2026/5/22
警察の違法捜査は、刑事裁判の中で争われることがあります。
違法な取り調べ、違法な捜索、違法な証拠収集があれば、弁護人が裁判で主張し、裁判所が憲法や刑事訴訟法の観点から判断します。
そして、問題があると判断されれば、証拠が排除されたり、判例として警察・検察の捜査手法が改められたりすることがあります。
この仕組みについて、詳しくはnoteで書きました。

https://note.com/takasan_japan/n/nfd3734e0d1d0
警察の違法捜査は裁判で直される
児童相談所の虐待認定には、なぜ「修正機能」がないのか
ここで重要なのは、刑事手続には少なくとも理論上、
違法を発見する仕組み
違法を裁判で争う仕組み
違法な手法を将来改める仕組み
があるということです。
では、児童相談所の虐待調査には、同じような「修正機能」があるのでしょうか。
ここが、非常に重要な問題です。
児童相談所は、子どもを一時保護することができます。
親子を分離することができます。
面会を制限することができます。
家庭の内部事情を調査し、親や子どもの発言を記録することができます。
そして、その記録が、虐待認定、一時保護、面会制限、施設入所、親子分離の根拠として使われることがあります。
これは、非常に強い行政権限です。
ところが、その虐待調査の過程が本当に適切だったのか。
子どもへの聞き取りが誘導的ではなかったのか。
職員が優越的な立場を利用して、子どもや親に何かをさせた、または何かをさせなかったのではないか。
親に不利な発言だけを拾い、有利な事情を記録から落としていないか。
こうした点を、後から第三者が十分に検証し、不適切な調査手法を改める仕組みは、極めて弱いのが現実です。
たとえば、子どもが児童相談所の職員から聞き取りを受ける場面を考えてみてください。
子どもは、大人に比べて圧倒的に弱い立場です。
しかも、相手は行政権限を持つ児童相談所の職員です。
質問の仕方によって、子どもの答えは大きく変わります。
「家に帰りたいの?」と聞くのか。
「家に帰るのは怖くないの?」と聞くのか。
「お母さんは怒ることがあるよね?」と聞くのか。
「本当は施設にいた方が安心なんじゃない?」と聞くのか。
聞き方ひとつで、子どもの答えは変わります。
そして、その答えが「子どもが帰宅を拒否している」「心理的虐待のおそれがある」「親子関係に問題がある」といった形で記録されれば、親子分離を正当化する材料になりかねません。
警察であれば、違法な取り調べや誘導的な供述の問題として、刑事裁判で争われる可能性があります。
しかし児童相談所の場合は、同じように重大な人権侵害につながる調査や記録作成であっても、「支援記録」「ケース記録」「虐待対応記録」という形で内部に保存され、そのまま行政判断の材料になってしまうことがあります。
ここが恐ろしいのです。
私は、児童相談所職員全員が悪いと言っているのではありません。
多くの職員は、大変な現場で努力しているでしょう。
しかし、制度は「良い人が頑張っているはずだ」という信頼だけで作ってはいけません。
警察も、検察も、裁判所も、行政機関も同じです。
強い権限を持つ組織には、必ずチェック機能が必要です。
なぜなら、万が一、不適切な職員が入った場合、その人を簡単に排除できるとは限らないからです。
さらに言えば、悪意がなくても問題は起きます。
思い込み。
先入観。
組織防衛。
記録の誇張。
都合の悪い事情の不記載。
子どもの発言の誘導。
親の発言の切り取り。
こうしたものは、制度的にチェックされなければ、内部記録として積み上がっていきます。
そして、その内部記録が、親子分離の根拠になる。
これは、子どもと家庭にとって、あまりにも重大な問題です。
警察の違法捜査は、裁判で争われ、判例によって修正されることがあります。
では、児童相談所の不適切な虐待調査は、誰が、どこで、どのように修正するのでしょうか。
この問いを、私たちはもっと真剣に考える必要があります。
「子どものため」という言葉は大切です。
しかし、その言葉を理由に、行政記録の作成過程が不透明なままでよいはずがありません。
本当に子どもの権利を守るなら、児童相談所の調査こそ、第三者による検証、録音録画、記録の透明化、誘導的聞き取りの排除、不適切な手法を改める仕組みが必要です。
児童相談所を信じるか、信じないか。
そういう単純な話ではありません。
必要なのは、信頼ではなく、検証できる制度です。
市川市でも、今後、児童相談所機能を市としてどう考えるのかが重要なテーマになります。
そのとき大切なのは、「児童相談所を持てばよい」という単純な話ではありません。
強い行政権限を持つなら、その権限をどう検証するのか。
不適切な調査があった場合、どう修正するのか。
子どもや親が不利益を受けたとき、誰がその記録を検証するのか。
ここまで考えなければ、本当の意味で子どもの権利を守る制度にはなりません。
児相の虐待調査に「修正機能」はあるのか。
この問いは、市川市だけの問題ではありません。
全国の児童相談所行政に共通する、法制度上の重大な欠陥です。
子どものために必要なのは、行政への盲信ではありません。
行政権限を検証できる仕組みです。
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