選挙ドットコム

依田 翼 ブログ

旧区立根津一丁目住宅の立ち退き問題について

2025/12/16

昨日、文京区議会11月定例会の最終日に追加提出された和解案が賛成多数で可決されました。我が会派は和解に反対しました。なかなか経緯が複雑なので、以下解説します。

いまでこそ人口増が続いている文京区ですが、2000年ごろまでは人口が減少傾向にありました。そこで中堅所得層の定住促進のために作られたのが区立住宅です。低所得者のセーフティーネットとしての区営住宅とは別もので。根津の区立住宅は官民の共同建て替えで作った複合施設の上層部に約70㎡×13戸を住居として確保し賃貸していました。駅徒歩3~4分の好立地で、現在築22年の鉄筋コンクリート造13階建てです。

その後、人口も増えだして政策目的がなくなったこともあり根拠となる条例を廃止。2023年2月に事業は終了しました。3戸は防災用の職員住宅に転換。10戸は民間に売却することになっています。

入居者への退去のお願いは2020年7月から始めました。ところが最終的に2戸が退去を拒否しました。そこで文京区は退去を求めて東京地裁に提訴。うち1戸は和解が成立しました。2027年3月まで入居を認める代わりに、月々約20万円の賃料は引き続き支払ってもらいます。この賃料は相場より安いのですが、解決してよかったねということになりました。

問題はもう1戸。こちらは裁判が続いていました。居住者は区から許可を得て(許可証をもらって)住んでいたものの、許可証に終了期限は明記されていませんでした。根拠となる条例がなくなったのですが、契約書はないとはいえ区と入居者の関係は一般的な賃貸借契約とみなされるようです。借地借家法とその判例に照らすと、入居者に退去を求めるには「正当事由」が必要になりますが、その要件はかなり厳しい。勝訴は難しいのではという状況の中で和解が模索され始めました。

ところが最終的に出てきた和解案が驚きのものでした。なんと入居者が住戸を買い取るというものです。入居者は住み続けることが目的なので、賃貸が継続できないなら買い取りたいという意向を示したそうです。その意を汲んで作られたのが和解案です。区は10戸を売却する方針なので、その方針には沿っているとはいえ他住戸は一般競争入札にするわけですから個別に売るのはどうかという話になってきます。

価格は7440万円で相場実勢と比較すると妙に安い。年明けに入札予定の8戸の最低落札価格は多少の平米数の違いはありますが8200万円台~8700万円台です。裁判所が選任した不動産鑑定士が4月時点の価格として鑑定して出したもので、それ自体に意図はないと思いますが結果的にずいぶん安くなってしまったなという印象を受けました。

さて我々、区民が主役の会は最終的に和解案には反対しました。以下建設委員会の中で私が読み上げた態度表明となります。

「今回、明け渡し訴訟からの和解勧告ということで、従前から懸念されていたことがついに起きてしまったかというのが感想です。区立住宅は中堅所得層の定住促進策として始まりましたが、その政策目的がなくなったことから事業を終了し根拠条例も廃止されました。ただ行政の許可を受けて入居していたとはいえ、条例がなくなれば期限の定めのない賃貸借契約として取り扱われるであろうということですよね。借地借家法が適用されれば借主の立場は非常に強いですから、政策目的の終了ということでは立ち退きの正当事由になりづらいということで裁判所も和解に動いたのだと思いますし、関係者の努力には敬意を表します。また入居者の希望はそのまま居住を継続するということであり、買い取るという意向を示しれおられますがあくまでも賃借を継続できないのであれば買い取りたいということであって、そのことを責めるつもりはありません。

ただやはり行政としては区有財産は公平に取り扱う必要があると思います。今回、すべての入居者に退去してもらい、一般競争入札にかけるという決定をしたわけです。実際に年明けの1月には8戸の入札が実施されます。そのなかで1戸だけを特定の相手に売却するというのは原則を曲げているわけですから大いに問題があります。これまで区の要請にこたえて退去してくださった方にも示しがつきませんし、居座ったことで得をするというのもどうかと思います。また最終的に裁判で勝訴できる見込みが薄く和解が必要になるとしても、どうしても必要であれば通常は解決金を支払って退去してもらうというのがスタンダードな方策です。どのようなやり方であれ、退去してもらって入札で売却するというのが区民との約束だと思います。今回売却価格が市場実勢と比べて妙に安いということを差し置いても、今回の和解案を認めるべきではないと思います。したがって、区民が主役の会は議案61号について反対いたします。」

本会議場では維新の2人、たかはまなおき議員が反対。たかはまさんは建設委員ではないですが、わざわざ手続きをとって委員会で1分間反対討論をしました。あと自民党の豪一議員が堂々の反対。自民党が一致して行動しないのは珍しい。この件で過去色々と区に「忠告」してきたことが受け入れられずにこの事態に至ったことについて相当に腹が立っているみたいです。また売却価格が足元の相場よりも極端に安いことも問題視していました。豪一議員とたかはま議員は本業が不動産仲介業者でもありますので、その分野に詳しい2人が反対に回ったのは意味があります。というわけで反対は合計7人でした。引き続き是々非々で頑張ります。(後日談として、豪一議員は造反の責任を取って自民党会派を離脱しました。引き続き自民党籍は維持しています)

この記事をシェアする

著者

依田 翼

依田 翼

選挙 文京区議会議員選挙 (2023/04/23) [当選] 3,825 票
選挙区

文京区議会議員選挙

肩書 文京区議会議員
党派・会派 都民ファーストの会
その他

依田 翼さんの最新ブログ

ホーム政党・政治家依田 翼 (ヨダ ツバサ)旧区立根津一丁目住宅の立ち退き問題について

icon_arrow_b_whiteicon_arrow_r_whiteicon_arrow_t_whiteicon_calender_grayicon_email_blueicon_fbicon_fb_whiteicon_googleicon_google_whiteicon_homeicon_homepageicon_lineicon_loginicon_login2icon_password_blueicon_posticon_rankingicon_searchicon_searchicon_searchicon_searchicon_staricon_twitter_whiteicon_youtubeicon_postcode