2026/9/15

皆さま、こんにちは
呉市議会議員の『佐伯こういちろう』です
9/11に呉市議会議会協議会において、日本製鉄株式会社 瀬戸内製鉄所 呉地区跡地で計画が進む「多機能な複合防衛拠点」の整備について、防衛省から最新の説明がありました。市民の皆さまの関心も高いテーマですので、当日の資料とともに協議会で質疑された内容なども踏まえてお伝えします。
呉地区には海上自衛隊呉地方総監部をはじめとする主要部隊や多数の艦艇が所在し、米軍佐世保基地・岩国基地へのアクセスも良好な、地理的に重要な地域です。防衛省はこうした立地を踏まえ、装備品の維持整備・製造、訓練、補給といった機能を一体的に整備することで、部隊運用の持続性を高めることを目指しています。あわせて、防衛生産・技術基盤を担う民間企業を誘致するエリアも設けられる計画です。
これは「防衛力の抜本的強化の実現につながる非常に重要な意義、プロジェクト」というのが防衛省としての認識です。
■ 大きな節目:跡地全体の取得契約を締結
これまで防衛省・広島県・呉市・日本製鉄(株)の間で協議が重ねられてきましたが、令和8年8月28日、防衛省と日本製鉄(株)は跡地全体を取得する契約を締結しました。
冒頭には呉市長からも挨拶があり、市内事業者の受注機会確保や雇用の拡大、先進的な研究の実施、防衛観光や交流人口の拡大、運動場の市民利用など、多角的な呉市活性化への強い期待感が示されました。
ポイントは「段階的な取得」という進め方です。日本製鉄(株)による建物等の撤去作業には相当の期間がかかる見込みのため、契約で定めたブロックごとに撤去が完了した区域から順次、防衛省が所有権を取得し、施設整備に着手していきます。一括の引き渡しを待たず、民間企業誘致エリアなど早期に着手できるエリアから動かしていく方針です。


なお、質疑の中で「収去(除却)完了」の基準について確認がなされました。防衛省は、地上構造物の解体にとどまらず、地下埋設物も含めて日本製鉄(株)側がすべて撤去・処理した完全な更地状態を確認した上で所有権の移転(引き渡し)を受ける方針を明確に示しています。
■ 令和9年度の予算は「事項要求」
来年度予算については、今後の安全保障関連の方針(いわゆる三文書改定)の内容次第で事業の中身が変わり得ることから、具体的な金額を示さない「事項要求」という形で要求されています。整備を進める方針自体は変わらず、跡地の引き渡し時期や整備計画が固まり次第、12月頃に具体的な内容や金額等が示される予定です。

今回の注目部分の一つが、防衛生産・技術基盤を担う民間企業の誘致です。令和8年9月1日、防衛装備庁は正式に企業の募集を開始しました。ここは市民の皆さまの関心も高いと思いますので、募集要領の内容も補足してご紹介します。

誘致エリアで実施される装備品の製造・維持整備・研究開発については、以下のいずれかの要件を満たすことが望ましいとされています。
※装備品:自衛隊で使用される装備品(武器、車両、船舶、航空機、無 人機等)及びこれらの部品又は構成品
特に3点目は、誘致される企業が地元の雇用創出や地元企業への発注をどれだけ計画しているかが、選定にあたって評価される仕組みになっています。今後、どのような企業が手を挙げ、どの程度の地元貢献が見込まれるのかは、地域経済への影響を左右する重要なポイントとして注視していきたいと考えています。
なお、募集要領は令和7年3月時点の説明では誘致エリア全体の面積を概ね20ha程度確保する方針とされており、装備品の研究開発を行うスタートアップなど先進的な企業の活用、防衛装備庁の研究開発関連施設についても視野に検討されています。
跡地には、民間企業誘致エリアのほか、以下のような機能が配置される計画です(区画の数・規模・配置は今後変更の可能性があります)。

① 民間企業誘致 防衛生産・技術基盤を担う企業を誘致。
② 無人機製造整備 水上・水中無人機等の製造・整備・試験/岸壁近傍に配置。
③ 庁舎等 隊舎・庁舎等/民間誘致エリアと出入口の近傍に配置。
④ 物資集積・保管 艦船積載物資の集積・保管/岸壁近傍に配置。
⑤ 燃料タンク 艦船運用を支える燃料機能/岸壁近傍に配置。
⑥ 運動場 屋外運動施設(ソフトボール場4面程度の面積)、体育館・駐車場等を検討。
⑦ 将来構想 将来活用/進捗に応じ利用方針を検討。
⑧ 補給整備 艦船の維持整備/岸壁近傍に配置。
⑨ 火薬庫 建屋は数棟程度/関係法令に基づき、十分な保安距離を確保。
⑩ 情報通信 情報通信機能/周囲に遮蔽物がない高台に配置。
⑪ 防災拠点 艦船・ヘリの物資輸送/岸壁沿いで海・空から進入しやすい場所。
⑫ 作業ヤード・緑地帯 コンテナ置場・一時駐車場/緑地保存、環境保全・騒音低減を考慮。
⑬ 岸壁 艦船運用基盤/補給整備・物資集積・燃料機能を近接配置。


これらの配置(ゾーニング)は令和7年3月に示されたものがベースになっており、その後、運動場エリアの形状変更や、作業ヤード・緑地帯エリアなど、微調整が加えられています。
今回の協議会では、配付資料の説明にとどまらず、議員から活発な質疑が行われました。質疑を通じて示された重要な論点は以下のとおりです。
132haの敷地全体に建屋が建ち、すべて機能するまでにどれくらいのスパン(完成時期)を考えているのかという問いに対し、防衛省は「巨大製鉄所ゆえに地下に相当程度のものが埋まっており、現時点で施設の完成時期や最後の引き渡し時期について具体的な年限を示すのは難しい」と答弁し、日鉄側と相談しながら進める方針を示しました。
日鉄撤退により地域経済が停滞する中、先行して公募が進む誘致エリアでどのような官民連携を描いているのかという問いに対し、防衛省は以下の見解を示しました。
②のエリアでドローン・無人機を整備・製造するにあたり、海の無人機開発を官民共同で進めてはどうかという提案に対し、防衛省は「②は水上・水中無人機の維持整備・製造・試験に適している」とした上で、技術サイクルが極めて早い分野であるため、国産化を基本としつつも外国企業の先行知見や技術動向も踏まえて施設をデザインしていくと答えました。
物資輸送だけでなく、日々の通勤や有事・災害時の市民避難の手段として、港湾・道路だけでなく「JR呉線の安定性・強靭化」も拠点整備と一体で検討してほしいという要望に対し、防衛省は「指摘を受け止め、よく勉強・研究・研鑽していきたい」と応じました。
防衛拠点ができたら呉市が活性化・繁栄するという主張の根拠について問われた防衛省は、以下のように答弁しました。
防衛省が送付する募集要領は、応募企業が現地での建屋建設や投資計画を社内決済できるよう、「インフラの整備状況」「防衛省の用意範囲と企業の準備事項」など具体的情報を提示した上で、提出された申請書類を分析・評価して来年(令和9年)5月に選定を行います。
市民の安心感につながるシェルターを備える考えはあるかという質疑に対し、防衛省は「現時点でシェルターを前提とした設計図にはなっておらず、防衛省単独でシェルターを作って提供する形にはなっていない」としつつ、沖縄離島での自治体整備に対する費用補助事例などを参考にフォローアップしていくと回答しました。
令和9年3月末の基本検討取りまとめ後、5月の企業選定に進む前に市民説明会をいつ設けるのかという問いに対し、呉市(総務部長)は「説明の場を設ける必要性は十分認識しているが、開催方法や時期について現時点で具体的に申し上げることはできない。今後も適切に判断していく」と述べるにとどまりました。

防衛省は、日本製鉄(株)、広島県、呉市など関係機関と連携しながら、事業の着実な推進と早期整備に取り組むとしています。
協議会の最後には委員長から、防衛省に対して今後も住民や地域への影響を念頭に置いた丁寧な情報提供を要望するとともに、呉市議会としても跡地活用を重要事項と位置づけ、必要に応じてこれからも議会協議会を開催していく方針が示されました。
日鉄跡地の複合防衛拠点整備は契約締結という節目を迎え、いよいよ具体的に動き出しました。地域経済への期待が高まる一方で、市民の安全・安心を守るための具体策が強く問われてまいります。国の計画任せにせず、市としても体育館など公共施設を活用したシェルター避難のあり方を含め具体的な検討を求めていく必要があると思います。
また、JR呉線について、日常の移動だけでなく有事や災害時の避難動線・命綱としての重要性を防衛省に直接伝えられたことは、少なからず意味のある一歩だったと思います。
市民の暮らしと命を守るため、今後も議会から国や市へ必要な提言を重ねてまいります。
ぜひ私のSNSのフォローや、皆さまからのご意見・ご質問をお寄せください。今後ともよろしくお願いいたします。
インスタグラム @saekikoichiro
この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>佐伯 こういちろう (サエキ コウイチロウ)>【呉市】動く日鉄呉跡地!防衛拠点整備と企業誘致の最新スケジュール