2026/9/9
令和8年第3回定例会一般質問として 「所有者不明土地対策計画の策定が必要ではないか」 と題して質問しました。
質問
空き地の除草等に関する条例は、命令という不利益処分まで可能である以上、適用範囲を明確にする必要がある。「相当に住宅が連檐する地域」とは具体的にどのような地域か。また、住宅からどの程度までを対象とするのか。
答弁
行政区域等で一律に区切るものではなく、個々の集落ごとに判断し、おおむね10戸程度の住宅が連檐する地域としている。住宅間の距離について明確な基準はないが、一団の集落を形成している地域について、良好な生活環境を守る観点から比較的広く対象としている。
課題・自分の考え
命令まで可能な条例でありながら、「10戸程度」「一団の集落」「比較的広く」といった運用基準にとどまり、適用範囲が必ずしも明確ではない。生活環境保全のため広く適用する必要性は理解できるが、土地所有者の予測可能性との両立を図るため、より具体的な運用基準を明示すべきと考える。
質問
登記簿上の住所から転居している場合、どのように所有者を探索するのか。また、住民票や戸籍附票、戸籍を利用して追跡する法的根拠は何か。
答弁
登記簿上の住所地の市区町村に住民票や戸籍附票の交付を依頼して現住所を追跡し、相続が発生している場合は戸籍謄本等により法定相続人を調査している。一方、その探索について「特に根拠法令を持っているものではない」とし、関係団体の協力を得て調査しているとの答弁であった。
課題・自分の考え
登記情報は公開情報だが、住民票・戸籍等はそうではない。行政がどの法的根拠に基づき取得・利用しているのかを明確に整理する必要がある。 所有者探索は今後の所有者不明土地対策でも重要になるため、庁内で統一的な根拠と手順を整理しておくべきである。
質問
条例上の「雑草等」には雑草、枯れ草、灌木類しか含まれず、竹木が含まれていない。竹木が繁茂して生活環境に問題を生じさせている土地について、条例による指導・助言等はできないのか。他制度で対応できないのか。
答弁
竹木が繁茂する土地は条例の対象外であり、条例に基づく助言等も考えていない。民地間であれば基本的には民法による対応となる。道路に木が張り出すなど公共施設に影響する場合は道路法等による対応が考えられる。
課題・自分の考え
雑草なら行政対応できるのに、竹木になると対応できないという制度上の空白が生じている。竹木の繁茂によって害虫、野生動物、ごみの放置など周辺環境への悪影響が生じる可能性も市自身が認めている。
したがって、条例の対象拡大や所有者不明土地法など他制度との連携を検討し、「竹木だから何もできない」という状態を解消すべきである。
質問
制度開始以降の低未利用土地等確認書の交付件数、対象地域、譲渡後の利用用途、制度の周知方法を確認した。
答弁
令和2年度から令和7年度までの交付実績は7件。木津地域・山城地域で交付され、譲渡後はすべて住宅として利用されている。市はホームページに制度概要等を掲載している。制度を利用できる人が漏れなく利用できているかは把握できない。
課題・自分の考え
6年間で7件にとどまっている。特に低未利用土地の所有者には高齢者も想定されるため、ホームページだけでは情報が届かない可能性がある。固定資産税通知への案内同封について、市も検討するとの答弁があった。
固定資産税通知、広報紙、空き家相談等を活用した積極的な周知が必要と考える。
質問
木津川市では都市計画区域の約73.8%が市街化調整区域である。所有者不明土地対策計画を策定していないため、市街化調整区域では低未利用土地の譲渡額が500万円超800万円以下の場合、特例措置を受けられないのではないか。
答弁
市街化調整区域では基本的に500万円以下となることを認めた。計画との関係について確認が必要との答弁もあったが、法令上は指摘のような形になるとの認識が示された。
課題・自分の考え
対策計画を策定すれば特例の対象範囲を拡大できる可能性があるにもかかわらず、策定していないことで土地所有者が制度を利用できないケースが生じる。低未利用土地の流通促進と将来の所有者不明土地発生予防という観点からも、計画策定の具体的メリットを改めて検証すべきである。
質問
登記・農地台帳上は農地だが、所有者不明となり竹木が繁茂し、隣家への倒竹や害虫などの問題が発生している。所有者不明土地管理命令を個人が申し立てれば予納金負担も生じる。市民だけで解決するには限界があり、市が支援できないか。
答弁
農地であれば通常は所有者等に除草通知をするが、所有者不明の場合は指導できず救済もできない。農地バンク等の制度はあるが、借り手等がいなければ農政課として対応することは難しい。
課題・自分の考え
「民地間の問題」という原則は理解するが、相手方となる所有者すら存在しない場合まで同じ原則を当てはめると、何の落ち度もない隣接住民に、自らの能力を超える問題解決を求めることになる。 特に周辺生活環境への悪影響が広がっている場合は、単なる隣人間紛争ではなく地域課題として行政が関与する仕組みが必要である。
質問
道路への倒木以外に、どのような状態なら周辺環境への悪影響と判断するのか。竹やぶに野生動物が住みつく、害虫が発生するといったケースも含まれるのか。
答弁
ごみの放置、害虫の発生、動物のすみかになることなども、衛生・環境面での悪影響になり得るとの認識が示された。ただし、所有者不明土地について空き地条例による対応はできないとしている。
課題・自分の考え
市自身が害虫や動物等を生活環境上の問題と認識しているにもかかわらず、「所有者不明」「竹木」という条件が重なると行政対応の手段がなくなるという矛盾がある。生活環境への影響を基準として、所管法令を横断した対応方法を構築する必要がある。
質問
所有者不明土地で竹木が繁茂し生活環境に問題が生じている場合、市民はどこに相談すればよいのか。
答弁
生活環境に支障があれば環境課で相談を受け、個別具体的に判断する。しかし、竹木は空き地条例の対象外であるため、現状では相談を受けても対応できないとの答弁であった。
課題・自分の考え
これは今回の質問で明らかになった大きな課題である。「相談窓口はあるが、相談しても使える制度がない」状態になっている。環境課、農政課、建設部など複数部署にまたがる問題だからこそ、庁内横断的な相談・対応体制を整える必要がある。
質問
管理不全農地については農地法だけでなく、空き地条例や所有者不明土地法など複数の制度が関係する。市はこれらをどう整理しているのか。また、市街化区域と市街化調整区域で違いはあるのか。
答弁
農地法に基づき、通報を受けて現地確認し、所有者または耕作者へ草刈りを通知する。所有者不明土地は除く。農地について市街化区域・市街化調整区域による指導の違いはない。
課題・自分の考え
答弁は農地法上の対応が中心であり、空き地条例・所有者不明土地法等を含めた制度横断的な整理について十分な説明がなかった。 土地の地目、現況、区域、所有者判明・不明、周辺への影響等に応じて、どの制度・部署が対応するのかを整理したフローを作成すべきである。
質問
所有者不明土地・低未利用土地は管理不全化するリスクがあり、対応法令も多岐にわたる。対策計画を策定することで対応策を明確化し、庁内連携を円滑化できるのではないか。なぜ策定しないのか。
答弁
空き家等が存在する所有者不明土地等については、第2次空家等対策計画に基づき対応しているため、所有者不明土地対策計画を策定する予定はない。また、全国約1,700自治体のうち策定自治体は62自治体と少なく、木津川市では現状、策定の必要性はないとの認識が示された。
課題・自分の考え
策定自治体が少ないこと自体は、木津川市で計画が不要である理由にはならない。実際に今回、「空き家ではない」「竹木なので条例対象外」「所有者不明なので農地法による指導も困難」という施策の隙間が明らかになった。むしろ、このような隙間を整理することこそ計画策定の意義だと考える。
質問
建設部から「所有者不明土地の担当部長ではない」との答弁があった。国が対策を急務としている所有者不明土地について、木津川市ではどの部署が担当するのか。
答弁
副市長から、国の所管から考えれば建設部が所管になると思うが、建物、農地、宅地など複数分野に関係するため、対応する場合には全庁的に検討する必要があるとの答弁があった。
課題・自分の考え
今回の答弁によって、市に所有者不明土地対策を一元的に担う明確な所管が定まっていないことが浮き彫りになった。 所有者不明土地は環境、農地、空き家、道路、税務などにまたがるため、主管課を明確にした上で庁内連携体制を構築する必要がある。
質問
他自治体への聞き取りでは、①低未利用土地特例の拡大、②国庫補助の活用、③庁内連携の強化を目的として計画を策定している。また、2~3ページ程度の簡易な計画もあり、職員1~2人、短期間で策定した自治体もある。国から計画策定等への支援はあるのか。
答弁
国土交通省の所有者不明土地等対策事業費補助金があり、実態把握、計画策定後の広報・啓発、所有者探索、管理不全解消のための法務手続、土地活用のための施設整備等について、2分の1または3分の1の補助があるとの説明があった。
課題・自分の考え
計画策定は単に「計画を一つ増やす」ものではなく、税制特例、国庫補助、所有者探索、管理不全土地対策、庁内連携を動かす基盤となり得る。簡易な計画で対応している自治体もあることから、策定負担だけを理由に消極的になる必要はなく、費用対効果を具体的に検討すべきである。
質問
以上を踏まえ、所有者不明土地対策計画を策定すべきではないか。市長の考えを確認した。
答弁
市長は、計画はニーズと必要性を踏まえて策定するものとの認識を示し、現状では低未利用土地特例の具体的な申請状況や京都府内の策定状況等を総合して現在の判断に至っているとした。一方、所有者探索、低未利用土地の利活用、空き家の適正管理・活用支援、実態把握には引き続き取り組み、事案が生じた場合は丁寧に対応するとした。
課題・自分の考え
市長から計画策定への方針転換までは示されなかった。しかし今回の質問によって、①竹木繁茂地への制度的空白、②所有者不明農地への対応困難、③担当部署の不明確さ、④低未利用土地特例の地域差、⑤国庫補助活用の可能性という具体的課題が明らかになった。
したがって、問題が深刻化してから個別対応するのではなく、将来の所有者不明土地増加を見据えて、予防・管理・利活用・庁内連携を一体化した所有者不明土地対策計画を早期に策定すべきと考える。
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