2026/6/19
【2026.6.13 千葉大医学部解剖慰霊祭】
父の兄の奥さん、私にとっての伯母にあたるK伯母さんが、1年半前に亡くなりました。ご本人のたっての希望で、医学部生のために大学へ献体をされていたのです。
亡くなったとき、お葬式はできませんでした。
いつ戻ってくるかも分からない。
1、2年、長くて3年かかると聞いていました。
大学から遺骨返還のご案内と慰霊祭へのご案内が来たと伯父さんから連絡がありました。私も立ち合いたく、伯父と兄と一緒に千葉大医学部の解剖慰霊祭に参加してきました。
そこで目にしたのは、なかなか衝撃的な光景でした。
30℃の暑い日、医学部の学生たちはご遺族に向かって最敬礼をしていました。
伯母さんをお迎えすることももちろん大切でしたが、私はこの日、人の想いの大切な局面を知ることができ、本当によかった、心からそう思いました。
この日、ご遺族のもとに返還された御遺骨は105体。医学部では、3年生がはじめて生身の身体を使って実習を行うのだそうです。
式典の中でたくさんの方々からご挨拶がありましたが、誰の言葉よりも医学部学生代表の挨拶が心に残りました。
「教科書では分からない、生身の人と対峙するときの心構えを教えていただきました。
教科書には、たった一文だけ『足底の皮は硬い』と書いてあります。けれど実際にメスを入れ、その硬さが手に伝わってきた時、その方が生きてこられた年月の長さや、歩んでこられた人生が思い浮かびました。そこに、自分の大好きだった祖父の背中が重なりました。そしてこの方を大切に想う方々、周りで関わってきた人々の存在までも、感じさせてくれたのです。
教科書では決して分からない、これからの心構えを、この実習から教えていただきました。
一生、忘れません。」
会場のあちこちから、ご遺族のすすり泣く声が聞こえていました。本当に、心にしみる立派なご挨拶でした。
慰霊祭には、3年生の医学部生全員が喪服を着て、後方の席に参列していました。
ご遺族が一人ずつ献花をしていくその後、学生たちもひとりひとり献花をしていくのです。その数、およそ300人。かなりの時間がかかるにも関わらず。
おそらく、この慰霊祭への参加も必修で、単位になるのでしょう。けれど、そんな損得勘定をすべて超えて、あの学生代表の言葉には、まっすぐなリアルな感情がこもっていました。
そして、ずっしりと重い骨壺に入った伯母さんを受け取り、ホールを出ると、そこにはまた、最敬礼をして見送ってくれる学生たちの姿がありました。
彼らはこの一連を通して、人の命に向き合うとはどういうことかを学んでいくのだな、と思いました。そして、そんな局面に私自身が出会えたことを、何よりも有難いことだと感じております。
K伯母さん、お帰りなさい。
桜子







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