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山口 花 ブログ

拉致被害者は東京都にもいる|今改めて考えたい「拉致問題」について

2026/7/23

先日、産経新聞で東京都における条例制定の動きに触れる報道がありました。まだ都議会拉致議連の中で勉強を進めている段階ですが、この機会に、自分の中での整理の意味もこめて、拉致問題そのものについて、改めて詳しくお伝えしたいと思います。

私は、「北朝鮮による日本人拉致問題の完全解決を図る東京都議会議員連盟」の幹事を務めています。東京都総務局人権部が公表している情報をもとに、拉致問題の基礎知識、東京都との関わり、全国の自治体の先行事例、そして私自身が拉致問題と出会った原点についてまとめます。

 

拉致問題とは何か

北朝鮮当局によって、1970年代から1980年代にかけて、多くの日本人が拉致されました。これは日本の主権に対する侵害であり、重大な人権侵害問題です。

平成14(2002)年9月の日朝首脳会談で、北朝鮮は長年否定してきた日本人拉致を初めて認めて謝罪し、再発防止を約束しました。現在、政府が拉致被害者として認定しているのは17名で、そのうち5名は同年10月に帰国が実現しましたが、残る12名は今なお帰国が実現していません。

平成26(2014)年には、日朝政府間協議で北朝鮮が拉致被害者を含む全ての日本人に関する包括的な調査実施を約束しました(ストックホルム合意)。しかし何の報告もないまま、平成28(2016)年、北朝鮮は調査の全面中止と特別調査委員会の解体を一方的に宣言しました。以来、問題は膠着状態が続いています。また、拉致の可能性を排除できない「特定失踪者」と呼ばれる方々が、全国で400人以上いるとされています。政府の認定基準は極めて厳格で、特定失踪者の中からこれまでに追加認定を得られたのは、わずか2人にとどまります。拉致被害者もそのご家族も高齢化が進んでおり、解決はもはや時間との戦いです。

国は平成18(2006)年、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律を制定し、国や地方公共団体の責務を定めるとともに、毎年12月10日から16日までを「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」としています。

 

東京都と拉致問題

東京都に関わる方々の状況を見てみます。東京都にお住まいだった方、または都内で失踪した政府認定拉致被害者は4名います。また、同じく都に関わりのある特定失踪者は、少なくとも46名にのぼります。東京都は、これらの方々が一日も早くご家族と再会できるよう、啓発週間に合わせたオンライン写真展の開催、都庁舎でのブルーリボンライトアップ、ポスター掲出などに取り組んでいます。都内では既に、足立区と江戸川区がそれぞれ独自に拉致問題に関する条例を制定しており、区レベルでの先行事例は東京都の中にも存在します。

 

全国の先行事例

拉致問題への理解を深め、解決への機運を醸成することを目的とした条例は、既にいくつもの自治体で制定されています。秋田県、埼玉県、鳥取県、新潟市、川口市、和歌山県すさみ町、そして東京都足立区・江戸川区がその例です。

中でも新潟県は、令和7(2025)年2月の県議会で条例を制定(全会一致)し、同年3月28日に施行しました。県民の関心と理解を深めるため、啓発を総合的かつ効果的に推進することを目的とし、県と市町村が連携して取り組む枠組みを定めています。あわせて11月を「拉致問題等啓発月間」と位置づけました。

こうした先行事例に共通しているのは、条例という形にすることで、啓発の取組が首長や担当部署の交代によって途切れず、市区町村を含めた自治体全体で継続的に取り組める体制をつくっている点です。

 

首都・東京だからこそ

産経新聞の報道にもあったとおり、東京都における条例制定については、まだ都議会拉致議連の中で勉強を進めている段階です。

ここから先は、あくまで個人的な考えとして述べます。

東京は全国から人が集まる日本の首都であり、政治・経済・情報発信のいずれにおいても大きな影響力を持つ自治体です。その東京都にも4名の拉致被害者、46名以上の特定失踪者がいらっしゃいます。首都東京だからこそ、拉致問題の風化を防ぎ、全国に向けて発信していく責任があると、私は考えています。

既に他県や足立区・江戸川区などが条例という形で継続的な取組の土台をつくっている今、東京都としても条例制定に向けて動くべきだというのが、私の個人的な思いです。

 

国民民主党と拉致問題

私が所属する国民民主党を支援する組織の一つに、繊維・流通・サービスなどの労働組合でつくる産業別組合、UAゼンセンがあります。実はこのUAゼンセンにも、拉致被害者がいらっしゃいます。昭和52(1977)年、鳥取県米子市で編み物教室に向かう途中に行方不明となった松本京子さんは、当時、繊維関連企業の労働組合の組合員でした。松本さんは政府認定拉致被害者です。また、東レ労働組合愛媛支部OBの家族である大政由美さんも、拉致の可能性を排除できない特定失踪者としてリストに挙げられています。組合員に被害者がいるという事実は、UAゼンセンの取組を大きく後押ししてきました。平成14(2002)年から拉致被害者家族支援の活動に取り組み、平成23(2011)年からは、35歳以下の若手組合員でつくる「ヤングリーブス」を中心に、毎年署名活動を展開しています。ある年には、政府に寄せられた署名全体のうち9割以上をUAゼンセン単独で集めたこともありました。これまでの累計署名数は700万筆を超えています。「自分の問題」として若い世代が動いているという姿勢に、私は強く共感していますし、結党当初から共にはたらく仲間のために歩んできた組織内にその当事者がいるということは、国民民主党にとっても重く、大きなことです。

 

私の原点

私自身の拉致問題との出会いは、政治家になるずっと前にさかのぼります。生まれ育った鹿児島県鹿屋市には、海上自衛隊鹿屋航空基地があり、毎年春に「エアーメモリアルin鹿屋」という航空ショーが開かれます。地域と自衛隊、行政が協力してつくり上げてきた、鹿屋を代表する催しの一つです。私が人生で初めて経験したボランティアは、まさにこのエアーメモリアルの会場で行った、拉致被害者救出を求める署名活動でした。当時小学6年生だったと思います。多くの人が行き交う会場の片隅で、友だちと一緒に署名ボードを持ち、声をかける。当時の私にとって拉致問題は、教科書や報道の中の遠い出来事ではなく、自分の足で立ち、自分の声で呼びかける対象になりました。

団体の方が学校に手紙を送ってくださって、全校集会で読み上げられた時の、恥ずかしいような誇らしいようななんとも言えない気持ちは、今でも私の仕事に結びついている気がします。

 

若者の仕事はまず「風化させないこと」

拉致問題は、決して過去の出来事ではありません。被害者もご家族も、今この瞬間も時間との戦いの中にいます。UAゼンセンの若い組合員たちが「自分の問題」として声を上げ続けているように、そしてかつての私が鹿屋の会場で署名を呼びかけたように、一人ひとりが当事者意識を持つことが、政府の取組を後押しする力になります。都議会拉致議連の幹事として、そして一人の議員として、東京都における条例のあり方も含め、これからも学び、発信し、行動していきたいと思います。

参考:東京都総務局人権部「拉致問題」

 

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著者

山口 花

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