2026/3/8
昨年、東京都の女性活躍推進条例において「アンコンシャス・バイアス (無意識の偏見)」の解消が盛り込まれた際、個人の内心領域への行政介入や、特定の価値観を強いる思想統制に繋がるのではないかという深刻な懸念が示されました。
我が会派は昨年、足立区の男女共同参画社会推進条例の一部改正案に対し本来の目的である男女格差の是正から逸脱し、性の多様性に関する規定を性急に盛り込むことが、条例当初の趣旨を埋没させ、個人の価値観へ不当に介入する懸念がある事から反対討論を行いました。
先月、「第1回定例会」の代表質問にて、無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)についての啓発内容が、思想統制等につながる懸念がある事について質問しました。
それに対しての、区の認識と見解は!
1 思想統制との関係についての区の認識

区は、政府全体としてアンコンシャス・バイアス解消に向けた取り組みが進められていることを踏まえ、普及啓発活動は必要であるとの認識を示しました。
また、現在の区の取り組みは、
• あくまで「気づき」を促すもの
• 特定の考えを強要するものではない
• 思想統制を招くおそれはない
と立場を明確にしています。
つまり、区は啓発の目的を「内部心理行動の補正」ではなく「認識のきっかけづくり」に限定しているという説明です。
男女共同参画行動計画には、あらゆる世代へのアンコンシャス・バイアスに関する啓発が掲げられていますが、本区においては、東京都で見られたような、身体的苦痛を伴う装置の利用や特定の価値観への同調を強いるような体験型研修を行っているかを伺いました。
その結果足立区では、男性職員に生理痛を疑似体験させる装置を用いた研修は実施していないとのことです。
一方、各保健センターのファミリー学級では、出産を控えたカップルを対象に、希望する男性が妊婦体験を行う取り組みがあります。ただしこれは、
• 本人の了承のもとで実施
• 任意参加
• 特定の価値観への同調を求めるものではない
と説明されています。
区としても、強制的な体験や心理的圧迫を与えるような啓発手法は行うべきではないとの認識を示しました。
この点は、思想・信条の自由を尊重するという観点から重要な確認事項です。
「あだち公的表現ガイド」とは社会における固定概念や偏見などの意識を変えていく必要があるため、まずは区の情報発信内容が「固定概念に基づいたものになっていないか」「ジェンダー表現に問題はないか」等を考えるためのガイドブックとして、区の職員向けに作成されたものです。
「あだち公的表現ガイド」について区は、
• 区民に押し付けるものではない
• 区職員が情報発信を行う際の内部ガイドライン
• 固定概念に基づく表現になっていないかを確認するためのもの
と説明しました。
区ホームページに掲載しているのは、参考として活用してもらう趣旨であり、区民に対して拘束力を持つものではないとの立場です。
ここからは、上記答弁を前提にした論点整理です。
アンコンシャス・バイアスの問題は、本来、
• 差別的な取扱いの防止
• 機会均等の確保
• ハラスメントの抑止
といった「行為」の問題として位置付けられるべきものです。
一方で、「無意識」や「内心」に関わるテーマである以上、
日本国憲法第19条(思想・良心の自由)や
日本国憲法第21条(表現の自由)との関係は、常に慎重な整理が求められます。
区は「強制しない」「圧迫しない」「内部ガイドにとどめる」と明言しました。
今後の焦点は、運用がその説明どおりになっているかという点にあります。
• 啓発が事実上の同調圧力になっていないか
• 研修が評価や人事と結び付いていないか
• ガイドラインが教育現場等で“正解”として扱われていないか
こうした点を冷静に検証していくことが重要です。
区は、異なる価値観を持つ者同士が尊重し合える社会をつくることが行政の役割であると述べました。
その原則を共有したうえで、自由を守りながら公平を確保するという難しい課題に、どのように向き合うのか。
アンコンシャス・バイアスの議論は対立のためではなく、憲法的価値と政策目的、そして何よりも人の道徳観を育成しそれぞれをどう両立させるかを考える機会であるべきです。
引き続き、具体的な運用と実態を丁寧に確認していきたいと思います。
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ホーム>政党・政治家>加地 まさなお (カジ マサナオ)>「無意識の偏見 アンコンシャス・バイアス」行政の介入を止めました!