小笠原 だいすけ ブログ

​【2026年6月農林水産委員会】陸奥湾ホタテ危機と猛暑のトマト栽培。小規模農家を守る支援のあり方

2026/6/25

6月25日の青森県議会農林水産委員会。施設(ハウス)野菜の安定生産のことと、陸奥湾ホタテガイ養殖の振興について質問をした。

いま、猛暑や海水温の上昇、資材価格の高騰、人手不足などによって、これまでのやり方だけでは生産を続けることが難しくなっている。

現場では何が起きているのか。県の支援制度は、農家や漁業者が置かれている状況に合っているのか。視察や聞き取りで伺った声を基に、県の考えを確認した。

規模を広げられない農家にも、支援が届く制度を

委員会に先立ち、深浦町のトマト団地を視察した。

愛知県から移住し、農業未経験からトマト栽培を始めて17年目となる生産者は、「周りの協力があったから、今まで続けることができた」と話していた。

だが、現場の状況は非常に厳しい。

県内の施設野菜の作付面積は、2014年の370ヘクタールから、2024年には241ヘクタールまで減少した。10年間で約4割の減少である。その約7割を、トマトとミニトマトが占めている。

栽培を始めた17年前は、青森の冷涼な気候がトマト栽培に比較的適していたという。しかし近年は、気温が30度、35度となる日もあり、花が咲いても実がつかない着果不良や、収量の低下が起きている。

高温への対策を考え、資材や栽培方法を研究し、試行錯誤を重ねる。資材費も高騰する中、地域平均の2倍近い収量を上げてなお、経営はぎりぎりだという。

これだけ努力を重ねている農家でも、続けていくことが容易ではない。

県は、自動かん水施肥システムを活用したトマト栽培の実証、高温に強い品種の比較試験、遮光資材や循環扇の活用などを進めている。

また、県での単独の「野菜等産地力強化支援事業 」

https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/nourin/noen/yasai_2026.html

により、省力化や高温対策に必要な資機材、雪害を防ぐ耐雪型ハウスなどの導入も支援している。

こうした技術や支援は、今後ますます重要になる。

一方で、今回確認した補助事業の「省力型」メニューには、労働力の削減や規模拡大などの要件が設けられている。

省力化や経営改善を求めること自体は理解できる。しかし、高齢化や人手不足、資材高騰が続く中で、規模を広げられる農家ばかりではない。

今の規模を維持し、地域の農地を守りながら、質の高い作物を作り続けることも重要な経営努力である。

規模拡大が難しい小規模・家族経営の農家にも支援が届く、より利用しやすい制度運用を県に求めた。

ホタテ再生と副業魚種――外国産種苗を持ち込むリスク

陸奥湾のホタテガイ養殖は、さらに深刻な状況にある。

昨年度は、高水温による大量へい死などによって水揚げ量が2万トンに届かず、1977年度以降で最も少ない水揚げとなった。販売額も2年連続で100億円を下回った。

さらに今年度は、水揚げ量1万トン、販売額40億円という極めて厳しい見通しが示されている。

ホタテガイ養殖をどう守り、どう再生させるのか。それが最優先であることは言うまでもない。

一方で、ホタテだけに経営を依存していれば、高水温や採苗不振が起きた際、漁業者の生活と経営に大きな影響が及ぶ。

そこで県では、経営リスクを分散する「副業魚種」として、マガキやムール貝、イタヤガイなどの可能性を検討している。この問題については、4月の農林水産委員会でも取り上げた。 https://ogasawaradaisuke.jp/norinsuisan-202604/

現在、県産業技術センターでは、陸奥湾に生息するイタヤガイを使った試験養殖を行っている。しかし、これまでの試験では、産卵期に当たる2月から3月頃の低水温に弱い傾向も確認されているという。

簡単に新しい魚種へ切り替えられるわけではない。

そうした中、私が話を聞いた漁業者からは、種苗が手に入りやすく、高水温にも比較的強いと聞く中国産アメリカイタヤガイを養殖できないか、という声もあった。

ホタテの収入が大きく落ち込み、漁業者が死活問題に直面する中で、何とか別の可能性を探したいという思いは痛いほど分かる。

しかし、陸奥湾の外、特に国外から種苗を持ち込むことには、大きな危険がある。

県は、中国産アメリカイタヤガイを含む外国産種苗について「外国産種苗を用いた養殖は実施すべきではない」と明確に答弁した。

種苗とともに、これまで陸奥湾には存在しなかった寄生虫や未知の病気、毒をつくるプランクトンなどを持ち込むおそれがあるためである。中国では、イタヤガイ科の二枚貝がウイルス感染によって大量死した事例もあるという。

一度、新たな病気や有害なプランクトンが持ち込まれれば、ホタテだけでなく、陸奥湾の他の魚介類にも取り返しのつかない被害を及ぼしかねない。

漁業経営が苦しいからこそ、様々な可能性を探る必要がある。しかし、目先の収益のために、陸奥湾そのものを危険にさらすわけにはいかない。

県には、外国産種苗を持ち込むリスクを漁業者や関係団体に改めて丁寧に説明するとともに、陸奥湾に生息する魚や貝を基本として、副業魚種の研究と実証を進めるよう求めた。

目の前の経営と、次の世代の青森を守るために

農家も漁業者も、ぎりぎりの状況の中で、明日の経営をどう守るか必死に模索している。

その声を県に届け、今の経営を支えること。同時に、青森の農地と海を次の世代に残すこと。

その両方を実現するため、これからも現場に足を運び、県政に問い続けていく。

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著者

小笠原 だいすけ

小笠原 だいすけ

肩書 青森県議会議員
党派・会派 立憲民主党

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