太田 勝己 ブログ

3回目住民投票の法定協に反対討論

2026/5/28

5/27大阪市の住民投票3回目の法定協設置に反対の討論をしました。

訴えたのは、「状況が変わった」ということです。

過去2回の住民投票をした頃と比べると、今や市の財政も、二重行政も、物価高騰も、国際社会も、科学技術も、世論調査の結果も、多くの状況が変わっています。

今は大阪市の廃止分割いわゆる都構想を議論するよりも、その予算やマンパワーを物価対策や生活支援に向けるべきです。

これからも愚直に訴えて参ります。

(以下全文。読むのに約15分かかります。)

私は、自由民主党・国民民主党・市民とつながる・くらしが第一大阪市会議員団を代表して、議案105号ないし108号に反対の立場から討論させて頂きます。申し上げたいことは一点「状況が変わった」ということであります。どういうことか。

まず最初に、これまでの経緯について共有させて下さい。大阪市の財政が厳しいと言われて久しいですが、実際は大阪市は平成元年からずっと、36年連続で黒字です。では何が厳しいのか。

市債残高、いわゆる借金のことであります。これについて、磯村市長が財政非常事態宣言を出したのが平成14年、翌15年には關市長が「身の丈改革」として、経費削減や新規採用の抑制、地下鉄民営化の検討などに着手しました。その後平松市長、橋下市長と改革は続きました。市債残高のピークは平成16年に5.5兆円でしたが、現在では3兆円未満になりました。自治体の財政改革は一朝一夕にできるものではありません。維新前も維新後も、どちらも頑張ったというのが事実だと思います。

そうして大阪市を取り巻く状況は大きく変わり、橋下市長が住民投票にチャレンジされた時のキーワードだった「二重行政の無駄」も、今や解消されました。

府市一体化条例も作ったし、大学も港も一緒になりました。職員の人事交流も盛んであります。もう、府と市がバラバラな方向を向くことは無いと思います。横山市長は「それは人間関係によるものだ」と仰いますが、私は、一度一体となって頑張った経験があれば、おいそれとは変わらないと思います。松井市長も、そのために府市一体化条例を作ったと仰っていましたね。ま、そこは意見の分かれるところでありますが。

さて私がここで強調したいのは、關市長からはじまった「改革による財政状況の変化」に加えて、ここ数か月の急激な動きであります。

折からの物価高に加えて、イラン情勢は非常に先行きが不透明であります。停戦の兆しも報道されていますが、皆さん考えて下さい。約400kg、核弾頭10発分とも言われている濃縮ウランの、ほんの一部でも撤去されてでしょうか?されていません。本当に停戦になるのか、仮になったとしても不安定な状況は続くと考えざるを得ないでしょう。

「自民党のお前が言うか」と言われるかもしませんが、もしガソリンの価格高騰やナフサの品薄などがしばらく続いて、これから更に市民の皆様の生活が苦しくなった場合、企業の皆様の業績が悪化した場合、市民の皆様はどう思うでしょう。「この大変な時にいつまで大阪市廃止だ、都構想だ、なんてやってるんだ」とならないでしょうか。

今回の3回目の住民投票につきましては、吉村知事が出直し選に打って出て、横山市長も歩調を合わせてダブル選になりましたが、その後の吉村さんの進退云々などの動きを見させて頂いていて私が思いますのは、これはちょっと吉村さんに振り回されているんじゃないかと、他党のことですので大変失礼というか大きなお世話ですが、このままでは「吉村さんの吉村さんによる吉村さんのための住民投票」だと市民の皆様に思われるのではないでしょうか。

しかし一方で吉村さんのお気持ちも分かる気がします。ダブル選の時の新聞折込チラシに書かれていました。「知事・市長・多くの同志が同じ思いを共有できている今だからこそ」こう書いてありました。どうしても、今の仲間と一緒にやりたいと、ね。市議団の先生方はどうですか?

ともかく、その切迫感というか、覚悟に、少し同情するのですが、さあ、しかし、そこに主権者である市民の皆様の思いはあるのでしょうか。それは党のご事情じゃないですかと。これが問題です。だからタウンミーティングもなさった訳ですよね。私も参加させて頂きましたが、それを踏まえてもなお思いますのは、やはり今は大阪市を廃止する都構想を議論するよりも、その予算やマンパワーを、物価対策や生活支援の充実、そのための研究や議論に充てるべきだと、思います。

過去2回の住民投票とは状況が変わっているというエビデンスとして、今月のはじめに実施した調査の結果をいくつか紹介させて頂きます。以下数字を沢山言いますがすみません。どのアンケートも回答人数は850人前後です。

まず大阪市全域を対象にアンケートしました。いわゆる都構想に賛成は38%、反対47%でした。今、重視する政策は?とお聞きしたところ、いわゆる都構想は17%、医療・福祉が18%、教育・子育て5%、経済・雇用・物価対策が51%でした。

もう一つ、少し話は変わりますが、住民投票を大阪府全域でやろうという動きもあるでしょう。大阪市の存廃を他の市の人にも決めてもらおうということです。これは非常に危険なことですから絶対にやめてほしいのですが、これを指し示すデータもご紹介しておきます。

大阪府下の7中核市にお住いの方を対象としたアンケート。いわゆる都構想に賛成が43%、反対38%。これは新聞等で報じられているのと同じで賛成多数であります。続けて聞きました。住民投票を大阪府全域でやることに賛成ですか?すると賛成が60%、反対26%。そこで同じ質問を違う日本語で聞きました。大阪市の廃止分割を大阪市民以外の人が決めることに賛成ですか?すると賛成が42%、反対43%、なんと半々になりました。で、最後に聞きました。あなたがお住まいの市の廃止分割を他の市の人が決めることに賛成ですか?すると賛成は26%、反対は60%になりました。

これ、どういうことでしょう?自分達は大阪市を廃止してもいいけど、自分達の市が廃止されるのはダメだということでしょうか。それとも大阪市は嫌われているのでしょうか。あるいは、多くの人は実はよくわかってないのかもしれません。いずれにしても、来春に大阪府全域でやるのは、いくら何でも急ぎ過ぎ、危険過ぎです。

紹介ついでに、日本全国の他の政令市では、いわゆる都構想はどう見られているのか、これも紹介しておきましょう。6年前のデータです。大阪市以外の19政令市にお住いの方に聞きました。あなたがお住まいの市がいわゆる都構想になったら賛成しますか?で賛成が30%、反対45%でした。そして今月、再び19政令市でお聞きしました。賛成は22%、反対42%でした。

ま、大阪以外ではそもそも都構想の議論がありませんから、反対多数なのは当然かもしれませんが。でも6年前は賛成30%だったのが今22%というのは、今、大阪が全国からどう見られているのか、を推察する参考になると思います。

一方で少し先の未来に備える必要もあると思います。先月アメリカでクロードミュトスという超高性能なAIが出ました。サイバーは新しい時代に突入したと言えるでしょう。ネットならまだしも、水道や電気が攻撃を受けたなら、一ヶ月も続けば死者が出ます。決して甘く見てはいけません。クロードミュトスは日本政府と金融機関もアクセスできる見通しが立ったとのことでひとまず安心ですが、一体いくら払ったのか。数十億なのか数百億なのか。つまりサイバーの脅威とは、社会生活に支障が出るのみならず、国富が流出するという側面もある訳です。人ごとではありません。名古屋港も、大阪府立の急性期病院もサイバー攻撃を受けました。大阪市も、自分達の市を廃止した方がよいとか議論をするよりも、その予算とマンパワーをサイバー対策に充てるべきです。

一方で技術の進化はマイナスの側面だけではありません。この春、東大と京大の入試問題をチャットGPTに解かせたら首席合格者よりも高得点だったといいます。もう、社会のあり方が大きく変わるでしょう。産業革命で蒸気機関を手に入れて、人力を超える仕事ができるようになったのと同じように、今度は人知を超える知能を使う時代が来るでしょう。知能だけではありません。処理速度も通信速度ももっと早くなるでしょう。

例えばアップルウォッチのような端末を全員に配付して、心拍数などを常時モニタリング、通報できるようになれば、いじめが無くなる時代が来るかもしれません。全ての性犯罪も、全ての孤独死も、防げるかもしれない。さあ、その時、地方自治体の業務はどうあるべきか、プライバシー、えん罪、機械の誤動作への対処も行政が積極的に関与するようになるかもしれません。それ以外にも、車の自動運転も、ドローンも、フィジカルAIもすぐそこまで来ています。

今は、都構想が議論され始めた頃と、状況が変わったということ、そして近い将来もっと変わっていくに違いありません。今は大阪市を廃止するのではなく、未来社会に備え、先んじて変化に対応していくべきです。

最後に、法定協への参加について、3点、述べさせて頂きます。

1.法定協については維新内で議論が終わっていて、既に住民投票を実施することや投票日まで決められています。

2.他会派も法定協に参加すべき、との声がありますが、そもそも法定協は設計図を作る場であり、反対意見を述べる場ではありません。それは過去の法定協でも確認されたことであります。にも拘わらず、吉村知事は昨日「反対の理由も含めて協議会に出席して議論を戦わせるべきだ」とのコメントを出されました。これはさすがにご都合主義と言うか何と言うか。横山市長も先日我々との話し合いの中で同様のことを仰られましたが。では法定協に参加して反対意見を述べれば住民投票が中止になる可能性が少しでもあるのでしょうか。

3.他会派が法定協に参加する事で、大阪市会の全議員で設計図を作成した、とのアリバイに使われるだけではないでしょうか。

以上の考察から、我が会派としては以下の5点について、法定協の開始前に、明確な回答をお示し頂きたいと考えています。

1.住民投票の実施期限をあらかじめ区切らないこと

2.住民投票は大阪市民を対象として実施すること

3.「副首都論」と「大阪市廃止・特別区設置論」を一体化して議論しないこと

4.副首都局における制度素案の作成については、府側スタッフのみで密室的に進めるのではなく、市側スタッフも対等に参画し、オープンな形で進めること

5.税財源や職員体制に関する素案について、府側の一方的な都合を押し付けるのではなく、市民サービスを最優先に議論すること

これらは、法定協を公平・公正かつ市民に開かれた形で進めるために最低限必要な条件であると考えています。法定協が始まる前に、これらの点に対する明確なご回答を頂きますよう求めて、私の反対討論とさせて頂きます。

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著者

太田 勝己

太田 勝己

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大阪市福島区選挙区

肩書 大阪市会議員,福島区選出,保護司,NPO法人理事,地域防災リーダー,青少年指導員など
党派・会派 自由民主党

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