道修正、②多国間の包囲網形成よりも、米中間での直接的な取引や抑止を重視、と考えられます。
日本が今すぐに戦略を見直す必要はありません。しかし、単なる看板のかけかえと見過ごすべきでもありません。その裏で進んでいる「政治的な地図」の変化、つまりアメリカの優先順位や関心事の修正を示すシグナルとして、慎重に受け止める必要があります。
この記事をシェアする
カジワラ ミズホ/53歳/女
ホーム>政党・政治家>梶原 みずほ (カジワラ ミズホ)>【なぜアメリカは「インド」を外したのか――「太平洋軍」復活の意味】